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メディアグランプリ

ストロボの先に見えた、自分の評価の高め方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉田けい(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
自分の能力を客観的に把握するのはとても難しい。
 
学生の頃なら、テストの点数という形で勉強に関する能力が数値化されていた。科目のみならず単元ごとに細かに分析され、英文法はできるけど英作文が苦手、確率は得意だけど積分は理解が浅い、など、点数を元にいろいろと評することができた。テストでなくてもレポートの出来、取得した単位の数など、他人と自分を比べるための指標は実にわかりやすく明快だった。
 
社会人になってからは、お金にまつわる数字がテストにとって代わることが多い。営業成績、事業部でトップ。何千万のコストカット。会社という組織に所属しているときは、どれだけ会社に貢献したかをお金という物差しで測るのだ。これは一理あるが、それだけでは評価しきれない部分をカバーしようと、様々な人事評価制度が発達してきた。フリーランスなど会社組織に所属していない人でも、売上だとかのお金を価値基準の物差しにしているならば、本質的には会社勤めの人と変わりないだろう。
 
家事育児の大変さがクローズアップされる最近は、これらの仕事を報酬に換算するのが一時期もてはやされた。掃除洗濯といった名前のある家事と家事の隙間にある名もなき小さな家事が注目され、家事労働の価値を見直す気運が高まりつつある。家事のクオリティも人それぞれだが、高クオリティなら当然報酬も高くなる。低コストなら品質もそれなりだ。お金が発生しない労働の価値を、敢えてお金に置き換えて考えることで、それに従事していない人への大変さの理解を促進する試みだと言って良いだろう。
 
では、趣味の類はどうだろうか? どんなジャンルの趣味であってもプロはいて、プロの仕事はお金に換算して考えることができる。趣味が高じて作品を販売するような人も、作品の価格や売れた数、売上の金額で実力を推し測ることができる。だが趣味は必ずしもお金が発生するとは限らない。ランニングやライブ観劇やハンドクラフトや楽器演奏やダンスを、ただそれを楽しむためだけに実施している人は大勢いる。ランニングのタイムや走距離など、客観視できる指標がある趣味もあるが、そうではない趣味も数え切れないほどあるのだ。プロほどの実力もないし、なるつもりもない。数多いるアマチュアの中で、自分は上手なのか下手なのか。それはもはや他人の評価だとか、あの賞を取っただとか、そんなあやふやなことでしか評価できないような気になってくる。
 
そうしたら、誰にも見せるつもりはなくひっそりと楽しむ趣味では、自分の実力を推し測ることは不可能なのだろうか。
 
今の私の趣味はカメラだ。湘南天狼院の山中店長に勧められるがままにカメラ初心者講座を受講して以来すっかりハマってしまった。一度カメラを買ってしまいさえすれば、しばらくは無料で楽しめるのが今時の一眼レフのよいところだ。なんならiPhoneでも美しい写真撮ることができる。毎日のようにカメラを構えて、息子と娘を、庭の花を撮り続けていくうちに、それなりに上手くなったんじゃないかな、という気になっていた。だが世間で上手、素敵と言われる写真と自分が撮ったものを見比べてみても、先方は何が良くて、私のは何がダメなのか。全くもって分からなかった。……いや、ダメはダメでも、被写体にピントが合っていないだとか、画面上での明るさが足りないだとか、ものすごく大雑把なレベルでの良し悪しは流石にわかるようになった。上手な写真、エモい写真を目指して撮っては眺める日々が続いた。
 
上の息子の運動会で、私は一眼レフをつかって撮影できて大満足だった。ところが運動会には、園が依頼したプロカメラマンも息子たちが奮闘する様子を撮影していた。私は滅多いない機会だとプロカメラマンの様子を観察する。すると、複数いるどのカメラマンも、ピッカピカに腫れているというのに本格的なストロを焚いていた。その時には分からなかったが、出来上がり写真と私が撮った写真を見比べてみると、プロが撮った方は明らかに顔の映りが違っていた。私が撮った方は、影の陰影がはっきりしていて、顔色が二色に分かれてしまっている。一方のプロの仕上がりは、ストロボのおかげで影が消え、滑らかで美しい仕上がりになっている。
 
これがプロの技か!
 
真似をしてみたくなり、私もストロボを購入した。何枚も試し撮りをして、背景の色味とストロボの加減のバランスなどがだんだんと分かってきた。ストロボを焚いたからと言って、背景が暗いままではチグハグな感じがしてあまり好まれない。一方、雑誌の誌面などでは、敢えて被写体と背景の温度差を作ることで独特の空気感を表現しているものもある。ストロボなんて画面の数値調整が面倒な時にパッと照らして撮ってくれるもの、くらいの認識だったが、その考えを改めるには十分な出来事だった。
 
ストロボを少し理解できたから、また私は写真が少し上手くなった。
 
「……そうか」
 
自分は上手いのか、下手なのか。お金によらない評価はどのように実施すれば良いのか。それはよくよく考えれば子供の頃にすでに実践してきたことに他ならなかった。カメラならカメラという科目の中で、ストロボなどの単元を決めて、それを一つずつ追求していく。システム化され数字として扱われていた勉強と同じように、一つ一つの単元を積み上げていけばいいのだ。
 
趣味は勉強の手法で自分の実力を推し測ることができる。ただし、勉強は科目は単元が既に決まっているが、趣味を自分で嗜む場合は、科目も単元も自分で設定しなければいけない。上手くなりたいと思う人は、自分でほぼ無意識に科目と単元の整理ができているのだ。逆にその仕分けを上手くできていないと、写真ならただ漠然と撮っているだけ、と言った具合になる。この考え方は突き詰めれば日々の仕事や家事の姿勢にも通用するではないか。
 
自分の評価は、自分で定めた科目と単元の点数によって測ることができる。
お金になることだけが価値があるというわけではないのだ。
 
まずは写真における私の点数を高めようと、ストロボの購入を決意したのだった。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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