メディアグランプリ

ノートの贈り物


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:早藤 武(ライティングゼミ・「超」通信コース)
 
 
「君はいったい何度言ったらわかるのかな?」
 
これは私が1冊のノートに助けられたお話です。
 
社会人になって、毎日新しく覚えなければいけない事が雨のように降ってきます。
ひとつできるようになったら、次はもっと高い壁が待っています。
先の見えない毎日を繰り返しているうちに、いつの間にか私の心や身体は弱っていって、いつもの元気がなくなっていました。
 
私の仕事をしっかり見守り、できていないところを厳しく叱っていた上司がいました。
今も昔も上司の事は尊敬していますが、当時の私は特に何かを失敗すると今度はどんなに怒られるだろうかとビクビクしていました。
いつも食事が楽しみの私が、気づけば食事すらも喉を通らないくらいに元気をなくしていました。
叱られすぎて自身を失っていたのかも知れません。
 
ある日、よく叱ってくる上司から仕事終わりに声をかけられました。
 
「なんか今日はいつもの元気がないな。どうした?」
 
私は声をかけられただけで、また自分が何か失敗をしたのかと反射的にビクッとしてしまいました。
 
「いえ、今日はなんだか食欲がなくてあんまりお昼を食べてなかったのです」
 
失敗をしたわけではないことがわかってホッとしました。
上司は昼食をあまり食べられなかった私を少し心配して、話ついでに夜ご飯に連れて行ってくれました。
 
新しくお願いしている仕事は慣れて来たのか、わからないことはないかと質問してきてくれました。
始めは何て答えればわからなかったので、なかなか言葉も出ませんでしたが、少しずつ質問に答えていきました。
話しているうちに自分は失敗続きで、失敗することに怖くなっていた事に気づきました。
 
そこで上司から新しい1冊のノートを手渡されました。
端っこから小さく使うのではなく、見開き1ページを思いっきり使うのがコツだということ。
 
日付を書いて、朝一番に君が今日やる仕事を単語でも良いから書いてみなさい。
そして、やるべき仕事が終わったらペンで横線を入れていきなさい。
1日の終わりにノートを見た時に感じた事や次にこうしたら上手くできると思えることを書いてみなさい。
 
最初は自分に自信がもてないかもしれない。
すぐには良い結果はでないかもしれないけれど、君を信じる私を信じてどうか続けてみて欲しい。
ノートを書き始めてから半分も使わないで終わってしまうだろうなと思っていました。
 
2週間が過ぎたあたりで仕事終わりに声をかけられました。
 
「ノートを書き始めてみてしばらく経ったけれど、何か思うところはあるかい?」
 
実際に書いたノートをペラペラとめくりながら何となく感じたことを3つ答えました。
一つ目は、仕事の漏れや抜けが少なくなったこと。
誰かにお願いされたことメモする代わりにノートに書いておくことで確実に何らかの形で進むようになったのです。
前からメモをしていましたが、あちこちに散らばして無くしていたのでノートに書くことで改善できました。
 
二つ目は、失敗続きで自信を失っていた私に少しずつですが気力が戻ってきた事です。
終わった仕事に横線を入れることで、自分がどれだけの量を積み重ねてきたのかを目で見える形で残すことができるので、見直した時に自分が思っているよりもきちんとやれている事に気が付くことができました。
 
三つ目は、何日も残っているお仕事があることに気が付いて対策が打てるようになったことです。
以前であれば、すぐに解決できない仕事はどうしようかなと悩んでいるうちに忘れてしまって、期限を過ぎて周りの人をがっかりさせてしまっていました。
その日のうちに完了しない仕事は翌日に持ち越されるので、ノートを書いている間も視界に入って嫌でも目に入ってきます。
自分だけで解決できないとわかると上司や同僚に相談してどうやったら終わらせることができるのかを相談できるようになっていたのです。
周りに相談できるようになったおかげもあり、持ち越されていたお仕事にも横線が入って次の日をスッキリした気持ちで迎えることができるようになりました。
 
「君自身で気が付けたようで良かった。君は決してできない子なんかじゃないよ。きちんと一生懸命にやってきたことを振り返ることができれば、明日の君の力になってくれる」
 
いつも私を辛抱強く見守っていた上司が与えてくれた1冊のノートは、私に自信を取り戻させてくれるきっかけと気づきをくれました。
 
「たくさん失敗してきた君だからこそ、他の子が失敗した時に大いに力になってあげられるよ。だからこそ、今まで書き留めてきたノートと君自身を財産にしてこれからも目の前のことや少しずつ未来の事に気持ちを向けて頑張って」
 
今ではノートに自分の考えや想いを描くことが未来の自分や大切な人たちの力になれる財産になっています。
 
1冊のノートの贈り物に助けられたお話でした。
 
 
 
 
***

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2021-06-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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