メディアグランプリ

カード払い習慣を始めて、コンビニ珈琲の恐ろしさを実感した話


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記事:レイ咖(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「俺は、ジュース買う時もカード使ってるよ」えっ!? たった150円を払うのに、カードを使う。カード払いは、大きい買い物をする時だった自分には全く考えられなかった。彼が、得意気に話す理由が分からなかった。
「自分のお金がどう動いているか、確認できるよ」と彼は続けた。恥ずかしながら、自分の収支バランスを確認した記憶がない。大人としてお金について考えるいい機会かもしれない。
私は、彼が勧めるカード払い習慣を始めることにした。そして支払い履歴を確認していると、私は内定通知書を読んでいる気分になった。
 
近くのコンビニまで車で20分。田舎に住む、私の移動手段は車だ。運転中、珈琲を飲むのが習慣になっている。寒くなってくると、コンビニのホットラテが欠かせない。いつも通りコンビニに寄って
「ホットカフェラテSサイズで」と注文し、小銭ケースを開けようとして、
「あっ! カードで払います」と慌てて訂正した。1週間前から始めたカード払い習慣に、まだ慣れていなかった。
 
ボタンを押して、ゴゴゴゴ……と豆が動き出す。ミルクがゴボゴボと泡を立ててカップに入っていく。車に乗り込んで、鍵を回し、そっと口をつける。体が冷えているのか、ラテが食道を通っていくのが分かる。車を走らせ、店がだんだん減って、山の景色が広がってくる。あんなに温かかったラテは、冷え切って、最後の泡をすすって飲み切った。
車に乗る、珈琲を買う。日常的にしている習慣に、カード払いが加わった。違和感だった習慣は、1か月もすると、意識せず出来るようになった。
 
ちょうどその頃、彼から「明細書をネットで見てごらん」と言われた。今まで見たことがない、ネットページを開いた。
 
「いくら使っているのかというのを見て。終わったら、どんなものに支払いしてるのか、分けてみて」と彼から教えてもらっていた。
人差し指を画面に押し付けて、下から上へ動かしていく。ネット通販、会員登録した月額費、振込み……本当に全部使っているのか。私はムダ遣いしない方だと思っていた。こんなにもお金を使っていることに驚いた。さらに、これ何買ったんだっけ? と自分でも分からないものがある始末だった。
 
明細を読み進めていくについれて、どんどん使った金額が増えていく。増えていく数字を見るたびに、一体いくらになってしまうのかとドキドキしてきた。見たいような、見たくないような。一番下には、結果が待っている。はるか昔、就活していた時のきもちを思い出していた。
「先日は試験お疲れ様でした」から始まる文章を読み進めていくと、下に必ず結果が書いてある。合格か、不合格か。見たい、知りたい。だけど不合格だったら……という揺れるきもち。明細書を見ながら、同じきもちになっていた。
 
遂に来た、最後の欄。
おー……
本当に驚いた。自分が使っていると体感している金額よりも多かった、というより多すぎた。驚きすぎて、体が固まった。現実を受け止めるまでに時間がかかった。
しばらくして、自分を落ち着かせた後、彼に言われた通り、使った金額を分類し始めた。
 
ランチは交際費に、靴下は衣服費に、化粧水は美容費に……と分けて書く中で、気になった項目があった。コンビニで支払った150円。コンビニの名前が何回も、何回も出てくる。たった150円。書き出し項目の分類に”コンビニ珈琲”と書く必要があるほどだった。全く気が付いていなかった。こんなにも飲んでいただなんて。
 
全ての項目を見終わった後、何回計算し直しても、金額は変わらず、この金額を1か月に使った現実を受け入れるしかなかった。
 
明細を見て、分類している間、私は怖くて仕方なかった。自分は大丈夫。金遣いは荒くない。となんとなく自信があった。通帳を見てもお金はあるし、すごく減っている感じはしない。と安心していた。
だから、1か月のカード払い習慣を実践して、事実を知ってショックだった。
なんとなく、コンビニに寄って、たった150円だから。と気にせず珈琲を買う習慣に気が付いた。
こんなにもたくさんお金を使っていることを知って、ショックだった。
だけど、あのまま使用金額を知らず、どんどん使っていたらどうなっていたんだろう。現状を知ることは怖かったが、関心を向けず、自分の状況を知らなかった。と過ぎてしまうことはもっと怖いことだと思った。
 
ドボドボドボ……水筒に珈琲を入れる。
カード支払いの習慣と共に、私にはもう一つ新しい習慣が増えた。
ドライブにはマイボトルに入れた珈琲をもっていくようになったことだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-11-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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