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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:澤村貴子(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「KY」 という言葉が女子高生に流行ったのは2006年だったらしい。
空気を読めない、もしくは空気読めを略した言葉と朝日新聞出版発行の知恵蔵では書かれている。「場の空気」を瞬時に読み取る状況判断能力が重要視される時代を物語っている。ここで言う空気とは、その場の雰囲気や暗黙の了解のことだ。
そして、その10年後には、「忖度」 と言う言葉がトレンドワードになった。同じく知恵蔵によると、他人の心を推し量ること、とりわけ日本では、自分より上位のものの心情、立場を考慮し、その者に良いように振る舞うことが慣例、文化としてとらえられる傾向にあると書かれている。
 
気がきくねと言われることは間違いなく褒め言葉だ。忖度は気がまわりすぎた結果なのかもしれないが、私が社会人として過ごしてきた大半は、場の空気を読み、相手の欲する事、求めてきそうなことを感じ取り、先回りして動き、提案、もしくは先に用意しておく事が求められてきたように思う。水が飲みたいと感じる前に、水を用意しておく、それができる人が優秀だと言われ、そう言うビジネスを考えろと言われてきた。私もそう思って、それに対応できるよう努力を重ねてきた。相手の求めていることを察知する能力をつけようと、20年以上かけて努力し、訓練してきた。
 
時代は、2021年のアフターコロナ、ウィズコロナ。
先日、部内のミーティングで、新規事業企画の発表の場があった。社内の会議であっても、コロナで急に増えた、zoomでの出席だった。
 
その日の発表は、絵画担当者による新規企画で、まだ無名だが非常にいい絵を描く作家(画家)の先生の作品を世に広げていくために、今はない手法のプロモーション企画であった。
 
資金面についても具体的に明記され、すぐにでも実行に移すことができそうな企画であると感心していたら、昨年一度、実施した企画で、再度挑戦したいから変更、改善を加えたと言うことだった。
 
発表後、まず、その絵画担当の担当者(発表者の上司)が、コメントを求められた。当事者でもあるその人は、今後に向けての課題など、具体的なフィードバックをしていた。
 
その次に、いきなり画面越しに出席していた私が、意見を求められた。
まさか、畑違いのファッションの担当である私に意見が求められると思っておらず、何を言えばいいのかわからず、急に振られても答えられませんと笑ってごまかして、発言をパスしてしまった。
 
……最悪だ。落ち込んだ。
 
言い訳はもちろんある。
テレビ越しで、初めて聞いただけで、理解が浅い。畑違いの他の課の企画について、コメントなんてできないと思ってしまった。絵画のことも、発表者のことも全く知らず、そんな相手に向かってフィードバックなんてできないと思ってしまった。
 
ただ、その後コメントを求められていた人は、効率を求めるなら、こうして見てはどうか、この点は改善ができるのではないかなど、具体的にフィードバックをしていた。そこで私はやっと空気を理解した。
そうか、絵画に詳しくない、初めて聞いた私がこの企画をどう思うか、その意見を求められていたのだと。
 
私は実は、その企画会社に払う費用など、経費面で大いに引っかかっていた。一度実施したことのある企画なら、ノウハウも理解できているのだから自前でできることを考えて見たらどうかと、思っていた。むしろそれらを聞いてみたかった。
 
そうだ、私はいつもそうなのだ。
会議中、発言しないくせに、あれはやっぱりどうしても納得ができていないと後から思う。ただ、その時は、私の立場では言うべきことではないと思って言えない。その時に言葉にできるほど、考えがまとまらないこともある。
発言はしないけれど、異議を唱えられないけれど、不満を抱える。
 
常に私は空気を読もうと努力をし、この場では何を言うべきか考えて発言をしてきた気がする。自分が感じてきたことや自分のオリジナルの意見を話していないから、話せなくなってしまっているのだ。
 
昨年から、急に画面越しの会議ばかりになった。
画面では、空気が読めない。相手の欲望どころか、雰囲気もわからない。緊張もリラックス感もわからない。
頑張って磨いてきた空気を読む特技も生かされなくなり、私はすっかり時代の変化に取り残されてしまっていた。発言をパスしてしまった日、今、変わらなければと私は誓った。
 
今日のミーティングでも、意見を求められ、良い答えは全くできなかったが、私の立場で思うことを話した。前回のように何も答えないよりは、マシだと思うようにした。全くもって同席の人たちや、部長にとって、有益な回答はできていない気がするが、私のようなレベルの低い意見を言う人がいれば、他の人も意見を言いやすくなれば良いやと思うようにしている。
一応、何か回答をすることで、「澤村さんはどう思いますか?」と聞かれることが増えたような気もした。もちろん、空気は読んで、短く回答するようには心がけている。
 
空気を読む、唯一の強みをなくした、昭和人間の変化の過程はこれからなのだ。
 
 
 
 
***

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2021-05-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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