シメパフェをもう一度、いや、二度でも三度でも
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記事:槇島 隆(ライティング・ゼミ日曜コース)
「あのピスタチオが恋しい」
「今年も再会できなかった」
「コロナのバカヤロー」
そう言わずにはいられないほど甘美な響きの物体がある。
それは『シメパフェ』という文字通りの甘美な食べ物。
そして、悪魔的な食べ物。
夜の飲食後にシメのラーメンを食べるなんて言うのは聞いた事があるだろう。
それのパフェ版がシメパフェなのだ。
もちろん夜にパフェを食すなんていうハイカロリー極まりない行為が何をもたらすかは想像に難くない。それでも彼、彼女らは足繁くそこへ向かう。
しかし、わたしが悪魔的と言ったのは別の意味である。
シメパフェを知るきっかけはとても単純で
わたしのふるさとである北海道で流行り出したと耳にしたからだった。
後で知ったがどうやら札幌のすすきの周辺が発祥らしい。
愛知在住のわたしは当時の彼女と北海道へ里帰り旅行する事になった。
色々観光もして、もちろんジンギスカンも食べた。
羊ちゃんの美味しさやヘルシーさを紹介したいし、
何ならHTB(北海道テレビ)の「水曜どうでしょう?」で見せる
大泉の洋ちゃんの面白さも紹介したいが、とにかく今はパフェについてである。
その旅行計画にはしっかり夜にシメパフェを組み込んでいたし、どの店で食べるかもリサーチ済みだった。
別腹を信用してない訳では無いが、その日は夜パフェを美味しく頂こうと言う算段だったのでディナーは少なめにしてパフェっ腹(えーと、、パフェを食べる為に夜ご飯は腹六分くらいに抑えとくかw)を残して、いざ、戦場へ!いや、パフェ食うだけですけど。
店の外観は素っ気ない感じで、看板もものすごく控えめだった。
Google map先生がいなかったら方向音痴のわたしは迷子であっただろう、しかも夜中に。
地下にあるそのお店へ階段を降りて向かった、すでに先客の待ち人が数人おり、
ガラス張りの入り口から見た印象はシックな雰囲気でバーやラウンジといった印象。
自分達の順番が来て中に入るとソファ席とカウンター席があり、
光度を抑えた暖色系の間接照明に迎えられた。
私達はカウンター席に座り、メニューよりパフェを品定めしていた。
おっと、遅ればせながらそこのお店の名前は「パフェ、珈琲、酒、佐藤 花れ」である。
※どうやら支店らしく、本店は別に有り
名前にあるように珈琲もお酒もある。
酒、つまみ、パフェ、珈琲を全て味わえるコースもあるがその日はパフェっ腹分だけ残して伺ったのでパフェ単品を注文した。
そこで注文したのがわたしに衝撃を与えた
「塩キャラメルとピスタチオ」のパフェだった。
カウンター越しでパフェがどんどん作り込まれて行く工程を観ながら期待が膨らんだ。
我が子の様に今作ってるのはわたしのかな?と愛でながら一喜一憂していた。
そして、わたしのシメパフェが完成した。
それぞれの席に間接照明が丸く、淡く光り
その中央にパフェが座した。まるでスポットライト。
まず造形がとても美しい、まるでトロフィーか彫刻、見た目は完璧。
『塩キャラメルとピスタチオ』
先ず上には丸く薄く作られた塩キャラメルのキャラメリーゼ(おせんべいの様なパリパリ食感のもの)と2つのアイス
1つは塩キャラメルで塩味とさっぱりとした甘味、そして独特の焦がしたような苦味、香りは珈琲にも似てるがまた少し違うカラメルのビターな香りがとても大人なアイス、
2つ目はピスタチオのアイスでこれがわたしには衝撃だった、正直それまではピスタチオが特段好きなフレーバーでは無かった。
このアイスのおかげと言うべきか、そのせいでと言うべきか悩む所だが自分のなかでピスタチオの存在がいっきに上がった。
なんと表現していいか分からないが口に広がる味、香りがわたしが知っているものより数段ふくよかだった。素材の良さなのか、製法なのかは分からないが完全にノックアウトされた。それからと言うものアイス、ケーキ、マカロンとあらゆるスイーツでピスタチオがあると選んでしまうのである。まさに悪魔に魅入られたように。
その下にあるカシスのムースとリンゴのジュレでさっぱりさせたら、またアイスで芳醇な香りと味を楽しむ。最高の作品。
次に北海道に帰ったらまた食べるんだと
ワクワクしていたのにコロナがやってきた。
食べられない寂しさもあったが、
何よりシメパフェというだけあって夜営業も稼ぎどきのはずだ。
あのお店は大丈夫なのか心配で公式サイトを検索してみた、
頼むから耐えてくれと願いながら。
あった。
どうやらなんとかやっているようだ。
あのパフェが食べたい。
そんな単純な理由だか、
コロナの終息と札幌のシメパフェ文化が途絶えない事を遠く離れたこの地で願って止まない。
皆さんも是非、その時が来たら訪れて見てほしい。
あの悪魔的ピスタチオのパフェを。
わたしもまたピスタチオのシメパフェを食べたい!
もう一度、いや、二度でも三度でも。
***
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