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ラジオ体操こそ最強の体操である


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記事:庄子健一(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
ちゃんちゃーちゃ ちゃんちゃんちゃんちゃん
ちゃんちゃーちゃ ちゃんちゃんちゃんちゃん
ちゃらららららら ららららら ちゃらららん
 
日本人ならばこの音楽を聞いたら自動的に体が動いてしまう。
 
「ラジオ体操」である。
 
誰でも知っている。
しかし、凄さについて知る人は数少ない。
今日はその凄すぎる効果について話をしてみようと思う。
 
当初、ぼくは「ラジオ体操」に特段いいイメージなんて持っていなかった。
だらだらと体を動かしていったい何になるんだろう?
柔軟体操や準備運動がしたいならほかにも効果がありそうなものがいくらでもある。
 
だいいち朝早すぎるのだ。
小学生のとき夏休みになると毎日六時に起こされて、六時半から始まるラジオ体操に行かされたのは、とてつもなく苦い思い出だ。ぼくは早起きが苦手なのだ。
 
しかし、そんなぼくが「ラジオ体操」の効果に気が付いたのは、新卒二年目。
半年間の工場研修に出ていた時だ。
その工場では、健康維持のため毎日ラジオ体操をやっていた。
(ちなみに、その時初めて知ったのだけれど、ラジオ体操は「第一」「第二」までではなく、「第三」まである)
 
当時のぼくは趣味で自転車ロードレースをやっていて、土日は練習に明け暮れていた。
優先順位として趣味>>>仕事だったので、休みの日はアホみたいに走り回り、週明け筋肉痛を抱えて出社、なんてことが結構あった。
 
その日もそうだった。
日曜日。地域のチームが主催する練習会に参加して、思ったよりもきつくて、ヘロヘロになって帰ってきた翌日月曜日。
足だけではなく、肩、背中、腰、首、腕。
まさに全身筋肉痛のまま工場に出社。
午前中なんとか仕事をこなしお昼にお弁当を食べ、午後の仕事が始まる前だったか、3時の休憩時間の時だったか。
とにかく毎日恒例のラジオ体操を迎えた。
 
全身筋肉痛の身体を引きずり、「今日は体が痛いからさらっとでいいや」と思った。
しかし、いざラジオ体操が始まると、とにかく痛い。かるーくやっているのに痛い。
しかも全身。
 
その時にぼくは気づいた。
「ラジオ体操は全身を動かす運動だ!」
筋肉疲労しまくった身体が痛いのは、その部分を使っているからである。
背中を伸ばす、腰をひねる、足首を動かすなどなど。
幼いころからいやいややらされていた「ラジオ体操」は、ただだらだらと身体を動かすなんちゃって体操ではなく、実はほんの数分で全身をくまなく動かす実に効率の良い優れモノだった。
 
立って腕を伸ばせるスペースがあればどこでもできる。
お年寄りから子供まで誰でもできる。
音楽に合わせて軽快に楽しくできる。
 
頭からつま先まで。
決して激しいものではないが、曲げ、伸ばし、ひねりとまんべんなく。
左右均等に動かして筋肉のバランスを整え、体幹を刺激する動きが多い。
そのため、筋肉や関節を整えるだけではなく、血行促進、代謝の向上にもつながり、さらには「胸を開く運動」も複数組み込まれ、呼吸機能の促進にも一躍。
身体の機能を整えることはもちろん、リラックス効果もある。
 
ラジオ体操が「3分13秒」で行う究極の運動と言われるゆえんである。
 
さらに第一だけではなく、第二まで行えば、身体のメンテナンス+筋力向上にもつながる。
誰でも知っていて、誰でもできる簡単なあの体操は、あらゆる身体に関わる要素が詰まったとてつもない優れた体操だ。
 
コロナ禍でテレワークが常態化し、「通勤という運動機会」がなくなった今はなおさらその恩恵に気づく。
テレワークだとついつい家にこもりがちだ。
ちょっと運動するか、といっても数十分、一時間となるとなんだかんだと理由をつけてやらなくなってしまう。
歳を重ねて身体を動かすのが億劫になってしまったならなおさらだ。
 
しかし、ラジオ体操は第一と第二を合わせてもせいぜい五分ほど。
わざわざまとまった時間をとる必要がない。
寒かったり暑かったり、雨の日だったりしても家の中でできる。
しかも毎日決まった時間にやれば、身体だけではなくて生活習慣まで整う。
 
すごい、凄すぎるぞラジオ体操!
だらだらと意味がない、とか思って本当にすみません!
 
確かに一日数分なのですぐに効果が出るものではない。
しかし、数日、数週間続けると確実に身体が整う。
 
ぼく自身もこのところ運動不足になってしまって、これではいかんなあ、でもまとまって運動するのもなあ……という状態から、せめてラジオ体操だけでも、と思って取り組んでみた。
 
そうしたら数週間後、友人から「最近なんか体がしゅっとしたよね」とか言われる。
数分やっているだけなのに。
しかも朝起きてからラジオ体操すると、身体も頭もしゃっきりとする。
逆にやらなくなってしまうと、肩が凝ったり、背中が固まったりと不具合がたまる。
 
確かに、専用のストレッチや筋トレをがっつりやったり、ジョギングや水泳をじっくりやることもいいだろう。
 
しかし、毎日が忙しくてまとまった時間がとれなかったり、外に出る気力がなくなってしまうほどに疲れてしまったり、長い人生にはそんなことがある。
 
そんなとき、数分でいい。
みんなが知っている、誰でもできるラジオ体操。
これに取り組んでみてほしい。
ほんの短い時間でも、それをするだけで身体がいい方向に進むのだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-11-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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