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働く妊産婦さんが無理なく働ける環境を作るために

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:赤羽かなえ(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
職場に妊婦さん、もしくは小さな子供を抱えて復帰してきたママさんがいた時、どんなスタンスで接していますか?
 
立場が変われば、スタンスは全く変わる。
自分が独身で働いていた時には、自分が妊娠したり子供を育てたりする経験がなかったから、とても冷たい目で見ていた。
 
検診があるから遅刻早退をするとか、つわりで出勤できないとか、子供が熱を出したから会社に来れないとか……様々な理由で妊産婦さんが行動を制約されることを、正直、羨ましいなと思っていた。ずるいな、妊娠しているだけで、子供がいるだけで仕事をしなくていい免罪符になる。その分の仕事のしわ寄せは私に来るじゃないか、そんな風に思っていた。
 
子供を3人育てる今となっては、働く妊産婦さんを心の底から尊敬するし、自分の身体の不調や子供の不調で休まなければいけないのは本当に仕方がないことだとわかる。
 
それは、経験したからこそわかることだ。
 
勤めてはいなかったが、子供が生まれてすぐに人手が足らないからと手伝いに駆り出されたり、妊娠中でだるいのに立ち仕事をしなければいけなかったり、重たいものを運ばなければいけかったりということを経験したことがある。働いていなくても断れない仕事はあるのだから、働いていたら私は両立できなかっただろうな、と実感した。
 
今まで、冷たい目で見ていた人達に、気づいてあげられなくて申し訳なかったと心の中で謝った。
 
それなのに、私はまたも、妊婦さんに申し訳ないことをしてしまった。
 
もうすぐ出産を迎える妊婦さんに、つい最近まで仕事を頼んでいたのだ。
 
その方の出産が近いということはわかっていた。誰か代わりを紹介してもらえばよかったのに、快く引き受けてくれていたので、いつが出産予定日かもよくわかっていなかった。
 
ある時、顔がちょっとむくんでいるなあというのが気になって、ところでいつ出産なの? と聞いたら、実は来週なんです、という返事がきた。
 
その時に、知らなかったとはいえとんでもないことをしてしまった、と慌てた。教えてくれたら何か考えられたかもしれないけれど、私は顧客だったから、彼女は言い出しづらかったんだろうなと思い、とても申し訳ない気分になった。
 
経験上、出産の前後はなぜか、休んだ方がいいはずなのに本当によく動ける。不眠不休の子育てが始まるということを身体が察知しているのだろうか、スーパーマリオでスターを取った時みたいな無敵状態になる。全然寝なくても頭はしゃっきりしているし、出産した後も、ちょっとの睡眠だけですぐに元気になれる。
 
最初に子供を産んだ時には、それが延々と続くと思っていたのだ。だから、多少無理をしても、赤ちゃんが寝たタイミングを見計らって家事をしたり、息抜きがてらテレビを見たりやゲームをしていたのだけど、この時に、一緒に休まないといけなかったのだ。
 
特に出産直後は、よく効く栄養ドリンクを飲んだようなギラギラした元気さがあるのだが、寝ようと思って目をつぶったら、スイッチが切れたように寝ることができる。冷静に考えれば当たり前なのだ、一人の命を生むという作業はフルマラソンを完走するくらいに体力を使うとも言われているくらいだ。寝ようと思えばいくらでも寝られるけど、赤ちゃんを守らなければいけない本能があるのか、いくらでも起きていられる、そんな不思議な期間だ。
 
でも、大事なことなのでもう一度言いたい。
 
無敵状態はいつまでも続かない。
 
でも、無敵状態が終わっても赤ちゃんは目の前で生きている。自分が疲れたタイミングでも泣くことはしょっちゅうだし、家事は毎日毎日溜まっていく。しっかり体力を回復しておかないと後々子供を育てたり、仕事に復帰したりするための元気がなくなってしまっては元も子もないのだ。
 
今まで沢山の妊産婦さんに出会ってきた。真面目な人ほど、赤ちゃんが小さいうちにもっと勉強しておきたい、もっと家のことをきちんとしなきゃ、仕事も早く復帰したい、と、したいことやしなきゃいけないことを沢山持っていて、あまりゆったりとしている人はいなかった。きっと今までの人生もそうやって真面目に突っ走ってきたんだろう。
 
真面目な人ほど、休めない。周りの目を気にして、自分の責任を沢山抱え込んでがんじがらめになっていく。
 
思い返せば、自分がずっとそうだった。自分があれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、家も家族も仕事もとどんどん抱え込んだ荷物を下ろせなくて途方に暮れていた。3人目の子供を妊娠した時に、このままでは本当に死んでしまうと思って、ようやく自分からできません、助けて下さい、と言えるようになった。

そうやって言えば、誰かは助けてくれるのに、自分がやらなければまわらないと思い込み続けてへとへとになっていた。
 
だから、そんな女性を増やしたくないのだ。せめて周りが、もう少し休んだ方がいいよ。もっとゆっくり赤ちゃんとの時間を楽しんで、と理解をしてあげられる土壌ができたらいいなと願っている。
 
でも……この文章を、勤め人で妊産婦さん達に冷たい目線を送ってた過去の私が読んでもすぐに納得行くのかな、とも思う。
 
やっぱり、経験しなければわからないし、その相互の理解を深めて応援してあげるには、きっと妊産婦さん達が自分たちの状況をちゃんと説明してお互いに理解し合えるような土壌を作っていく努力も必要なんだろう。
 
今までのお母さん達だってなんとかやっていたじゃない、ではなくて、お互いのことをきちんと話し合って、適切な助けを求められるように働きかけていかないと現実は変わらない。
 
昔とは違って、社会的には色々な制度が整ってきている。でも、制度にみんなの心が追いつかなければ意味がない。
 
出産ぎりぎりまでお世話になった妊婦さんは、もうすぐ新しい命と出会うだろう。
これから沢山の感動もあると思う。一方、コロナ禍で実家にも中々頼れない状況で不安なこともきっとあるだろう。
 
無理しすぎないように、休めるときには休んでほしいな。
周囲の人の理解が得られるようにちゃんと働きかけていけますように。
 
頑張っている妊産婦さんが社会の一員として居心地のいい仕事環境に恵まれるように、みんながお互いの立場を思いやれるように、経験者である私も声を上げていこう。
 
これからも増えていくであろう、働く妊産婦さんが子供を育てやすく、働きやすい環境のためにできること、みんなで一緒に考えてみませんか?
 
 
 
 
***

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2021-06-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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