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キネマの神様は二人いる


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記事:川口 公伸(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
僕が好きな作家さんの一人に、原田マハさんと言う人がいる。
原田マハさんはとても幅の広い作品を各作家さんで、特徴的なのはアート系の作品を書くことだろう。
僕自身も何作か読んだことがある。
特に記憶に残っているのは、ピカソについて書かれた「暗幕のゲルニカ」と言う作品だ。
ピカソの最も有名な作品と言っても過言ではないであろう「ゲルニカ」が描かれた背景と、現代のテロ事件と「ゲルニカ」のつながりについて描かれた作品になっている。
普段、絵画に全く興味のない僕でさえ「ゲルニカ」を見てみたいと思うほど興味深い作品だった。
また、アート系以外の作品も好きな作品は多い。
伝説のスピーチライターについて書かれた、「本日は、お日柄もよく」や、日本初の女性総理大臣の夫が主人公の「総理の夫」などのちょっとコメディー要素を備えた、ヒューマンドラマ的な物語。
戦前に日本製飛行機で世界一周をした史実を元の書かれた「翼をください」。
更には、デビュー作の「カフーを待ちわびて」や「一分間だけ」のようなラブストーリー。
簡単にあげただけでも分かるように、作品の幅はかなり広い。
しかも、作品ごとに書かれ方が違っていて、同じ作家さんが書いたとは思えないような作品も多い。
 
僕が、原田マハのことを知ったきっかけは「キネマの神様」と言う作品を書店で見つけて読んだことだった。
 
その「キネマの神様」だが、映画化が決まっている。
昨年亡くなった志村けんさんが主演する予定だった映画ということで、聞いたことのある人も多いかも知れない。
撮影が始まったのちに、主役が亡くなってしまった。
それだけではなく、緊急事態宣言の影響で撮影が中断するなど、いろいろな困難に晒された映画となった。
「キネマの神様」ギャンブル好きで方々に借金を作っては家族に迷惑をかけているゴウちゃんと言う父親が主人公になっている。
この役を志村けんさんがやる予定だった。
物語は、ゴウちゃんに、もう一つの趣味である映画を使ってギャンブルをやめさせるために家族や、友人で映画館の館長であるテラシンが繰り広げるコメディー要素の強いものとなっている。
 
しかし、映画の内容についてはだいぶ違っている。
この映画は、キネマの神様と言うタイトルから山田洋次監督が想い描いた世界を脚本化したものとなっているということだ。
そしてその脚本を原田マハさんが承諾したことから、撮影が進められた。
 
ネットで見たのか、新聞の広告だったのかは忘れたが、原田マハさんの新刊の情報を知る。
その書名が「キネマの神様」だった。
「キネマの神様 ディレクターズカット」というのが正確な書名になるのだが、初めに広告を見たときは驚いた。
その本は、映画のノベライズ本だった。
 
僕は翌日、会社帰りに書店へ行き「キネマの神様」を探した。
そして、「キネマの神様 ディレクターズカット」を手に入れた僕は楽しみにその本を読んだ。
あとがきでノベライズ本ができるまでの経緯を知った。
原田マハさんの原作をもとに、山田監督の視点で脚本を書いた。
その脚本は原作とは大きく違っていたが、山田監督のファンだった原田マハさんはその脚本での映画化を承認した。
ここまではよくある話なのだろう。
更にここから、原作者である原田マハさんがノベライズ本を書くという話が持ち上がったということだった。
そして、完成したのが「キネマの神様 ディレクターズカット」だった。
どちらの話も、気まぐれなキネマの神様に翻弄された主人公に対して、最後に神様が微笑む内容になっている。
そして、どちらの作品も映画を愛する人が作った作品だった。
映画に関しては、まだ実際に見たわけでは無い。
しかし、ノベライズ本を見ただけでも充分に興味を引かれる内容となっている。
これは今となっては叶わないこととなってしまったが、志村けんさんが主人公を務めた映画を観たいと思った。
きっと味わい深い演技をしていただろう。
そしてもう一つ、これも難しいことなのだろうが、原作の内容に沿って作られた映画も見て見たいと思う。
 
不思議な流れから、二人のキネマの神様が作られた。
神様を二人と表現するかどうかは別だが。
 
気まぐれな二人のキネマの神様に翻弄されて、困難を乗り越えて映画が完成した。
このままいけば8月から映画は上映される予定となっている。
何事もなく無事に上映されることを、そして、映画館へ足を運び鑑賞できることを願う。
二つの「キネマの神様」と同様に神様が微笑んでくれるように。
 
 
 
 
***
 
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2021-06-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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