おばさんへ
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:大牧海恵(ライティング・ゼミ平日コース)
幼馴染のお母さんが亡くなった。
77歳だった。70歳からだんだん筋肉が衰えていく病気にかかり7年間闘病された。
だんだん自分の体が動かなくなり、最後は呼吸ができなくなる。
想像するだけでも本当にキツイ病気だ。
それを支える家族もまた言葉にできないくらい大変だったと思う。
進行していく病気をただ見守ることしかできない。
介護という体力的なこと以外にもメンタル的にもつらかっただろう。
私がNちゃんのおばさんに初めて合ったのは小学校に上がる前の5~6歳の頃だ。
新潟から越してきた私は近所に住んでいたNちゃんと仲良くなった。
Nちゃんの家はおじいちゃんとおばあちゃん、お父さんとお母さん、お姉ちゃんとNちゃんの6人家族
ちびまる子ちゃんと同じ家族構成。年代もまるちゃんと同じ1970年代の頃だった。
動物好きの一家で、犬と猫と鳥とウサギと鯉を飼い、沢山の植物を育てていた記憶がある。
近所にはタバコ屋さんがあって、そこに駄菓子やアイスをよく買いにいった。
毎日のように一緒に遊んでいたが、小学3年生の頃、私の両親は同じ市内に家を建てることになり引っ越すことになった。
同じころNちゃんの家も引っ越しをすることになりバラバラになることになった。
せっかく仲良くなったのに残念だと思っていたのだが、なんと引っ越し先もご近所だったのだ。
学校は違っていたが歩いて遊びに行けるほどの距離だったのでしょっちゅう遊びにいった。
新しい家にはおじいちゃんとおばあちゃんは越してこなかったが、飼っていた犬は一緒だった。
名前は「ポチ」 白くて毛足の長い中型犬。
おばさんと散歩をしている姿が記憶にある。
中学の頃は夏休みに泊りがけでお家へ遊びにいった。もう一人の友達と3人でワイワイとうるさくしたと思うが、
「あんた達何やってんの~? 楽しそうねぇ」 と明るく声をかけてくれた。
おばさんは、お茶目でユーモアがあって楽しい人だった。
社会人になってからは家へ遊びにいくこともなくなりお会いすることもなくなってしまったが、
私が結婚するときはお祝いに裁縫箱を送ってくれた。
私の母とも交流があったので母から受け取ったのだが、私はきちんとお礼を自分で伝えていただろうか?
いままでお世話になったことに対して「ありがとう」 ということが出来ていただろうか。
私の父は、私がまだ20代前半の頃に病気で亡くなっているのだが、
「うみちゃんのお父さんが亡くなったとき、
Nちゃんのお母さんが一緒に告別式に連れて行ってくれたんだけど、私、まだ若くてお香典のこととか頭になくて手ぶらで行っちゃって……
そうしたら、Nちゃんのお母さんが、そんなこともあるかと思って、って言って、私の分も余分にお香典用意してくれていたの」
ともう一人の幼馴染Mちゃんから聞いた。
今、私はその頃のおばさんの歳と同じぐらいだが、同じような心配りが私に出来ているだろうか。
最近はコロナ禍ということもあり、家族葬で全てを済ませてから亡くなったことを公表することが少なくないが、
おばさんが亡くなった日は、たまたま、Nちゃんとお茶の講座に出席することになっており、事情を知ることができた。
お願いして最後にお別れをさせていただいたのだが、お顔を拝見すると、長く闘病されていたのにとてもお綺麗で、
「あら、うみちゃんきてくれたの!」 と今にも声をかけてくれそうで涙が出た。
おばさん、今までありがとう。
子どもの頃、あんなにお世話になったのに何にも恩返ししていなくてごめんなさい。
これからは病気の辛さから解放されてのんびりしてください。
ポチくんとか、その後に飼った猫のマリンちゃんとかにも久しぶりに会えたかな。
私はおばさんに恩返しできなかった分を、おばさんが私たちにしてくれたように他の人に恩を返していくようにします。
こう言うのって恩送りっていうんですよね?
まだまだ、おばさんのように行き届かないとは思いますが、
困っている人にはさりげなく手助けし、
他の人のうれしいことには一緒にお祝いする気持ちを持つ。
そういえば、つらい闘病中でも、ユーモアを忘れず、周りの人をほっこりと癒していたというおばさん。
そんな素敵な大人に私もなりたい。
そんなお手本を見せてくれてありがとうございました。
おばさん……
Nちゃんと約束してた日に亡くなるなんてホントは最後にお別れのチャンス作ってくれたんですよね?
考えすぎ……?
でも、お茶目なおばさんならそんないたずらもあるのかも……
だとしたら、流石です。
***
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