メディアグランプリ

子どもが気付かせてくれたとても大切なこと


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記事:須賀泉水(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
「どうしてお空は青いの?」
「どうして水は濡れているの?」
「なんでママはいつも怒っているの?」
 
ハッとさせられるものから、知らんがな……と言いたくなるものまで。
小さな子どもというのは、大人に対して突然質問を投げてくる。
 
今は成人した息子も、イヤイヤ期を脱したと思ったあたりから、私への質問攻めが止まらない時期があった。
当時は私も若く、子育てに関して余裕なし。グーグル先生もまだいない時代だったなど、できない要素が重なり、わが子の質問に対して満足いく回答ができた記憶はない。全くない。一つもない。
 
中でも印象に残っている息子からの質問はこうだ。
「なんで〇は丸いの?」
私は全力の「知らんがな!」を炸裂させ、「なんでママはいつも怒っているの?」の質問に繋がるのである。
 
今ならどんな質問でも、指一本、手のひらの上で答えを見つけることができる。
だがしかし、20年前にもそんな便利なものがあれば良かったのになぁ、とは、実は思っていない。
 
なぜなら、質問に対して正しい回答をすることだけが、聞いた子どもと聞かれた親にとっての理想のゴールではないと、今は思うからだ。そう思わせてくれたのは、私を質問攻めでノイローゼ寸前まで追い込んだ息子だった。
 
時が過ぎ、成長したのか諦めたのか、息子が私に質問を投げてくることはなくなっていた。それは同時に、息子との言葉でのコミュニケーションが減ったことを意味していた。
立場が逆転したかのように、「今日は学校、どうだった?」「運動会の練習どう?」
気が付けば、なんとかコミュニケーションをとりたい私が質問をし、それが面倒な息子は「別に」と言うだけになっていた。
 
こうなると、質問から始まる親子のコミュニケーションは、言葉のキャッチボールではなくデッドボールだ。
投げられた球を、キャッチした瞬間に相手にぶつけるデッドボール。
「別に」って球、けっこう痛い。
 
ただ母親とコミュニケーションをとりたかっただけのまだ小さい息子に、私はこんな痛い球を返していたのだ。今度は自分が投げた球をぶつけ返される番。仕方がない。私もやってしまったことだし、男の子なんてそんなもの。そう思うことで、球をぶつけられる痛みをこらえていた。
 
さらに時が過ぎ、私が球を投げても全く返してこなくなった思春期真っただ中の15歳の息子から、私は教えられることになる。
 
キャッチボールが成立しないとわかっていて、あるとき息子に投げた球はこれだ。
 
「職場の店長が無責任でさぁ。店長なのに面倒なお客さんの対応を全部ママにおしつけてくるのよ。ひどくない? 店長らしい仕事しろよって思わない? どう思う? 文句言ってやろうかな?」
 
私が投げた球はただの愚痴。それに対して息子が久しぶりに私に投げ返してくれた球は剛速球だった。
 
「自分が好きでその仕事してるんじゃないの? ママがそう言ってなかった?」
 
グローブの準備をしていなかった私の心臓めがけて飛んで来た球を素手でキャッチしたような衝撃に、息が止まる思いがした。
 
そういえば、小学生だった息子にこんな話をしたことがある。
大人になると、やりたいことだけをしているわけにはいかなくて、その前にやらなくてはいけないことがあるの。それはお仕事。人生の大半の時間をお仕事に使うと考えたら、その時間は好きなこと、やりたいことができる方が幸せだよね。幸せな大人になるために、子どものうちにできることが勉強なんだよ。
 
これは、ママ友が彼女の子どもから、「どうして勉強しなくてはいけないの?」と聞かれたときの回答を隣で聞いていて、いい話だ! と思い、聞かれてもいないのに、帰ってすぐに小学生のわが子に話したもの。息子はこれをしっかり覚えていたのだ。
 
息子からの返球、「好きでその仕事をしてるんじゃないの?」に対して。
はい、そうです。大好きなお店で働きたくて、自分で選んだ、好きでしているお仕事です。
 
これは、私が返す必要のない、私自身の中にあるのにすっかり忘れていた大切な気持ちに気付かせてもらえる、息子からの返球。聞いたことに答えてもらうよりも、もっと大きな気付きを与えてもらえることができる、コミュニケーションの大切さに気付かせてもらえた瞬間だった。
 
親子の間で交わされるこれらのやりとりの中には、言葉以外のもので伝えられる大切な何かがたくさん散りばめられているような気がする。動かすべきは相手の頭ではなく、心なのではないかと思う。子どものなぜ? に対して正面から向き合えなかった私に、このような気付きをくれた息子にはとても感謝している。
 
息子の3歳年下の妹は、私にこう聞いてくる。
「今日の服、どっちがいいと思う?」
ぶっちゃけどっちでもいいのだが、忙しい時でも「知らんがな」ではなく、「ん~、こっちの方がいいんじゃない?」と答えられるようになったのも、大切なことに気付かせてくれた息子のおかげ。
娘が、私が選んでいない方の服を着て出かけて行っても、全く気にはならない。
大切なのは、意見が採用されることではなく、先ほどのキャッチボールそのものに意味があったと思っているから。
 
そして、15歳時点で不愛想に私のことを「ママ」と呼んでいた息子は、23歳になった今も、私のことをうっかり「ママ」と呼んでくれている。
 
 
 
 
***
 
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2021-11-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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