マンガだって教科書になる! ~ゴールデンカムイを読んで~
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記事:村人F(リーディング倶楽部)
マンガも本だ。
これを言われてから腑に落ちるまで、時間がかかってしまった。
「本は活字のビッチリ書かれたもの」という先入観がそうさせるわけだけど、こう考えるとマンガは本の中で地位の低い存在だと思う。
特に教科書として使うことを考えると、その差が露骨に出てくる。
「マンガばかり読んでないで勉強しなさい」と言われるように、勉強とは無縁の遊び扱いだ。
このありさまだから、教科書をマンガにするなんて話は今後もないだろう。
それくらい学問の中でマンガの立ち位置は低い。
でも、実際にそうなのだろうか。
マンガも勉強になる立派な本ではないのか。
最近、それを強く感じている。
理由はマンガ「ゴールデンカムイ」
これが教科書として使いたくなる傑作だったからだ。
「ゴールデンカムイ」は日露戦争直後の北海道を舞台に、アイヌの隠した金塊を巡り、様々な勢力が奪い合う物語だ。
主人公は杉元佐一。日露戦争にて「不死身の杉元」と呼ばれ恐れられた最強の兵士。
相棒はアシリパ。金塊を巡る争いで父を殺されたアイヌの少女だ。
この2人が金を求め、戊辰戦争で生き残っていた土方歳三などと戦い、熊を食らい、変顔をしながら動物の脳みそを食らう話だ。
シリアスとギャグの緩急がジェットコースターレベルに効いていて、精神をどうすりゃいいのかわかんなくなる。
本当に唯一無二の作品だ。
この作品を短期間で2周したわけだけど、これが非常にアイヌ文化の勉強になる作品だったのだ。
そのレベルはアイヌの人が読んでも太鼓判を押すほどで、私も本作で名前しか知らなかった彼らの知識をたっぷり仕入れることができた。
だからマンガも教科書になると断言していいと考えたのである。
これを裏付ける、学習面に有利な要素を紹介しよう。
1つ目の要素は視覚的にわかることである。
マンガは文字より絵がメインになる本だ。
だからそのまま見た目で表現できる。
これがアイヌ文化を紹介するのに最適だったのだ。
彼らの使っている小刀「マキリ」
これに彫られた独特な装飾は、文字だけで説明できる自信がない複雑さである。
しかし、マンガならそのまま絵で見せることが可能だ。
だから誤読のしようがないし、その美しさをダイレクトに感じられる。
これは読み手側の想像力を求める活字作品にはない、大きなアドバンテージだろう。
2つ目の要素。
それは「面白い」。
これを実感できることだ。
教科書はつまらないと、みんな思っているだろう。
実際、面白さなんて求めていないから仕方ないことでもある。
ただ、そのせいで「勉強はつまらない」というレッテルが貼られていることも事実だと思う。
おまけに学校で無理矢理させられるんだから、より悪いイメージが付くのも頷ける。
しかしこの教科書に書いてある事柄。
これらをまとめた人は、面白いと感じているのだ。
なぜなら、勉強が面白いから。
そのため多くの人がのめり込み、あれほどの量になっているのだ。
そして、これらの知識を分かち合えるようにまとめた本が教科書なのである。
だから教科書は面白いことをてんこ盛りにした存在なのだ。
しかし「面白い」を無視してまとめているから、つまらないと言われるのである。
その点マンガは違う。
「面白さ」至上主義である。
みんながかじり付いて読み、娯楽として認識する。
それくらいの熱を持った本なのである。
ならば、これに教科書へ載せたい事柄を詰めれば最強の勉強ツールになるわけだ。
ゴールデンカムイはそうだった。
このマンガで知ったアイヌの知識は数しれない。
狩猟を主とした民族の持つ、動物に対する尊敬の念。
不思議な響きを持つ言葉。
精巧で、美しい紋様を持つ衣装。
そして、アシリパを育んだ人々。
これらは彼らの文化をもっと勉強したいと思うのに十分だった。
この状況で「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」という本を出されたら買うに決まっている。
このように彼らの文化をもっと学びたくなるマンガは、教科書として最適な本なのである。
だから学校もマンガを有効に使えば、勉強大好きな人達がもっと増えることだろう。
「ゴールデンカムイ」のアイヌ文化の描写は、専門家も絶賛するほど丁寧だ。
これを読めば彼らに対する尊敬の念と、私達が忘れていた生き物を食べることの意味を再認識させてくれるだろう。
これは教科書として、そして本として堂々と誇れる作品である。
これからは読了した本に、ちゃんとマンガをカウントしよう。
もう恥ずかしいと思う必要なんてない。
マンガは知識を何倍も面白くする魔法を持っている。
そしてこの「面白さ」を実感することこそ、勉強なのだから。
だから活字だけでなく、マンガを読んだ分も成長することだろう。
あなたもマンガで勉強しませんか?
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