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フリーランスってなにやってるの? ──知る人ぞ知る「個人事業主」の生態──


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記事:村山葵(ライティングゼミ日曜コース)
 
 
「フリーランス」(個人事業主)という言葉を、最近、いろいろなところで目にします。
フリーランスになったことがない、あるいは周りにフリーランスがいないという人は、「なんかキラキラした感じするな」とか「自由で気楽そう」「スタバでマック開いているイメージ」「自己主張強そう」あるいは「どうせ会社でやってけなかった人がやってるんだろう」とか、様々な印象をフリーランスに対して持っていると思います。
どうやら、フリーランス、という言葉をよく聞く割には、その実際のところは意外に多くの人には知られていないようです。
そこで今日は、フリーランスを始めて2年目の私が「フリーランスってなんぞや……?」というみなさんの疑問にお答えしたいと思います。
 
ちなみに、私がフリーランスとなったのは、好き好んでそうなったというより、好むと好まざるとに関わらず、そうならざるを得ない事情があったからです。
その事情とは「コロナ」です。
コロナの影響で仕事が減り、生活が苦しい人のために、今、行政等がさまざまな支援金や補助金を交付していますが、その多くが、企業または、個人事業主として届出をしている人を対象としています。たんにアルバイトで生計を立てているという人は、自分で事業をしているとはみなされず、給付対象にはならないことが多いのです。
ぶっちゃけて言うと、私は、コロナの給付金ほしさに、慌てて「ハイッ! 私、個人事業主です!」と名乗りを上げたわけです。(もちろん、実際に仕事が減って生活に困っていたからです。)
 
さて、個人事業主として認められるためには、何をすればよいのでしょうか?
──まずは、「確定申告」です。
確定申告。これも、よく聞く言葉ではあるけれど、フリーランス以外の人には「なんのこっちゃ」だと思うので、説明します。
確定申告では、その年に得た「売上」と、かかった「経費」を所定の用紙に記入し、税務署に提出します。なんのために? というと、自分のおさめる税金の金額を確定するためです。
「売上」から「経費」を引いたものが、「所得」で、この「所得」に、税金(所得税)がかかってくるのです。
 
フリーランス1年目の頃の私は、「えっ、人は物を買う時以外にも税金を払わないといけないのか、知らなかった」と驚いたのを覚えています。私がものを知らなすぎたのかもしれませんが、案外、会社勤めだけして大人になった人で、同じような人は少なくないかもしれません。
会社勤めをしている人は、自分で計算をしなくても、会社のほうで計算してくれるので手間がかかりませんが、フリーランスの場合は、全部自分で計算して、税務署に「私の今年の所得はいくらです、だから税金はこれだけ納めます」と申告しなくてはならないのです。
 
さて「売上」と「経費」。どのように計算するのでしょうか。
まず、「売上」の計算は、比較的シンプルです。といっても、1年間に自分が発行した請求書や領収書をちゃんととっておくことは大前提です。これらを全部無くしてしまって、何の記録もなかったら計算ができず、年末になって「アワワワワ」と慌てふためく羽目になります。フリーランスたるもの、すべての収支を記録・保管する。これが鉄則です。
 
仕事でのお金のやりとりだけでなく、スーパーでの買い物でも、カフェでの飲食代も、SUICAやPASMOのチャージ代も、パソコンを買い替えた時も、レシートは全て取っておきます。(これが、フリーランスになりたての頃、一番驚いたことでした。レシートなんて捨てるものだと思っていたので。)
 
レシートを何に使うかというと、「経費」の計算です。
どんなものが「経費」として計算できるのかというと、「家賃」「水道光熱費」「交通費」「通信費」「交際費」「消耗品費」──などなど。(はじめて知った時には、「へぇーほとんど全部経費にできちゃうんじゃん!」と、これまたびっくりしたものです。)
 
確定申告で大事なのは、この「経費」の計算です。
さきほど、「売上」から「経費」を引いたものが「所得」で、この「所得」に税金がかかってくると言いました。所得が多ければ、税金も多くなります。逆に、所得が少なければ、納める税金も少なくて済みます。
例えば、売上が100万円でも、経費が100万円かかっていれば、所得は0。税金も0円ということになります。
フリーランスたちは、ここで奮闘するのです。できるだけ、納める税金の額を減らしたい。そのためには、交通費もカフェ代も、あらゆる経費を取り漏らさず、しっかり計上しないといけないのです。
元旦があけて、世間が新春おめでたムードからまだ醒めやらぬ時期に、フリーランスたちは、1年間分のレシートの山に囲まれながら、一生懸命電卓を叩いて数字をエクセルに打ち込んでいます。
(1年目の頃の私は「『消しゴム代94円』はもう入れなくていいか……でも『カフェ代239円』は入れたほうがいいよな……」なんてチマチマと迷ったりしていました。)
 
はじめての確定申告書を提出し終わった後、私は、ひそかに胸に迫る喜びと充実感を味わっていました。
「私は、曲がりなりにも自分で商売をやっているんだ。これまで会社がやってくれていて見えなかったことを、全部自分の手で、DIYでやっている。自分の力で立って、生きているんだ!」
フリーランスになる前の私は、「働くというのは、どこかの企業に雇用されて、毎月決まった賃金や手当てをもらうものだ」と思い込んでいたので、天地がひっくり返るような思いでした。
 
もちろん、守ってくれる組織も上司もなく、すべて自己責任で、自分の力で切り開いていかなくてはならないフリーランスの世界は、とても厳しく険しいと言えるでしょう。
「フリーランスに興味がある」という人にたまに会いますが、今、安定した働き口のある人は、安易にそれを手放さないほうがよいと個人的には思います。
私のように、「どうしてもそうなるしかなかった」止むを得ない事情がある人や、または「どうしてもやりたい」ことがある人が踏み出す道。それが、(……行きはよいよい帰りは怖い……)フリーランス道であると思います。
 
年末が近づいてきました。そう、フリーランスたちがいそいそと落ち着きなく動き始める時期です。何百枚ものレシートの束が私を待っています。めんどうくさい……でも、1年間やり遂げた仕事を振り返り、使った金額を改めてコツコツと計算していくのも、案外楽しいものですよ。
 
 
 
 
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2021-12-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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