メディアグランプリ

和菓子と洋菓子、どちらがいいか。


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記事:真島遥香(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
特別甘党ではないが、私は甘いものが好きだ。
「和菓子と洋菓子、どちらが好きか」と尋ねられれば、どちらもそれぞれに好きと答える。
 
好みの問題なので、和菓子派の人もいれば洋菓子派の人も、それぞれにいるだろう。あるいは中立とでも呼ぶべきか、私のようにどちらも好きだという人も。
 
たとえば、和菓子派の人もチョコレートやケーキを食べたことはあるだろう。逆もしかり、洋菓子好きの人もおまんじゅうやあんみつを食べたことはあるのではないかと思う。
 
つまり多くの場合、和菓子と洋菓子両方を食べてみた上で、どちらがより口に合うかジャッジしていると思うのだ。
 
「自分は和菓子が好きなのか、それとも洋菓子が好きなのか」を判断するためには、まずその両方を食べてみる必要があるだろう。
片方しか知らず、食わず嫌いの状態で「○○の方が好き」と言っても説得力に欠けるからだ。
 
食に関することは、食べてみなければ判断がつかないので、ひとまず口にしてみるという人は多いだろうと思う。
しかし、他のものについてはどうだろうか。
たとえば、「歴史」など。
 
大河ドラマでは、毎年様々な時代の人物や出来事がテーマになっているが、今年の題材は渋沢栄一の生涯だ。
その中で、江戸時代末期の幕末に流行した「尊王攘夷思想」についても触れられている。
 
尊王攘夷とは、「天皇を尊び、外国を排斥する思想」のことだ。若き日の渋沢栄一もそうした思想を持っていたという。
 
一方で、攘夷志士の中でも過激な思想を持ち、治安を乱す者を取り締まっていたのが、幕府お抱えの組織である新選組だ。
 
「新選組」は、過去に大河ドラマで取り上げられたことがある。
京都の旅館・池田屋で、過激な企てのための会合中だったとされる攘夷志士の多くが、新選組の手にかかって命を落としたとされる出来事は、「池田屋事件」として有名だ。
 
新選組は、大河ドラマに限らず数々の小説やドラマで描かれており、そうした影響もあって新選組ブームと言われるような人気の高まりも起きている。
 
しかし過去の評価を振り返ってみると、「粗暴な武装集団」というイメージや、「池田屋事件が起きた結果、明治維新が五年は遅れた」など、否定的な声が強かった時代もあるようだ。
 
「倒幕派が江戸時代を終わらせ、明治政府を起こし、日本は近代化できた」という評価は、あくまでも後世に生きる人々がその後の出来事まで加味して、客観的な視点から下しているものだろう。
 
幕末は、揺れ動く世情の中「国のため」「自分の信じる正義のため」とそれぞれが正しいと思うもののために戦った時代だ。「英雄」と取り沙汰される人物も多くいる。
 
歴史が好きで幕末に詳しい人たちの間でも、幕府側である新選組と、倒幕派や尊王攘夷派と呼ばれる側
とでは、好みが二分するようだ。
 
日本史を勉強した人や幕末が好きな人であれば、どちらを支持するかは別として、両勢力についての知識はあるだろうと思う。
 
しかし、「毎年は見てないけど、新選組がテーマだった年の大河ドラマは見た」という人や、「幕末には詳しくないけど、坂本龍馬についての小説は読んだことがある」という人だとどうだろうか。
 
そうした作品は、史実を扱っているとはいえフィクションであるため、ドラマチックな描かれ方をしているケースも多く、どちらかを主体に描いた作品しか知らなければ考え方や好みが偏りやすいのではないかと思う。
 
私も、新選組を題材にした小説、幕府や新選組に抗っていた側の攘夷志士をメインに据えた話、どちらも読んだことがある。
 
幕末に起きた同じ出来事を辿っていても、「幕府を守る新選組」の視点で話が進むのと、「幕府を倒し、新しい時代を作る思想を持った志士」の視点から話が進むのでは全く印象が異なることに驚いた覚えがある。
 
こうした偏りをなくすためには、やはりどちらも知ってみることが必要なのだと思う。
それは、「和菓子と洋菓子を両方食べてみて好みを判断する」ことと似ているように思うのだ。
 
だが、「和菓子」と「洋菓子」両方を食べたことがある人と比べて、幕末における「幕府側」「倒幕派」どちらについてもきちんと知っている人というのは少ないのかもしれない。
 
偏見を持つな。多様性を持て。互いを理解しろ。
そうした風潮の強まる今日において、対立した両者について知り、自分なりの意見を持つことは意味のあることだと思う。
 
自分の知る世界はとても狭く、善悪の判断基準は人それぞれ違う。自分が善だと信じるものも、立場の違う他者から見れば悪だということもあり得る。
だからこそ歴史に学び、反発する両勢力の立場を知ることや、物事を両側面から検証することは重要なのだと思う。
 
そうしてたくさんのことを知っていけば、自分の経験値や知りうる範囲の中だけで判断せず、他人をより理解し尊重することができるのではないだろうか。
 
スイーツの中でも和の甘味が好き。
あんこの入った和菓子より、生クリームを使った洋菓子の方が好き。
和菓子と洋菓子両方を食べ、自分の好みを把握していれば、より好きなものをおやつに選ぶことができる。
 
和菓子と洋菓子、それぞれに美味しいし、どちらかしか知らないのはもったいない。
食べてみたものや好きなものが多ければ、「それは口に合わなかったな」という意思表示ができるし、「それも美味しいよね。私はこれも好きだな」と、相手の気持ちも理解しやすいかもしれない。
「和菓子と洋菓子どちらも好き」な中立の立場から、そう言いたい。
 
 
 
 
***
 
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2021-07-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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