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メディアグランプリ

青い火傷


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:西 衣智子(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
今日はさっぱりしたおうどんにしよう。
 
会社からの帰り道、晩ご飯が決定した。
何うどんにしようか……。蒸し暑かったし、私は「さっぱりおろし系」にしよう。同居人は「とろ玉系」でいいかな。
参考資料として、丸亀製麺のメニューを思い浮かべながら、スーパーに入る。
 
うどんは家にあるので、うどんにのせる具材を買う。
大根、長芋、牛肉、すだち、温泉卵。
そして、私は「青いアイツ」を買い物かごに入れた。
前に、実際丸亀製麺で食べた「青いアイツ」がメインのおろし系うどんを再現するために。
 
買い物を終えて、美味しくできあがったそれぞれのうどんを想像しながら帰路についた。
手を洗ってうがいをして、すぐにうどん作りに取りかかった。
 
まずは大根を多めにおろし、汁を絞っておく。
一旦おろし金を洗ってから、皮をむいた長芋をすっていく。
フライパンを熱し、牛肉を炒める。酒、醤油、砂糖で甘辛い味付けにした。
お湯をたっぷり沸かしている間に、私は青いアイツを洗ってまな板に並べた。
ヘタを切り落として、細かく刻む。ザクザクに切ったアイツを醤油とすりおろしたニンニクが入ったタレと和える。
ピリッと辛い青いアイツは、さっぱりおろしとすだちによく合うだろう……と考えるだけで、口の中がパブロフの犬になった。
 
ん?
 
順調に切るものを切り、炒めるものを炒め、さあうどんを茹でるかと思い立ったとき、左手の人差し指がチクチクしていることに気付いた。
 
なになに?指切った?
 
指を見ても血が出ていたり、何かキズがあるわけでもない。
けれど、チクチク痛む。
 
なんでやろ。まあ、いっかー。
 
料理中に調味料や野菜の汁がしみることはよくある。
待ちぼうけている沸騰したお鍋の中に一気にうどん2人分を放り込んだ。
タイマーをスタートし、うどん同士がくっつかないよう箸でほぐしながら混ぜていると、
 
痛い痛い痛い!
 
左手の親指、人差し指、加えて右手の薬指がじんじん痛くなってきた!
 
火傷か!!
と思うような痛みに襲われながら、うどんをかき混ぜる。
けれど、熱い湯気に当たった指の痛みはどんどん増す。
 
これは耐えられん! 冷やそう!
 
冷蔵庫から保冷剤を取り出し、順番交代で左右の指たちを冷やす。
冷やされている間、痛みは治まるが、保冷剤から離れるとまた痛みが増す。なんなら、冷やす前よりヒリヒリと痛くなる。
あまりにも痛いため、涙目で原因を考えた。
 
誰?誰が犯人なんや……? ――あー!
 
役目を終えていたまな板を見て、唐突に気付いた。
アイツか。アイツのせいか……。
 
そう、青いアイツとは、青唐辛子!
 
絶対青唐辛子! と確信したというより、いやアイツしかいない! という消去法ではあったが、でも間違いなかった。
ひとまず原因がわかり、なるほど、そうしたらとにかく手を洗えばいいと思い、うどんを茹でている間、何度も何度も手を洗い流した。
けれど、チクチクじんじんヒリヒリの痛みは完全に消えず、結局保冷剤に舞い戻った。
そうこうしている内にうどんが茹であがり、とりあえずうどん作りに軌道修正をする。
うどんを洗い、保冷剤で右手指を冷やし、うどんを器に盛り付け、次は左手指を冷やし、各自トッピングをし、また保冷剤で右手指を冷やす。
とろろ牛玉うどん、青唐おろしすだちうどんが完成した。
 
ご飯できたよー、指が痛いよー!
 
同居人にご飯の呼びかけと痛みを訴え、「いただきます」とうどんをすすった。
 
うまい! 辛い! ……痛い!
 
聞き手の右手もアイツにやられているので、保冷剤で冷やすたびに箸が止まる。美味しくできたのにスムーズに食べられないのが悔しかった。
この間に、保冷剤は3つも使用した。
 
食べ終わってから、同居人の「お風呂で洗い流したらいいんじゃない?」というアドバイスのもと、いつもの食後のダラダラをカットしてお風呂に入った。
 
これが、地獄だった……。
お湯につけようものなら電撃のような痛みが走り抜ける。
皮膚剥がれてんじゃないか? と何度確認したことだろうか。
けれど、いくら夏の夜とはいえ、すべての洗い流しを水だけでするのはさすがに寒い。
我慢してお湯を使っては水で一旦冷やし、また我慢してお湯を使い……を繰り返して、ようやくお風呂を脱出した。
そんな地獄を味わったのに、痛みを一向に良くならず、私はインターネットに頼ることにした。
 
『青唐辛子 痛い』
 
すると、青唐辛子に苦しめられたという体験談がなんと100万件もヒットした。
同じ体験をした人がこんなにいるのか……と思いながら、1件目にヒットした記事をクリックした。
 
青唐辛子は素手厳禁!
青唐辛子の痛みは水では落ちません!
青唐辛子を触った後にお風呂に入ると激痛で悶絶します。
 
全部やったやつ……!
 
記事の前半部分を読んで切なくなってしまった。
青唐辛子に含まれる有名なカプサイシンは水には溶けず油に溶けやすい「脂溶性」。だから、いくら水で洗い流してもカプサイシンは除去できない。
また、冷やすことで血管が収縮し一時的に痛みは和らぐが、冷やすのを止めると血管が元に戻ることで血流が増加し、冷やす前より痛みが増す。
 
全部やってた。全部合ってると思ってやっていた……。
 
青唐辛子の痛みは、痛む箇所にサラダ油やオリーブオイルをなじませ、後に石けんで洗い流す、の行程を繰り返すことで徐々に痛みは消えていくそうだ。
 
たしかに、青い火傷は消えたのだった。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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