毎日の食事に潜む苦悩とありがとう
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:早藤 武(ライティング・ゼミ超通信コース)
ある夜のこと、私はひとつの悩みを抱えていました。
「うーん、何を作れば良いのだろう」
高校の家庭科の授業で、昼食前の午前中2時間という枠の中で、料理をして食べて片づけるまでが終わるならば何を作っても良いという課題を出されたのです。
締め切りはまだ1週間ありますが材料の買い出しなどの準備も必要です。
自由な課題でしかも自分が食べられるものなので嬉しいはずなのですが、この課題が悩みの種となるとは思ってもいませんでした。
育ち盛りの男子である私は、お腹を満たすことがさえできれば献立は何でも満足できる子でした。
小中学校では給食は、残したことがなくいつでもぺろりと食べきっていました。
母親から「今日は何が食べたいの?」と聞かれたときはこう答えていました。
「何でも良いよ! 母さんが作ってくれるご飯はいつも美味しいからね」
そしていざ自分が食事を作る側にまわった時、献立が何でも良いと言われた時に何を作れば良いのかという難題に初めて気が付いたのでした。
「うーん、何を作ろうかな」
何を作るのかを早めに決めないと材料を買いに行く時間や作り方を調べる時間がなくなってしまう焦りも出てきました。
そこで思い立って、親しいクラスメイトに何を作るのかを聞いてみる事にしました。
「私が何を作るのかって? お母さんの得意料理がカレーライスだから秘伝のレシピを教えてもらって作ってみようと思っているの」
「俺はパスタを使った料理にしようと思っているよ。アルバイト先がイタリア料理を作るお店だから、いつもと少し違ったメニューを調べて挑戦しようと思っているよ」
「そっか、教えてくれてありがとう。まだ何を作るか決まっていなかったからヒントにさせてもらうよ」
持つべきものは頼れるクラスメイトです。
自分が何を作ろうかと考えるヒントをたくさんもらえました。
「そうだ、あれを作ってみようかな」
そして次の週の家庭科の実習の時間、材料も買いそろえて下準備も何とか終えて本番です。
しかし、実際に作るのは初めてなのでレシピを見ながら作ることになります。
今回チャレンジすることになったのは、ピザです!
私の母親が時々、トーストを使ったピザをおやつ代わりに出してくれていたので本格的なものを作れないか考えたのです。
本で調べたところピザの生地は、強力粉と薄力粉を材料に塩や砂糖、イースト菌を加えて発酵させるため下準備に時間がかかってしまいます。
授業中に出来上がるか時間を計算して、きちんと授業中に作り終えられそうだということで生地作りから始めました。
慣れない作業のため、簡単なはずですがレシピを何度も確認して時間はかかりますが少しずつ進めていきます。
ピザの生地を丸めてボウルに入れて寝かせている間に、生地の上に乗せる具材を用意していきます。
ベーコン、アスパラガス、トマトソース、チーズを用意して、オーブンも自分の分がきちんと使える状態かを確認してきます。
料理を事前に用意するのも大変だったけれども、実際に作るとなるとやることがたくさんあって思ったよりも大変だとわかりました。
生地が出来上がるまで少しだけ休憩する余裕ができたので、周りを見渡してみるとクラスメイトたちも苦戦しているようでした。
カレーを作ろうと具材を鍋で炒めたら焦げ付いてしまった人、使おうと思っていた材料を入れ忘れていた人もいました。
それでもみんなは楽しそうに、一生懸命に料理を作っていました。
部屋中が良い匂いで満たされてきたところで、私もできあがったピザ生地を薄く広げて具材を乗せていきます。
クラスメイトのように具材を乗せ忘れたり、焦げ付かせないように気を付けなければいけません。
オーブンの温度を確認して、ピザ生地を入れて焼き上げます。
あとは焼くだけなので安心したのかお腹が減ってきました。
そしてピザが焼きあがるまでの間に、母親は毎日僕ら子どものためにこんなに大変な思いをして、食事の支度をしていることがわかって心からの感謝の気持ちが湧いてきました。
チンという音でピザが焼きあがった時間になって、取り出してみるとチーズも溶けて美味しそうに焼けてくれました。
出来上がった人から食べて良いという流れになっていたので、クラスメイトと自分達で作った料理を交換して食べました。
少し焦がしてしまった子は苦笑いしながら周りから次はこうした方が良いとアドバイスをもらっていました。
美味しく終わった調理実習から自宅にもどって、母親がご飯を作りながらお帰りなさいと私に声をかけてくれました。
私はいつもご飯を作ってくれていた母親に今日までの悪戦苦闘した話と毎日本当にありがとうと伝えたのでした。
***
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