「2」
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:まきこ(ライティング・ゼミ超通信コース)
2。
中学2年生だった私は、美術の成績で「2」を取ったことがある。
人生で初めての2との遭遇だ。あまりの衝撃に通知表を開いた瞬間に固まった。他の3以上のところに目がいかない。
家に持って帰ってなんて言われるだろう。
おかげさまで、今でも美術に対しての苦手意識は相当なものだ。
女の子は、綺麗な絵が描けて当然と思っているのは、私だけだろうか。
だから一層、絵は嫌いだった。
もちろん、美術館に行く気にもならない。学校行事で仕方なく、美術館に足を運んだときも全く面白くなかった。
その美術館は、トリックアートが施された部屋がいくつかあり、目の錯覚の体験までできる特殊な場所だった。絵を鑑賞するだけの、普通の美術館より格段に面白くなる工夫がされていた。
友達は、トリックアートの部屋に入り
「わー! すごーい!」
「目がおかしくなるー!」と大はしゃぎしていたが、私にとっては「美術」というだけで嫌な気持ちになるほどだった。
友達の手前
「面白いねー!」と相槌をうっていたが、残された写真を振り返って見ても、楽しそうな表情はひとつも見当たらない。
そんな私が、最近、一冊の本を手に取った。
「14日間でマスター 描き込み式 はじめての色鉛筆レッスンブック」渡辺芳子さんの本だ。
美術にも絵にも、全く興味がない私には縁のない本だった。しかし状況が変わった。
7歳になる息子が、どういうわけか絵が大好きなのだ。
息子が3歳の頃、仲良しだったお友達の女の子が、アメリカに引っ越すことになった。
引っ越しまでの1ヶ月の間、遊ぶ度に絵を描いてプレゼントしていた。すると、相手のママが毎回、褒めてくれた。
「わー! 上手ね!」
「今度はこんな絵を描いてくれたの? 嬉しいー!」
おかげで息子は絵が大好きになった。
お友達が引っ越してからも、絵を描き続けた。
息子の絵への興味は年を重ねるごとに、どんどん膨らみ、風景画風の適当な絵から、正しい物を書きたくなった。
息子に「ママ、飛行機描いて!」と言われても私にはその技術がない。でも息子の願いだから、チャレンジしないわけにはいかない。
仕方なくユーチューブで検索してみると、親切にボールペンでの書き方を教えてくれている動画があった。
私は、ユーチューブに助けられて動物や乗り物が、なんとなく、それっぽく見える程度に書けるようになってきた。
それでも苦手意識は無くならない。
まるで、一度書いたらきえないタトゥーのように「2」の印象は、深く私の中に刻まれている。
息子がどんどん大きくなるにつれて、せっかく好きなのだからと、オンラインでアートの習い事をすることにした。
オンラインでの習い事は、親である私も一緒に学ぶことができる。
習い始めると、絵の奥深さがわかってきた。
水彩画で「木」を描くときに、プロは緑、深緑、黄緑、黄色、たくさんの色を使っている。私は、一つのものを描くときに、似たようなたくさんの色を使うということを今更知った。
木は茶色、葉は緑。
そう決めつけていた。
絵をはじめて、今まで当たり前にみてきた紅葉の景色の見方も変わった。
これをもし絵にするなら、何色がいるんだろう?
オレンジ、黄色、赤、茶色、緑、黄緑、グレーまである!
これまで紅葉は、赤、オレンジ、黄色だけだと思っていた。
それからというもの、一つのものをよく見るようになった。
アートの習い事では水彩画とクレヨンは教えてもらえたけれど、色鉛筆はなかった。
だから、この本を手に取ることになったのだ。
開けてみて、驚いた。
鉛筆の持ち方一つで、表現が変わる!
その上、まるの中を色鉛筆で塗りつぶす。それだけで8パターンもある!
丸く描きながら塗ったり、縦の棒を重ねるように塗るパターン、ジグザグを描きながら塗るなど、多様だ。
色鉛筆でも重ね塗りをすることで、色に深みを出したり、グラデーションを作ったりする。水彩画は色が重なるイメージが湧いたが、まさか色鉛筆まで色を重ねるとは、アートを習った後でさえ、考えもしなかった。
みかんを塗る時に、オレンジ一色で塗るのと、黄色とオレンジを重ねる、黄色と赤を重ねる、それぞれのパターンで全く違うオレンジになる。
これをもし、中学の時の美術の先生が教えてくれていたら?
私は「2」なんて取らなかったんじゃないだろうか。
私はこの本に出会って変わった。
いまだに、絵に対して自信を持つことはできない。しかし「2」は、私の何かが悪かったのではなく、描き方を誰からも知らされていなかった。それだけなのかもしれないと思えた。
プロに習うことができれば、絵に限らず、人生で全ての「2」は「3」以上になりえる気がする。
もし、そこに習得する面白さが加わって、夢中になれたとしたら「4」にも「5」にもなっていけるのではないだろうか。
もし、私のように絵に苦手意識がある方がいたら、この本、おすすめです。
***
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