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スパイスから学ぶ、縁の下の力持ち精神


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:スミ咖(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
縁の下の力持ち。表で活躍し、キラキラ輝いてはいない。表で活躍する人を、いかに輝かせられるかということに徹している。こんな人のことを言う言葉。
サッカー選手が試合に出られる裏には、健康を管理していたマネージャーがいる。鮮やかなシュートを決められた裏には、絶妙なタイミングでパスを出したもう1人の選手がいる。成功の裏には、陰ながら頑張る、縁の下の力持ちの人がいる。その人に光は当たらない。だけど一生懸命な姿、自分が! と主張することなく、人の役に立とうとする姿は、献身的で、けなげだ。縁の下の力持ちにはそんなけなげさがある。
日頃感じにくい、陰の存在のありがたみ、すばらしさ。それを、スパイスカレーのスパイスが教えてくれた。
 
インスタグラムのおすすめ投稿欄は常にスパイスカレーの情報で埋め尽くされている。気になるお店を検索して、フォローする。そして実際にお店に行く。オーナーさんとカレーについて語り、仲良くなる。大好きになった店に友達と再び行く。そんな生活を送っている。
何店舗も食べに行く中で、入っているスパイスが気になりだす。そして自分でも作りたくなった。スパイスを買って、挑戦してみた。
 
ネットで調べた結果、初心者でも扱いやすく、手軽なスパイスは、クミン、ターメリック、ガラムマサラ。そしてこの3つがあれば、カレー味になるということだった。クミンは粒状になっているから、最初に油で炒めると、粒がやわらかくなって、香りが出る。クミンの粒がやわらかくなったら、好きな具材、野菜を炒め煮詰める。ターメリック、ガラムマサラは粉になっているので、最後の仕上げとして、具材に振りかければよし。
スパイスから作ると聞くと難しい印象があった。だけど、好きな具材を炒めて、粉のスパイスを振りかけるだけ。これで完成!
意外と簡単! 店に行くことに加え、作ることも気に入り、いろんなスパイスが気になり始めた。徐々に増えていくスパイスコレクション。最初3種類だった手持ちは今では10種類ほどになった。
自分で作る機会が増えてきて、自己流でない、本格的なカレーを作ってみたくなった。スパイスカレーレッスンに行ってみた。
 
レッスン会場の扉を開ける。ターバンを連想させるヘアバンド。オレンジが印象的な巻きスカート。肌寒い春先にサンダル。アジアを連想させる先生が出迎えてくれた。先生は東南アジアをはじめ50か国以上を旅したそうだ。そんな先生のレッスン。どんなカレーが作れるんだろう。先生はレッスンの前にカレーを出してくれた。出してくれたのは、キャベツとジャガイモのカレー。一口食べると、スパイスがふんわり香り、控えめな酸味を感じた。
「おいしい!!」口に入れると同時に声が出た。
すると先生は言った。
 
「スパイスは素材の引き立て役。主役じゃなくていいんです」
 
なんと。
スパイスカレーという名前がついていながら、スパイスは主役ではないのか……。
 
今回のカレーの主役は、キャベツとジャガイモ。その味、旨味を最大限に引き出す役割をするのがスパイス。「スパイスを何十種類も使って、主役にする必要はない」と先生は続けた。
 
表立って主張する、そうせず、素材を引き立てようとしているのか。スパイスは。「私はすごい! 私はこんなにみんなの為に頑張っている!」と表現する人より、むしろ表現せずひっそり、黙々と行動している人に魅力を感じるのと似ている気がした。
 
例えば母親。毎日感謝されるわけでもないのに、子どもの弁当を毎日早起きして作る。毎日家族の為に黙々掃除をする。こうして頑張る母親の姿に惹かれるのは、子どもがいつも元気でいられるように、子どもが子どもらしくいられるようにする。表立っていない陰で支えようとする姿があるから、母という存在は惹きつけられるのではないだろうか。
 
自分を認めてほしい! 自分の頑張りを見て! というわけではない。常に相手のことを考え、相手が輝けることに徹している。縁の下の力もちとして振る舞う。そして相手の為に働くということを貫いている。
主張することで目立つ、認められると思われがちだ。だけど本当に人の心を動かすのは他人を思いやり、それに徹する強さをもっている人ではないだろうか。
 
スパイスは主役ではない、だからスパイスを目立たせ、主役にする必要はない。メインは具材であり、スパイスは引き立て役だ。そんな縁の下の力持ちであるスパイス。
なんともけなげではないか。
 
もし、スパイスカレーを食べる機会があったら、おいしい! と感じるその時。具材を最大限に引き出そうと、ひっそり、けなげでいるスパイス。そのけなげさを少しでもいいから思い出して欲しい。
 
 
 
 
***
 
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2021-06-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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