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自分の体を知ること


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:串間ひとみ(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
私は昔から、太ももが太いことがコンプレックスの1つだ。
 
だからと言って、肥満なわけではない。体重はいたって標準なので、「足が太いのが悩み」と言うと、「どこが?」と言われてしまう。まあ、太ももの太さが目立たないようなワイドパンツを選んではいているので、そう言われるのも無理はない。
 
「ウエストに合わせて普通のパンツを買うと太ももが入らないし、太ももに合わせて買うと、ウエストがゆるゆるなんです」という説明をすることで、一応の理解は得られる。
 
太ももが太い原因は、分かっている。太ももの上部外側にある大転子が、だいぶ横に出ているのだ。ちょっとカッコよくはきたいと思って試着したパンツの多くがその関門を突破できず、もしくは突破しても、はいた後のでっぱりのあるシルエットが何とも残念で、結局洋服屋さんの棚に戻されてきた。ちなみに大転子とは太ももの骨である大腿骨上部の外側に出ている大きな突起のこと。学生の頃から気になって、どうにかならいかと、それらしい体操などをしてきた私にはおなじみの存在なのだが、意外と知らない人も多くて、逆に驚いてしまう。
 
いずれにしても、骨だし、そんな簡単にどうにもならないかと、ワイドパンツに甘んじていた私に、救世主が現れた。たまたまネットで見つけた「大転子矯正」の文字。それまで骨盤矯正という言葉は聞いたことがあったが、大転子矯正という言葉は聞いたことがなかったと思う。気になりながらも、個人整体院というのがどうも気になっていた。失礼ながら、「何かあやしい施術とかされないよね? そもそもそういう珍しいのは、わりと有名な整体院とかサロンとかでやっているものじゃないの?」などと思っていたのだ。レストランでもそうだが、個人でやっているところというのは、初めて行くのに勇気がいる。それでも長年の悩みから解放されるのであればと思い、意を決して連絡をし、その整体院に出向いた。
 
マンションの1室にその整体院はあった。男の先生だったが、優しそうで、丁寧に説明もしてくださったので、少しだけ安心して、施術を受けることができた。
 
まずは、足の外側の筋肉を緩めるためのマッサージから始まった。足の裏やふくらはぎ、ひざの裏などは自分でマッサージすることもあったが、まさかの足の外側。
 
「だいぶかたいね。痛くないですか?」
 
痛いというほどでもなかったけれど、これまでに感じたことのないような圧と、言われるようにかたいということは分かった。今まで、気にしたことがない部分だったので、ヘンな感じだけれど、本来しなやかであって欲しい筋肉がここまでのかたさを感じるというのは、知らず知らずのうちに頑張ってくれていたのだろう。
 
「普通だと、これくらいの圧をかけると痛がる人が多いけどね。痛みに強いタイプなんだね」
 
「痛いとか、痛くないとかは関係あるんですか?」
 
「痛いと感じると、筋肉が萎縮してしまって逆効果だから、痛くない強さでマッサージしないといけないんだよ。痛みを感じる強さは人それぞれで、2~3の力で痛いって言う人もいれば、8~9の力で痛いと感じる人もいる。例えばぎっくり腰って、突然なるって言うでしょ? でもあれは突然じゃないんだよ。もともと腰に疲労がたまっていても、痛みに強いタイプの人は、ぎりぎりまでそれを気にせず過ごせるから、症状が出たときに突然のように感じるだけなんだ。そういう意味では、痛みに強くない人の方が、すぐ痛みを感じるから大変かもしれないけど、大きなことにならないかなあ」
 
「と言うことは、私はぎっくり腰をやらかすタイプということですね?」
 
「どちらかと言えばそうだろうね。だからこそ、自分の体に関心を持って、痛みが出る前にメンテナンスするとか、気をつけてあげないと。替えがきかない体なんだから」
 
私の矢継ぎ早の質問に答えながらも、筋肉のほぐしが終わり、仙骨・尾骨とともに骨盤を形成している寛骨という骨の外側にある大きなくぼみの部分である寛骨臼に向けて、大腿骨の頭部を入れ込むところ、つまり本来大転子が本来あるべき場所に戻るときがきた。正直、相当痛いのではないかと思っていたが、特に痛みもなく、施術が終わった。
 
そもそもなんで大転子が出てくるのかと言えば、一番の原因は姿勢とのこと。それに加え、男性に比べて寛骨臼が浅いことと、筋肉が少ないことで、大転子が外に出やすいとのこと。そして、寛骨臼と大腿骨頭部は股関節というじん帯のみでつながっているので、外に出た大転子をサポートするように余分な脂肪がついてしまい、太ももが太くなるのだとか。他にも、お尻の筋肉が上手く使えてないことなど、説明されればされるほど、自分の体の気になっていることが、連動していて驚いた。もちろん正しい位置に戻ったからといって、急についてしまった脂肪がなくなるわけはないのだが、施術後に触った自分の太もも外側上部には、施術前ほどの出っ張りを感じなかった。
 
私はこれまでに、大きなけがや病気をしたことがない。それ故に、割と無理がきく丈夫な体だと信じて、結構な負担を体に強いてきたように思う。知らなかったこととはいえ、整体院の先生と話をしながら、その残念なスタイルや小さな不調の原因を自分が作っておきながら、体をいたわってこなかったことに気づき、申し訳ない気持ちになった。
 
年齢を重ねて、スタイルの良さよりも、健康でありたいと思うようになったので、昔に比べたら、太ももが太いことなど、あまり気にならなくなった。けれど、それが正しい筋肉の使い方ができてないことや、無理を繰り返してきたことにより、体の不調をきたしているのであれば、話は別だ。
 
整体院の先生曰く、
 
「きれいな体は、元気な体。体のゆがみや痛みをとって、元気な体になったら、結局それがきれいな体になってるんだよ」
 
だそうである。納得!
 
大学生の頃は、解剖学などただただ辛い授業だったのに、先生から体の仕組みやメカニズムを教えてもらうようになって、自分の体への関心度が爆上がりした。自分の体は、生まれたときからずっと付き合ってきたにも関わらず、今になってようやく知ることばかりで、まだ知らないこともたくさんあるのだろう。だけど、これまでよりもずっと関心を持てるようになったことで、これからは今までよりも大事に、仲良く付き合っていけると思う。
 
 
 
 
***

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2021-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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