男性の私が美容院でレディース雑誌を持ってきてくれた話
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記事:くろたん(ライティング・ゼミ日曜コース)
「おっ! レディース雑誌だ!」
美容院でレディース雑誌を持ってきてくれて、ものすごく嬉しかった。
これは、男性の私が美容院に行って、レディース雑誌を持ってきてくれた話である。
持ってきてくれるまでの過程を楽しんでもらえたらと思う。
私は女装が趣味の男性である。
小さい頃から女性の可愛い洋服に憧れがあり、同級生の女の子を見てその服を着てみたいとずっと思っていた。
成人を過ぎた頃から、スカートを中心にレディース服を買うようになって、自分の部屋でよく履いていた。
今では、レディース服の数もだいぶ増えて、自分でメイクも出来るようになった。
先週は、女装して知り合いの女の子とアフタヌーンティーと買い物に行ってきた。
可愛い洋服やコスメの話をしている時が1番幸せな時間である。
そんな女装が趣味の私は、レディース雑誌で可愛い洋服を見るのも大好きである。
dマガジンという、たくさんの雑誌を読めるアプリでよく雑誌を見ていた。
特にキャンキャンと美人百科が好きで、お気に入りに入れて毎月読んでいる。
雑誌を見ていて、神戸レタスというブランドの洋服が上品で可愛いなと思った。
後日、そのブランドの洋服を1着買った。
可愛い洋服だけでなく、コスメや自己啓発のような記事もあり、メンズ雑誌にはない魅力がたくさんある。
すごく気に入ったページは、スクショしてiPhoneのアルバムに保存している。
私は月に1回、髪をカットしてもらうために美容院に行っている。
美容院に行って席に着くと、雑誌を2冊ほど持ってきてくれる。
男性の私に持ってきてくれる雑誌は、もちろんメンズ雑誌だった。
ただ、私が持ってきて欲しいのはレディース雑誌である。
持ってきてくれたメンズ雑誌をパラパラめくるが、読みたい記事は見つからない。
雑誌を閉じてその場に置くと、小さなモニターでコスメや料理に関する動画をひたすら見ていた。
大好きなレディース雑誌を持ってきて欲しいと思っていた。
ただ、持ってきて欲しいとは恥ずかしくて言えなかった。
コロナ禍で直接人と話す機会が激減した。
女装の話をしたくてもできない、もどかしい状態になった。
美容院は、直接人と話す数少ない機会となった。
カット担当やアシスタントと話す機会が出ると、勇気を出して女装が好きな事を話した。
すると、楽しく会話をしてくれた。
美容院の方であることもあり、コスメやスキンケアに詳しかった。
おススメのファンデーションを教えてくれたり、メイクのアドバイスをしてくれた。
男性のアシスタントは、ビジュアル系バンドが好きで、そういうメイクをした事がある事を話してくれた。
女性のアシスタントとは、洋服やコスメの話をたくさんした。
アシスタントが着ている洋服が可愛いので、どこで買ったのかを聞いたりもした。
楽しい話をたくさんできて、とても幸せな時間だった。
女装の話をし始めてから、半年以上は経っただろうか。
ある時、ビジュアル系バンドが好きな男性スタッフが、メンズ雑誌2冊と一緒にレディース雑誌1冊持ってきてくれた。
レディース雑誌がある事に気づくと、無意識にノンノというレディース雑誌に手が行った。
願っていたことがようやく起きた。
持ってきてくれて嬉しかった事をスタッフに伝えた。
するとスタッフはメンズ雑誌を回収して、もう1冊のレディース雑誌を持ってきてくれた。
雑誌をめくると、やはり可愛い洋服を着た女性の写真がたくさん載っていた。
髪を切ってもらいながら、雑誌を楽しく見る。
女の子になった気分になれて、ものすごく嬉しくなった。
最新のお洋服やコスメの情報を収集した。
dマガジンと違って、手で実際に紙をめくりながら読み進める楽しさもあった。
dマガジンだと画面が小さいので、実際の雑誌を見る方が読みやすいなとも思った。
それから、その男性アシスタントが担当になった時は、レディース雑誌を持ってきてくれるようになった。
雑誌を見ている時間がとても楽しく、メンズカットの時間だけでは全然読み切れない。
先月はOLさんの働き方の記事を読んでいる所で、メンズカットの時間が終わった。
退出する時間になったので、名残惜しい気持ちで雑誌を読むのをやめてその場に置いた。
dマガジンや美容院で読めないレディース雑誌は、本屋でも見るようになった。
恥ずかしさもあったが、可愛い表紙が私を誘っている。
パラパラと雑誌をめくるだけでも、可愛い洋服の女性を見て幸せな気持ちになる。
これからも、大好きなレディース雑誌をたくさん読むつもりである。
レディース雑誌を持ってきてくれた男性スタッフには、ものすごく感謝している。
***
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