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「普通」とはなんだろう?


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記事:寺島まきこ(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「フランスの学校はどう?」
オンラインとはいえ、久しぶりに友人と話す時間を持つことができた。
彼女はフランス人の旦那さんと結婚して、フランスで子育てをしている。今、お互いに小学生を育てている最中だ。
 
この日は、フランスの小学校の環境について聞いた。
「フランスのど田舎に暮らしているから、パリとかおしゃれなところとは全然違うと思うよー!
ど田舎だから自然が多くて、自然の中ではしゃぎ回る時間がとっても多いの。
ランチタイムは毎日帰ってくるよー!」
とのこと。
 
そう、フランスのランチタイムは2時間もある。だから自宅で食べてもいいし、学校で友達と食べてもいい。
フランスでも学校に行きたくない子も、もちろんいて、ママに会えないのが寂しいと泣く子もいる。そんな子はもちろん、低学年の子のほとんどは家でランチタイムを過ごすそうだ。
 
「それにね、休み多い! 多過ぎ!」
フランスでは2週間おきにバカンスがあるから、しょっちゅう長期休みがあって、家族時間がとても長いのも、日本とかなり違うところだという。
 
日本から転校した彼女の娘が、フランスの学校に馴染めないことから、今日の課題が終わったら、好きなお絵かきをずーっとしていていいことになった事も喜んでいた。その対応は、校長先生がしてくれているらしい!
 
日本では校長先生が、生徒の前に顔を出すのは朝礼などの「校長先生のお話」の時くらいで、一方的に聞くのが一般的だ。
日本とフランスは、ずいぶん違うなーと彼女の話を聞いていて思った。
 
しかし、日本の方がいいところもたくさんあるという。
学校は自由度は高いが、日本ほどきちんとはしていない。だから、急な予定変更も多々あるらしく、前日に突然、明日は遠足です! といった通達が来たことがあって準備ができずに戸惑ったとか。
 
 
どちらの国にも、メリット、デメリットがあるんだなと感じた。
 
それにしても、数十年前に比べて日本もずいぶん国際的になった。
 
息子が通う公立小学校には、外国人が多くいる。
同じ学年に、母親か父親のどちらか、または両親共に、中国人、フィリピン人、ドイツ人、スペイン人、インドネシア人の方がいる。
 
息子が幼稚園の頃に、私はスペイン人のママとフィリピン人のママと仲が良かった。その時、彼女達との感覚の違いにずいぶん驚いた。
 
「ねー、なぜみんな、おかしいと声をあげないの?」
スペイン人のママに聞かれたときには、なんのことかさっぱりわからなかった。
 
彼女の視点では、幼稚園はおかしなことだらけだったようだ。
運動会の運営やベルマーク集計など、ママの役割があるときに、どうして必要な人を雇わないのか。
なぜママが運営を手伝う必要があるのか。
 
花の水やり当番に関しては、用務員さんは報酬をもらって花に水をあげているのに、ママはなぜ「子供達のため」という名目で、無料で労働させられるのか。
PTAは、なぜママばかりでパパがほとんどいないのか。
外国の視点では、おかしいことだらけだったようだ。
 
日本人として生活していると、それらは全て当たり前で、気に留めた事もなかった。しかし、確かに指摘されてみるとそれらは「日本特有の普通」であって世界的な視点から見たら、全く普通ではないことに改めて気付かされた。
 
フィリピン人のママには、
「朝7時に朝食をしても、12時前にはお腹が空くわよね?」
と言われ、確かにその通りだと思った。
フィリピンでは、学校にお菓子を持ってきて食べることもあるし、小学校にお金を持ってきて学校内で買うこともできるらしい。
だからランチ時間以外でも、お腹が空いたら食べていいのが普通だそうだ。
 
 
日本でも方言が、それぞれの地方の一部でしか通用しないように、日本の当たり前も日本でしか通用しない。
 
 
普通とは一体なんなのだろう。
こんなにも国際的になってきている社会の中で、これまでの日本の普通の感覚だけでは通用しなくなってきている。
普通は国の数だけある。もっと細かく見たら、地方の数だけあるし、人の数だけあるのかもしれない。
 
なぜ学校で休み時間に、ちょっとしたものを食べてはいけないのだろうか。
なぜママだけが、学校行事に無料で駆り出されるのだろうか。最近は、時々パパもいるが、とても目立つのでパパは参加しにくい環境が整っている。
外国のママの視点は、私に「普通」を考え直すいい機会を与えてくれた。
 
「普通、ピンクは女の子の色だよ」
ピンクが好きだった息子は、その言葉を聞いてからピンクを避けるようになった。
 
場合によっては、普通という言葉によって苦しくなることも、傷つく事もある。
 
私自身「普通」の使い方には気をつけていこうと思う。
そして、自分の思っている「普通」をもう一度、世界基準で省みて徐々にアップデートしていこうと思う。
 
 
 
 
***

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2021-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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