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メディアグランプリ

その芽を摘み取るの、ちょっと待った! ~若者にモヤモヤしているあなたへ~

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大村沙織(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「お前もかよ……」
静かな部屋に響き渡るツッコミ。1ヶ月程前に知人に勧められて買った本を読み終わった後に出た一言だった。内容に対するツッコミではない。知人が言っていた通り、彼女の文章は使われている言葉が美しく、繊細な印象を覚えた。書かれている内容も共感できることや気付きが多かった。「この本はブログのネタとしてアウトプットしたいな」とも思った。いや、思わされてしまった。
本の著者は1988年生まれ。私よりも年下だった。
―ああ、またこの感覚か。
著者プロフィールを見てしまった瞬間、私の心にちりちりと燻る何かを感じ始めた。
 
自分よりも若い年齢の人のコンテンツを見ると、複雑な思いを抱くようになったのはいつからだろう? いよいよ先日34歳になってしまい、30代も折り返し地点を迎えようとしている。しかしこの感情は34歳になったからといって突然湧いて出てきたものではなく、昨年頃少しずつ感じ始めていたもののように思う。若者が触れるコンテンツの内容や充実ぶりを見ると、「凄いなあ」や「よくこんなことを思いつくな」といった驚嘆の感情が真っ先に出てくる。その一方で、何とも言えぬモヤモヤがあるのも自覚していた。特にそのモヤモヤは20代後半から30代前半の同性の活躍を見ると強くなっているように見受けられた。
高校野球の予選で球児達が必死で球を追いかけているのを見たときには、モヤモヤは感じない。純粋に応援したくなるし、見守りたくなってしまう。
ところがこれが同年代女性が相手になると話が変わる。同じジムのプールに通っていた年下の女の子が発信するTwitter。200メートル個人メドレーで3年前と比べて10秒タイムが縮まったと報告されていた。お世話になっている20代の書店の店員さん。どうやらエッセイ本を出すことになったらしい。普段よく見ているYoutubeの料理チャンネルの主催者の女性はこの間25歳になったばかりだった気がする。彼女のチャンネルは独特なナレーションと世界観で人気を呼び、登録者数は80万人以上になる。
直接面識が歩かないかにかかわらず、彼女等の活躍はとても喜ばしい。共に喜び、これからの活動を応援する。それが人生の先輩としてのあるべき姿なのだと、頭では理解している。
でもいくら耳をふさいでも聞こえてきてしまうのだ。もう1人の自分からの意地悪な質問。これがモヤモヤの原因なのは明らかだった。
「彼女達が頑張っている間に、お前は何をしているんだ?」と。
 
2つの感情がこの問いかけの裏にはあると思う。
1つは嫉妬と羨望。
若くして活躍し、ファンと呼べる存在がいる彼女達。ファンがつくことは、本当に凄いことだ。文章というコンテンツを素人なりに作るようになってから分かった。「この人がおすすめしているから大丈夫」や「○○さんのコンテンツだから間違いないだろう」という相手からの絶対の信頼感と信用がないと、この関係性は築けない。そんな特別な関係の人がたくさんいて、しかも人数がなお増え続けていること。応援してくれている人がいるという事実がひたすら羨ましかった。
もう1つは後悔。
キラキラと輝く彼女達を見て、「自分が同じくらいの年齢だった頃には何をしていたっけ?」とふと考えることがある。ところが困ったことに、あまり思い出せることがないのだ。特に会社に入ってすぐから3年目くらいに当たる24~26歳くらいの頃のことはあまり記憶に残っていない。誰とどこに行って何をしたかなどは、写真で見て思い出せることもある。けれど自分が当時何に夢中になっていたか、どんなことを頑張っていたか、何を考えていたかを思い出すのは難しい。「思い出せない」という事実に向き合うと余計に「あの頃の自分は何もしていなかったんじゃないか?」という気分になり、落ち込んでしまう。もしかすると仕事を覚えるのにいっぱいいっぱいだったのかもしれないが、今となっては確かめる術もない。
休日に彼女達のSNSやYoutubeを見ると、新しい挑戦を続ける彼女達に勇気づけられると同時に、自分の情けなさを思い知らされるような気がした。きっと彼女達は皆を応援したり支えたりするために一生懸命活動をしているはずなのに、ひねくれた見方しかできない自分も嫌いだった。
 
モヤモヤする日々の中で、いつの間にか本に助けを求めていた。仕事が早めに終わる水曜日には本屋に寄って、パトロールするのが習慣になった。ビジネス書や小説などで現実逃避を図るのが一番の狙いだったが、あわよくばこの感情を何とかできる本がないものかと思っていた。SNS疲れの一種かとも思って図書館でその手の本を読んだりするも、何だかぴんと来なかった私は書店にまでその触手を伸ばし始めたのだ。
ある日のパトロールで、ふと思いつきで検索機に向かってみた。図書館にもある、店内にある本を探すための便利な機械。その検索窓に「モヤモヤ」と打ち込んで、検索をかけてみる。たくさん出てくるだろうとは予想していたが、ディスプレイには数多くの結果が並んだ。
もやもや病、もやもや相談クリニック、もやもや血管、もやもやするあの人……。もやもやが付く単語は世の中にこんなにあるんだと驚かされたが、それ以上に目を引かれるタイトルの本があった。検索結果をざざっとスクロールしていた私の目に、そのタイトルは奇跡のように飛び込んできた。
「人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド」
……何だそれ!!?
自分のモヤモヤが果たして人生を左右するものなのかはさておき、「解放」という字に私は縋りついた。どうやらこれはサブタイトルのようで、正式名称は「世界一やさしい『やりたいこと』の見つけ方」というらしい。とりあえずは見てみようと、該当する本がある棚まで歩いた。書棚では面展開されている本で、以前から売れている本なのか、もしくは新作であることがうかがえる。本の奥付を見ると初版発売日は2020年5月28日。そこから1年で17刷までいっており、長期間売れている本なのがうかがえた。帯にはオリエンタルラジオの中田敦彦がYoutube大学で絶賛した旨が書かれていた。更に飛び込んできたのは「もう悩まない!」という文字の並びだった。
 
「3つの視点で『自分探し』から脱出できると、「人間関係」、「お金」、「健康」、「仕事」のあらゆる悩みが消えた!」
 
疑いの気持ちがなかったと言えば嘘になる。でも1500円でモヤモヤが消えるのであれば安いものだ! 某所店の店長も日本の本は安いと言っていたし、本は一期一会だし! 画面スクロールでタイトルが飛び込んできたことも何かの縁と思って、物は試しと本を買ってみることにした。
 
この本は本当にやりたいことを見つけて、更に実践するために3ステップから構成されている。
まずは価値観の発見、才能の発見、そして情熱の発見。
もっと砕いて言うと、自分が大事にしていること、得意なこと、好きなことを見つけること。
これらの3つが重なる部分で本当にやりたいことを見つけようというのが、本書の目的である。「そんなにすぐに思いつかない」という読者のために(私もまさにそう思った)、本書の巻末には価値観や才能の例が書かれたリストや、これらの3つを更に掘り下げるための質問リストがある。たくさんの例を参考にしながらワークが進められるので、自分でも納得感を持ってワークを進めることができた。
 
ワークの中の価値観をやっていく中で、巻末のリストにないワードが自分の中から引き出すことができた。それが「未知」と「成長」だった。この2つのキーワードが出てきたエピソードがあった。私が大人になってから水泳を始めたことが、まさにこの2つのキーワードに当てはまると思って出したのだ。水泳という「未知」の競技に挑戦し、タイム向上を目指して「成長」していく。この他にもいくつかのキーワードが出てきたが、過去の自分を振り返ってキーワードを探していく内に自分にもできていたこともあると気付けた。「自分もちゃんと頑張っていたんだ!」と、気分がとても楽になった。「あの頃の自分は一体何をしていたんだろう?」という私の心にのしかかっていた枷はかなり軽くなっていた。
またたくさんの価値観の例を見て、「人それぞれに大事にしている価値観は違う」という当たり前のことを認識することもできた。著者の八木さん自身の例も本の中には載っているのだが、八木さんの場合は「夢中」、「シンプル」、「美意識」といったキーワードが挙げられ、私と被っているものは1つとしてなかった。私の場合は「成長」を重視しているけれど、Youtuberのあの子は「献身」を大事にしているのかもしれないし、水泳仲間の彼女は「熟達」を重視しているのかも。中には「名声」が欲しい人だっているのかもしれない。どれが良い、悪いということではなく、それぞれの個性があるということを改めて認識できた。
「『成長』を大事にしているあなたには自分なりの成長の仕方がきっとある。自分のペースで進んでいけば良い」
八木さんにそう教えられた気がした。その日以来心のモヤモヤはだいぶ晴れてきた。モヤモヤしそうになったら、ワークを実践したノートを見返して心を落ち着かせている。
 
以上、私の若者への嫉妬の向き合い方を紹介した。私の場合は嫉妬や羨望が自分自身を責める方向に向いたので、幸いにも他者に迷惑をかけることはなかった。ただこれが病んだ挙句に外に向いて、例えばコンテンツメーカー本人へ文句を投げかけたりしていたらと考えると恐ろしい。それこそ今話題の誹謗中傷へ繋がってしまい、下手をすると事件になりかねない。才能が溢れる若者を潰すこともなってしまうだろう。それはあまりにもったいない。
だから若者の才能に嫉妬する自分に気付いたら、まずは「世界一やさしい『やりたいこと』の見つけ方」を読んでいただきたい。誰かを傷つけてしまう前に、とりわけ若い人達の芽を摘み取ってしまう前に。
 
 
 
 
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2021-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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