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反骨精神は、正しい用法用量で

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山﨑 堅斗(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「用法用量を守って正しくお使いください」
市販薬のTVCMで、よく耳にするフレーズである。
 
この常套句を聞いて、つくづく思うが、反骨精神というものも、同様に正しい用法用量を守って使わなければならないものだと思ってしまう。
古今東西、反骨精神なるものは様々な種類がある。
目上の人に対する怒り、親に対する反抗的態度、大衆文化に対するカウンターカルチャー。国家権力に対する抗議など。
あらゆる反骨精神は、我々人類のDNAの奥底に根差していると言えよう。
つまり、様々な人間関係においても、用法用量を守って、正しく活用すべき「劇薬」なのである。
作用としてはメリットも大きいが、方法を間違えると副作用とも言うべきデメリットも大きい。
例えば、勝負事におけるライバルに対する対抗心。
これは内に秘めている反骨精神の一つであり、メリット要因の好例である。
「何くそ」という強い憤りや悔しさがバネとなり、モチベーションとして働き、相手に打ち勝つことが出来るのである。
しかし僕のように、反骨精神を思いっきり剥き出してしまうと、人生損ばかりしてしまう。
僕の半生を振りつつ、反省点と共に、正しい反骨精神の在り方というものを考えてみたい。
 
どういう訳だか、僕はよく、色々な人から「異質」であると言われる。
評価を受ける本人にとっては複雑な心境。
一言では形容しがたいのだが、僕の中では、良い意味と悪い意味の両義的な面で捉えている。
ポジティブに捉えると、我ながら、没個性人間ではなく、個性が確立されていると言える。
持ち前のユニークさを武器として、クリエイティビティを発揮できる可能性を秘めている。
ある意味、芸術家気質。アイデアマンタイプ。
反面、ネガティブな面で言うと、我が強く、プライドが高い。
さらに、偏屈だし頑固。
自分の価値観の凝集体。そして視野狭窄。
特にディベートや議論において本性が現れる。
常に自己本位でないと気が済まない質である。
自分自身の主義信条を曲げない。
相手の箴言が聞けておらず、衝突を起こしやすい。
僕のような人間はかえって面倒臭いタイプで、よく仲間からは「クセが強い」と言われる。
つまり、自分とは対照的な意見、または異質なモノに対して「NO」とハッキリ言うため、反骨精神旺盛なのである。
 
このような反骨精神の醸成は、少年期の影響が大きい。
独りっ子であり、常日頃から両親の寵愛を受けていた僕は、恥ずかしながら、常に我儘を貫き通していたのだ。
兄弟喧嘩という、社会で初めて味わう縮図とは無縁であり、平和ボケした日常を過ごしていたのである。
テレビのチャンネル権で争ったり、大好物を取り合ったりしたことが無い。
 
独りっ子という大きな要因も看過できないが、それ以上の決定的要因がある。
小学校6年生の最後の授業参観において発生した大事件。
それまで先生に対して従順な「良い子」を演じていたが、この事件をキッカケにして、張っていた糸がプツンと切れてしまった。
尊敬していた教師に対して、初めて反抗した。
授業参観日という一大イベントにもかかわらず、観に来ていた母親の前で「先生なんか最低です」と怒りをあらわにし、泣きながら教室を飛び出したのである。
理科実験後の後片付けが出来ていないと、実験グループの班長である僕は「班長の怠慢だ」と名指しで怒られたのだ。
しかし、僕としては、後片付けに対して、いつも以上、人一倍神経を使っていた。
机の上をピカピカにしていた。
それなのに、当時の僕としては、善行を一瞬にして否定され、大勢の親たちの前で恥をかかされたので、悔しくてたまらなかった。
結果的に、事後検証の結果、先生の思い違いで、机上散らかしの真犯人は、僕のチームとは別の班だったことが判明した。
先生は「ごめんな」と謝ってくれ、僕も突発的な激昂を反省した。
だが、この日を境にして、自分にとって「NO」な出来事に対しては反骨精神を示すようになっていった。
あらゆる大人や権力に対して反抗し続けた。
10年経っても、この反骨精神は不変である。
書ききれない程に、数々の反骨精神剥き出しバトルを繰り広げてしまった。
学校、アルバイト先、サークル、職場において、僕は「尖った奴」として、良い意味でも、悪い意味で反骨精神の塊として捉えられているだろう。
だが、振り返ってみると、我ながら反省点まみれであることに気づく。
それは反骨精神をうまく活用せず、剥き出し続けてきたからである。
この文の結論になるが、反骨精神の剥き出しはネガティブである。
何故ならば、精神上健全では無いからだ。
自明の事実だが、相手に対してストレートに「NO」の意を示すことになるから、相手との衝突は避けられない。
方法を変えることによって、相手と分かりあえる事も出来るはずだし、わざわざ相手を敵に回してしまうデメリットになってしまうからだ。
また、自分の主義信条に対して一辺倒になってしまい、相手の意見への傾聴の欠如につながる。
相手が自分とは違う、異質な存在であるということを受け入れず、人間的にも思想的にも独善的になってしまい、最終的には孤立してしまうのだ。
このように、反骨精神剥き出し攻法は、危険な橋である。
僕の経験則上、渡ることはオススメしない。
 
ただし冒頭で述べている通り、反骨精神は完全悪ではない。
劇薬であるのであって、むしろプラスに作用する要因は大きい。
使用方法を間違えると、思いっきりマイナスに作用してしまう。
用法用量を正しく守って使うのである。
 
どのような方法が健全か。
それは剥き出し攻法とは真逆の方法、つまり、内に秘めて活用していく方法である。
反骨精神剥き出しで許されるのは、せいぜい学生までである。
社会人になってからは、感情コントロールスキルが求められてくる。
上司に思いっきり反抗するのは「イタイ大人」であり、青臭い証拠。
入社年次が浅ければ、「まだ学生気分が抜けていない」と大目に見てもらえるかもしれない。
ただし、自分が正しいという道を突き進んだ結果、組織という協調性が重要視される環境下においては、厄介者扱いにされ、気づけば誰も助けてくれない、「時すでに遅し」といった悲惨なケースが生じる可能性もあるのだ。
 
学校やバイト先、職場において、少しでも反骨精神を感じた場合、どのような対処法があるか。
一つはライティングが有効である。
自分しか閲覧できないようなノートをこっそり用意しておき、反骨精神を感じたポイントを書き殴っていく。
自分自身の中に沸き起こる、ふつふつと煮えたぎる怒りを言語化していく。
次第に、自分自身を客観的に眺めることが出来る為、精神を落ち着かせることができる。
もう一つの方法としては、「何くそ」という反骨精神をバネに、新しいことにチャレンジすることが有効的。
具体的には自分自身の得意分野を極めるということが重要だ。
英語が得意であれば、TOEICのスコアを伸ばす。
筋トレに勤しみ、たくましい胸筋や上腕二頭筋など、新しい筋肉を付ける。
反骨精神は剥き出しにせずに、このような別の方法で健全に昇華すべきなのである。
今挙げたのは、あくまでも一例に過ぎない。
他にも種々方法はあると思うので、自分の尖り具合を生かしつつ、ふつふつと湧き上がる反骨精神と上手く付き合っていこう。
 
 
 
 
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2021-07-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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