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裏切られた虫歯に救われているのかしら

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:いとうひろこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
6月4日は虫歯の日で、10日までの一週間は虫歯予防週間ですが、意識したことのある人はどのくらいいるのでしょうか。
私も、今まで意識したことありませんでしたが、一年前、虫歯と闘っていたことを思い出しました。ここ数年、子供の頃に治療した虫歯の詰め物がたびたび取れ、その時も歯の詰め物が取れたのを、またかと思い、かかりつけ歯医者に出掛けたのでした。
 
「おや? 詰め物の下に虫歯が出来ていたみたいだね。虫歯は、結構、進んでいますね。今日は虫歯の治療をするけど、一週間後、まだ痛みがあるなら、神経抜くことになるかもしかないから、覚悟しておいてね。今まできれいな歯だったから、詰め物の下に虫歯が出来ていたとはちょっと驚いたな」
 
え? 虫歯? 大人になっても虫歯って出来るの? 虫歯にならないように毎日歯磨きしてきたのに? 詰め物が取れてからちょっと沁みるなぁと感じていたけど、それは年のせいじゃなくて、虫歯だったなんて……。それよりもショックなのは、ひどかったら神経抜くって言っていたこと。何をされるのだろうか? やだぁ、そんな心づもりで来てないのに……。
 
自分の歯に裏切られた気がして、更に、突然、虫歯治療を始めると言い出した先生にも裏切られた気がして、ちょっとイラっとした複雑な気持ちになりましたが、とりあえずここは先生にお任せすることにしました。
 
歯医者さんで治療する時の、あの機械の唸る音は、大人になっても怖いものですね。でも、実際は大人になったからなのか、技術の進歩なのか、記憶ほど怖くもなく終わりました。一週間後、痛みもないなら神経を抜く必要もないということで、無事、虫歯の治療は完了しました。
 
一安心したところで、「先生、歯磨きは朝晩毎日していますが、昼食後に磨かなかったから、今回みたいに虫歯になったんですよね?」と、先生に確認してみました。
 
「昼食後に歯磨きしていなかったことが虫歯の原因、ではないと思うよ。歯磨きは万能ではないからね」
 
先生から、正真正銘の裏切りの発言が、いえ、驚愕の説明が始まったのでした。
虫歯予防=毎食後の歯磨きと刷り込まれていたから、昼食後の歯磨きを怠っていたことが唯一の心当たりだったのに、歯磨きが万能じゃないって、どういうこと?
 
「虫歯の原因はプラークと呼ばれる歯の垢、シコウというものなんだけど、歯磨きで落とせるのは、実は60%くらいしかないんだよね。歯ブラシが届きにくい歯と歯の間のシコウはどうしても残ってしまう。だから朝昼晩と食後に歯磨きしていたとしても、半分弱のシコウは口の中の残っているんだ」
 
いくら頑張って歯磨きをしても、シコウの半分弱は残っていたなんてショック。全然、知らなかった。一体、どうしたらいいの。
 
「今から、歯の掃除をしながら、順番に説明しますね。道具は、歯ブラシ以外に『デンタルフロス』という糸を使うか、『歯間ブラシ』という爪楊枝のようなものが必要です。先に、デンタルフロスを使ってみますね」
 
20cmくらいの長さの糸を、先生の左右の人差し指に絡ませ、前歯の歯と歯の間に、歯先からグッと押し込み、それをノコギリの様に動かしながら、歯茎から歯先の方にこそぎ上げるような動きで、次から次へと繰り返されました。なるほど、歯ブラシが届きっこない部分のシコウを掻き出している感じがよくわかります。
奥歯に近くなってきました。歯と歯の間に糸を押し込むのは、なかなか大変そうです。糸を絡める片方の指は、口の真ん中に困ることなく入れられるけど、もう片方は直ぐ頬で、指を入れるだけで精一杯です。それに口を大きく開けるにも限度があります。奥歯までまだ二本くらいありそうだけど、あ、待って! これ以上大きく口を開けるなんて、もう、無理!
 
「で、ここから先の奥歯は、このL字型の歯間ブラシを使いましょう」
 
心の声が聞こえちゃったのか、先生は指に絡めていた糸を外して、持ち手が5~6センチくらいの長さで、その先に1センチほどの長さの細いブラシが直角に付いたものに持ち直し、今度は歯先ではなく、歯茎近くの歯と歯の隙間にスルッと入れて、ブラシを出し入れさせています。これなら、口を大きく開け過ぎなくてもいいし、痛くもない。
 
「これからは、一日に一回だけ、歯磨きにどちらかを足してみてください。これでシコウは90%きれいにできますから」
 
90%もなくなるの! そして、一日一回だけでいいのね!
虫歯にならないためなら、そんなのお安い御用です!
 
早速、デンタルフロスと歯間ブラシの一番細いタイプを購入し、トライしてみました。
歯と歯の間に糸が楽に入る程の隙間がある私には、デンタルフロスより歯間ブラシの方が、使った時のこそぎ落とした感じが上で、かつ、やりやすい。そして何より歯磨きだけの時よりも、歯間ブラシを使った後のお口の中のスッキリ感はとても幸せなものだったので、歯間ブラシを使うことにしました。
 
そういえば、今週はそれから初めて迎える虫歯予防週間だったと、気が付きました。
おかげさまで、今のところ、先生の適切なアドバイスにも、自分の他の歯にも、裏切られてはおりません。
これからも、続けよっと。
 
 
 
 
***

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2021-06-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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