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カフェイン超過敏体質がもたらした苦労と悟り


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記事:KP(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「またほとんど眠れなかった……」
大学になった頃から、私は夜の寝つきが悪くなっていた。
その日眠れなかったのには、なんとなく心当たりがあった。
ミスタードーナツのカフェオレおかわりし放題のサービスを利用して、カフェオレを3杯飲んだのだ。その中に含まれるカフェインのせいだろう。
しかし、3杯飲んだといっても、昼から夕方にかけてだし、そもそも3杯ってそんなに多いとは思えない。
でもこのときの私にとってカフェオレ3杯というのは、一晩徹夜するのには十分なカフェイン量だった。
 
その頃から私は、カフェインが効きやすい体質になってきたようだった。
思い返せば、飲み会の後に決まって眠れなくなるのは、ウーロン茶を飲みすぎていたせいかもしれない。実はウーロン茶もカフェインを含んでいる。
最近では、夕方にウーロン茶を1杯飲んだだけでも、眠れなくなることがあった。
「そんなの思い込みでしょう」と人にはよく言われる。
確かに、いわゆるプラシーボ効果みたいなのもあるのかもしれない。
でもそうだとしても、私にはその思い込みを治す方法がわからない。
私は、カフェインの入った飲み物をなるべく控えることにした。
とりあえずは、14時以降はコーヒーなどを飲まないことにした。
しかし、それからも私のカフェイン過敏体質はどんどんエスカレートしていく。
昼の13時に抹茶味のアイスを食べただけでも眠れなかったり、朝の8時にミルクティーを1杯飲んだだけでも眠れなかったりしたこともあった。
しかも、眠れないと翌日はしっかりと睡眠不足になってそれなりにしんどいので、眠れないからと諦めてずっと起きているわけにもいかない。
こうなるともう完全にカフェインを断つしかない。
私は脱カフェイン生活を始めることにした。
 
そうしてカフェインを今まで以上に意識するようになってから、私は気づいた。
この世には、カフェインが含まれるものか、カフェインが含まれないものかのどちらかしかない。
そして日本でよく飲まれる飲み物に関しては、驚くほどカフェインが含まれるものの割合が多い。
コーヒーや紅茶は有名だが、それ以外にもお茶やココアやコーラなどにも含まれる。
街を歩けば、売られているのはカフェイン含有の飲み物ばかり。
カフェや喫茶店に行くときは、事前にネットで自分が飲める飲み物がメニューにあるか調べてから行くようになった。
自動販売機で何か買おうとしても、カフェインのない飲み物がひとつもないなんてこともざらにある。まるでカフェインの四面楚歌だ。
唯一安心して行けるのは、スターバックスだった。
ここでは、「デカフェでお願いします」というと、99%ほどカフェインが除去された飲み物を提供してもらえる。
私はコーヒーの味自体はとても好きなので、初めてこれに出会ったときは、「やっと安心してコーヒーが飲める」ということで、いたく感動したのを覚えている。
 
こうして、脱カフェイン生活を数年ほど続けている私であるが、睡眠不足のほうは、おかげさまで解消された。
毎日8時間ほど眠り、万全の状態で出勤できている。
よく眠れることは、本当に気持ちが良く、素晴らしいことだと思う。
ただ、ひとつだけ、この生活になって気になることがあった。
それは自分の必要睡眠時間が増えたということだ。
今は最低でも8時間、できれば8時間半くらいは眠らないとけっこうキツイ。
しかし、以前の自分はこんなに長い時間睡眠時間を確保していなかった。
カフェイン過敏体質になる前から、もともとの睡眠時間は7時間程度だった。この頃と比べれば、今は少なくとも1時間以上は睡眠時間が伸びている。
ちなみに、医学的には人間にとって最も適切な睡眠時間は約7時間で、それより多いと眠りすぎで逆に健康には良くないと言われている。
眠りすぎ? 私は今、眠りすぎなのか?
どれほど医学的根拠があると言われても、睡眠時間が過剰であるというのは信じられなかった。
体内カフェイン残留率0.0%の私がもしも7時間しか眠らなかったとしたら、睡眠不足で一日中頭がぼーっとしてしまい、仕事どころではないだろう。
適切な睡眠時間に個人差はあるだろうし、少なくとも今の私の適切な睡眠時間が7時間であるとは思えなかった。
7時間睡眠で大丈夫だと思っていたころの私は、カフェインを摂取することによって、十分休息は取れていると自分の脳を騙していたのではないか。
そう考えるとなんだか恐ろしくなった。
眠気というのは、体や脳からの休息を促すサインのようなものだ。
今でこそ、睡眠が足りていないときはちょっとした眠気ですぐにわかるが、コーヒーなどをまだ飲んでいた頃はその眠気をカフェインで吹き飛ばしていた。
体からのサインをカフェインの効果によってずっと無視しながら生きていたなんて、あの頃の私はまるでゾンビみたいじゃないか。

だけどこれは、自分だけに関わることではない。
調べてみると、2020年時点での日本人の平均睡眠時間は6時間22分で、調査対象の14か国の中では世界最短だった。
必要睡眠時間に個人差があったとしても、今の私がその少ない睡眠時間で会社に行けば、2割程度の力しか発揮できないのではないかと思う。
それでも皆、コーヒーなどを飲んで自分の脳を騙しながら、何食わぬ顔して仕事したりしているのだろうか。
それではまるで、今の日本はまるでカフェインゾンビ社会じゃないか。

私は脱カフェイン生活に切り替えることで、自分が本当はもっと睡眠時間が必要だということに気づいた。
私以外の人は、ここまでカフェインが効く体質ではないだろうが、それでもこれだけカフェインがあふれている日本では、自分が思っている以上のカフェインを摂取している可能性が高い。
だから、カフェインの含まれる飲み物を飲むときは、それが自分の体からのサインを無視しうる作用があるということを、頭の片隅にでも置いておいたほうがいいと思う。
本当はもっと眠る必要があるのに、自分はこのくらいの睡眠時間で大丈夫だと勝手に思い込んでいるということがあるかもしれない。
自分の体からのサインを受け取れるのは自分だけだから、それに少しでも気づいてあげられるようにするのが、健康に生きるためには必要なのではないだろうか。
 
 
 
 
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2021-07-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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