メディアグランプリ

変わった名前の野菜に囲まれる、野菜ガチャ生活


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記事:ebikawa(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
コールラビ、スイスチャード、アイスプラント。
これらは、魔法の呪文でも競走馬の名前でもなく、野菜の名前である。
そんな聞きなれない名前の野菜たちが、先日、私の家に段ボール箱いっぱいに送られてきた。
 
きっかけは、会社の社内表彰で5000円のギフトカードをもらったことだ。
そのギフトカードは「食べチョク」というウェブサイトでのみ利用可能だった。
 
はじめて名前を聞いたが、「食べチョク」とは、農家や漁師などから商品を直接発送してくれるオンライン直売所だそうだ。直送。つまり商品の鮮度がハンパないわけである。
 
「食べチョク」では、野菜や果物をはじめ肉や魚、お酒や花まで、幅広い商品を扱っている。登録されている生産者は約3800件、商品の数は約27000件にのぼる。
ウェブサイトでこの膨大な数の商品を眺めながら、私は何を注文しようか頭を悩ませた。
 
5000円のギフトカードを使うと、けっこう量の多い商品が注文できる。しかし、私は一人住まいだ。そのため同じものがたくさん送られてきても困る。コロナで友達に会えないため、お裾分けというのも難しい。
そこで私が目を付けたのは、色々な種類の野菜がランダムで送られてくるタイプの野菜セットだ。
 
このタイプの野菜セットは、内容物のだいたいの目安は書かれているものの、実際に送られてくるものは、農家の方がおすすめしたい旬の野菜であったり、気候や収穫状況によって変わったりする。何が送られてくるかは届くまでわからない、いうなれば「野菜ガチャ」だ。
 
私は普段、スーパーで同じ野菜ばかり買っている。サラダを作るにしても、たいていはレタスとトマトとブロッコリー。そんな決まりきった日常を、未知の「野菜ガチャ」が変えてくれるのではないか。そんな期待が膨らんだ。
 
さらに、ランダム要素に加えて、「食べチョク」には、近所のスーパーではお目にかかれないような珍しい西洋野菜を扱った農家も多い。私はたまにサラダにアボカドや豆の缶詰など使おうものなら、それだけで「わあ~表参道の人たちが食べてるみたいなサラダ作っちゃった!」と悦に入るレベルだ。イケてる西洋野菜たちがサラダのメンバーに加わろうものなら、表参道どころかニューヨークまで天元突破できそうだぞ、とワクワクしてきた。
 
そうして注文したいものは絞れてきたが、西洋野菜が含まれる「野菜ガチャ」を提供している生産者は「食べチョク」にけっこう多い。そこからさらに選ばなければならないのだ。
 
最近はスーパーの野菜にも生産者の名前や顔写真のシールが貼ってあるのを見かけるが、「食べチョク」にも生産者情報は詳細に載っている。さらにはブログもあり、農場の周囲の自然にあふれた様子や、収穫中の野菜がリアルタイムに紹介されている。レビュー欄では、発注側と生産者の「届きました!」「こうして食べるとおいしいですよ」といったやりとりも見られる。
そんなページを読んでいると、「生産者の顔」どころか「生産者の今の気持ち」も伝わってくるので、こちらも「こんなに愛情込めて育てている生産者さんの野菜を食べてみたいなぁ」という気持ちになってくるのだ。
 
生産者ページをいろいろ眺めた結果、私は、収穫風景がブログに詳しく載っていた、高知県の農家の方が提供している野菜セットに決めた。なお、この農場はコロナ感染拡大によりこれまで出荷していた飲食店の休業が相次ぎ、売上が昨年比60%減となってしまっているそうだ。そういった面からも、助けになりたいと思った。
 
注文した品は、一週間後にクール便で届いた。うきうきしながら段ボール箱を開けると、想像の倍近い量がパンパンに入っていてギョッとした。取り出しても取り出しても野菜が出てきて、だんだん笑えてくる。ウェブサイトの商品説明には「10種類プラス」と書いてあったはずだが、納品書を確認すると15種類もの野菜が入っていた。イメージ画像よりこんなに量が増えてくるなんて、コメダ珈琲にでも連れていかれたような気分である。
 
届いた野菜は、冒頭に挙げた変わった名前の3種の他にも、ケールやワサビ菜など珍しいものが含まれていた。さらに、ズッキーニは「UFO型」、ピーマンは「釣鐘型」、ジャガイモは紫色の品種と、いちいち珍しい。あまりに見慣れない野菜の登場が続いた後、普通のニラが入っていた時は顔見知りに会ったようでほっとした。ただ私が普段見ているニラよりも、ずいぶんみずみずしくて元気そうなニラではあったが。
 
そうして予想以上に珍しいメンバーたちに気圧されもしたが、箱には生産者の方による、保存方法やおすすめの調理方法が書かれた紙も入っていたので、食べる際にはそこまで扱いに困ることはなかった。
そもそも、届いた野菜のほとんどは凝ったことをしなくても、適当に切ってボウルに入れればそれだけで、とびきり新鮮でオシャレなサラダの出来上がりである。なお「映え具合」は、私の目論見通り、見事に西洋野菜たちの活躍によって確実にニューヨークレベルに達しているオシャレさとなった。
 
そして野菜たちは珍しさや見た目の華やかさやだけでなく、もちろん味もおいしい。これは新鮮さのおかげなのか、四万十川の水のなせるワザなのか。特に「アイスプラント」は初めて食べたが、葉や茎に水泡のようなものがたくさんついていて、海ブドウのようなプチプチ感がありとても好みだった。今後ぜひリピートしたい野菜だ。
 
さて、大量に届いた野菜は一時的に冷蔵庫をぎっしり占拠したが、昼も夜も毎食計画的に消費していき、ひとりで約1週間かけてどうにか食べきることができた。ほとんどがサラダとしての消費だが、ラタトゥイユや牛肉との炒め物など、せっかくならおいしく食べたいと思って普段作らないようなレシピも調べて挑戦したので、そういった点でも、いつもの日常から一歩踏み出すことができた。
 
1週間の野菜ガチャ生活は、おいしいだけでなく、商品を選ぶところから食べ切るまでが楽しい経験となった。なかなかおしゃれカフェに気軽に行くのは、ましてやニューヨークのカフェに行くのは難しいご時世だが、ウェブサイトからの注文だけで、日々の食卓がちょっとした非日常になる。そんな「野菜ガチャ」を、ぜひおすすめしたい。
 
 
 
 
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2021-07-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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