メディアグランプリ

お弁当作りを、頑張らない。


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記事:中村瑠奈(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
職場の食堂で定食を食べると、1食500円。毎日日替わりのメニューが出るし、食後に一杯ジュースが飲める。特別おいしい定食ではなかったが、特に不満はなかった。節約しなきゃ、とラップに包んだおにぎりを食べる同僚。「ケチくさいなあ、別に500円なんて高くないじゃないか」と横目で見つつ、「今日のご飯は何かな」と早足で食堂に向かうのが私のお昼の日課だった。
 
そんな私がお弁当作りを始めて、半年くらい経った。きっかけは、いい加減家事をしなければいけなかったこと。実家暮らしでぬくぬく育ってきた私は、米の炊き方もよく分かっていなかった(我が家には炊飯器がない。炊飯器ならあの時点でも米は炊けたはず)。作れるのは、目玉焼きくらい……自分でもこのままではマズいと自覚していた。
 
そこで、週に一度、家族4人分の夕飯を準備すると母と決めた。はじめは米の炊き方、野菜の切り方、生肉はハサミで切る(我が家の場合。消毒の手間が最小限で済むから)など、たくさんのことを母に教わり、パンクしそうだった。
 
ようやく、料理に関するいろいろな事が分かるようになり、楽しくなってきたところだ。
スーパーではサニーレタスが高いねえ、と話しかけられ、そうですね。と答えられるくらいになった。大きな玉ねぎを見て、立派に育ってくれたなァ! とテンションが上がるようになった。ルゥやレシピに頼らなくても、この調味料を入れたらこんな味になるだろうと推測して作れるようになった。何より、味見という名のつまみ食いと、自分が食べたいものを作れるということに幸せを感じる。
 
料理が苦ではなくなってきたので、家族の約束とは別に、たまには自分でお弁当をつくってみようと思った。家族4人分のご飯は、母との約束でもあるので継続するしかない。その一方で、なんとなく決めた自分用のお弁当づくりが半年も続くと思っていなかった。なぜ私がお弁当作りをこんなに続けられたか、それは私がお弁当作りを頑張らないからだと思う。
 
私のお弁当は、あらかじめ多めに炊いて冷凍しておいたパックのご飯と、もう一品野菜炒めなどを詰めたパック、この2種類である。お弁当というと、卵焼きとか唐揚げとかミニトマトとか、たくさんの具材を入れるイメージだった。小学校のときの遠足で食べるお弁当は特別な存在だったし、高校では毎日食べられるのが夢のようだった。なんであんなにお弁当っておいしかったんだろう。けれども、私にはそこまでのキャパはない。もし作れたとしても、それが毎日は絶対に無理! そう確信した私は、お弁当は作るけど、頑張らないようにすると決めた。どうせお弁当を食べるのは私だ。ご飯とおかず1品でも誰も文句を言ってこない。むしろ、自分の好きなものを作れる。これで十分腹は満たせる。立派なお弁当だ。
 
今日は半額だった豚バラと、普通の2倍くらいありそうな大きな玉ねぎをフライパンで炒めて、おしまい。少し味を買えたり、チーズをトッピングしたりすれば、これで3日分のお弁当になった。1つは冷凍して来週に。2つは月曜日と木曜日など、間をあけて食べれば問題なし。調理を始めてパックに詰めるまで、30分もかかっていない。他にも、鶏むね肉とトマトを一緒に焼いてチーズをトッピングするだけのチキンソテーや、合い挽きミンチに醤油やケチャップなどの調味料を加えてタコライス風にするのが私の定番だ。どれも30分ほどで2、3人前が簡単にできてしまうので、今日の夕飯に迷っていたらぜひどうぞ。
 
もともとはお弁当作りも自分の料理のスキルをあげるため、と思っていたが、それよりも大きな成果になったのは節約効果だった。今まで食堂では毎日500円を払っていた。時間と労力込みの500円は、特に高いものと思っていなかった。しかし、計算してみると恐ろしいことになる。1ヶ月で20日出勤だとすると、食堂に1ヶ月で10000円も払っていることになる。10000円は流石にバカにできない。
 
今日作った豚バラと玉ねぎ炒めは1食100円ほどだ。これは豚バラ半額と、どでか玉ねぎおかげだが、高くても毎食200円には落ち着いている。つまり、食堂に毎日足を運んでいた時に比べて、軽く6000円は節約ができていることになる。毎月これだけ浮くのは非常に大きい。同僚よ、君が正しかった。ケチくさいと思っていてすまない。チリも積もれば山となるとはこういうことだと改めて実感した。
 
ぜひ、頑張らないお弁当にチャレンジしてみてほしい。日本のサラリーマンはあまりにも忙しいので、とりあえずランチは食堂やコンビニ弁当で済ませている、そんな人もたくさんいるだろうと思う。その食事が好きならそれでいいのだが、なんとなくメニューや栄養が偏りがちで飽きてこないだろうか。そんなあなたにこそ、お弁当のススメだ。頑張って作る必要はない。それでも、費用面、そして好きなものを食べられるという充実感を、ごく短い時間で手に入れられる。私のように3食30分なら、1食あたり10分だ。食堂で並んだり、コンビニに向かったりするよりも早いかもしれない。私はこれからお弁当づくりを続けていこうと思っている。決して頑張らずに。
 
 
 
 
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2021-06-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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