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メディアグランプリ

地球の裏側で湖底に寝そべってみた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:近藤南(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「その場所」を知ったきっかけは、清涼飲料水のCMだった。
 
見渡す限り続く湖面。
手を伸ばせば掴めるのではと思うほど雲が近い。
空の青と湖の青が地平線で混ざり合って、境界線なんてないんじゃないかと思える。
 
 
「その場所」とは、ウユニ塩湖である。
 
南米はボリビアにある湖で、大きさは秋田県ほどもあるらしい。どおりで、湖の淵が見えないはずだ。
当時、にわかミステリーハンターを標ぼうしていた私は、これは行かねばなるまいという義務感の様なものに支配されて、その年末のフライトをすぐに予約した。
CMでは、湖の上で、ビートたけしが軽やかにタップダンスを踊っていた。こんな風に、「大人の水遊び」をしたかったのである。
 
この記事は、はるばる地球の裏側まで水遊びしに行ったが悲願達成ならず、代わりに凍えながら湖底に寝っ転がってきた、しがないミステリーハンターの話である。
いつか南米に行ってみたい! と思っている方がもしいらっしゃれば、何かの参考になれば幸いだ。
 
 
まず、「その場所」へ行くには下準備が肝心である。
 
ウユニ塩湖は標高3,700mの高地にある。富士山の山頂より高い。そんな場所にいきなり行ってタップダンスしようものなら、高山病と酸欠でジ・エンドだ。
 
ただ、現代の医学とはすばらしいもので、高山病予防薬なるものがあるらしい。
名をダイアモックスというその薬は、限られた病院でしか処方してもらえない。当時神戸に住んでいた私は、片道1時間近くかけて、丘の上の病院まで薬を処方してもらいに行った。
病院では、「高山病の薬ください」「はいどうぞ」くらいの簡単なやり取りで処方をしてもらえた。なぜごく一部の病院でしか処方してもらえないのか、今でも謎である。
これで100%高山病が防げるわけではないが、対策をしているという事実だけで気持ちがだいぶん楽になる。
 
もう一つの下準備は、旅程である。
 
いくら予防薬を飲んでいても、いきなり富士山の頂上に降り立っては高山病まっしぐらだ。低地から、数日かけて徐々に高地へ行くのが良いらしい。
私は、ボリビア入りする前にペルーの標高2,000mくらいの観光地に数日滞在し、「準備運動」をして行った。
ただ、ボリビアの玄関であるラパスという町が標高4,000mくらいあり、その町に降り立った時がこの旅一番の難所であった。空気も薄いので、2,3歩歩くと息切れするし、平坦な道を歩いていても、ずっと階段を上っている感覚である。
現地の人は颯爽と歩いて市場で買い物などしているが、おのぼりさんの私は、出歩くのは最小限にとどめておいた。
 
 
さて、ここまで入念に下準備をしたうえでウユニに到着すれば、あとはもう、満喫するのみだ。
 
ただし、私は一つ大きな誤算をしていた。
それは、「天候はどうやってもコントロールできない」ということ。
 
 
湖の上を歩くには、当然だが、湖が湖である必要がある。
ウユニには雨季と乾季がある。雨季には雨が湖に溜まり、CMでもおなじみの風景となる。
一方、乾季には湖は干上がり、その風景は砂漠さながらである。砂漠と異なるのは、地面が砂ではなく、すべて塩であること。舐めると、それはもう塩辛い。
 
私が訪れたのは12月。雨季は11月からなので、通常であれば水をたっぷりと湛えたウユニ塩湖とご対面できる。
ただ、その年は雨が一向に降らず、ウユニ塩湖はカラカラのカサカサであった。
 
水のベールをすっかり取り払った湖底は、塩の性質らしいのだが、規則正しく六角形を描いていて、その六角形がどこまでも続いている。
天候に関しては想定外だったが、乾季のウユニももちろん絶景だ。
360度、どこを見ても塩の大地が続いていて、自分が迷子になった感覚に陥る。
 
 
そしてここで嬉しい誤算が一つ。
 
思いもよらぬ乾季ということは、空には雲が全くないということ。
 
塩の大地を走り回るうちに日が落ちてきて、まだ完全に暗闇になっていない頃から、空に星が見える。それも尋常でない数の。
日が落ちて、ジープの明かりも消してもらうと、そこは完全なる暗闇で、光源は空の星だけである。
私は湖底に寝そべり、ただぼーっと、星を眺めた。
 
日本は空気も汚れているし、街灯の明かりなんかもあるから星が見えなくて、本当はもっと星があるということは、知識では知っていた。知ってはいたが、ウユニの空には、想像の3倍くらいの星がいた。
星から星座を作り、神話を作った古代ギリシャの方々を、失礼ながら私は、「昔は娯楽もないし他にすることなかった」くらいに考えていたが、その考えはこの日改めさせられた。
こんなもの毎晩眺めていたら、確かに神話を作りたくなる。
 
標高が高いので、夜はめちゃくちゃ寒いのだが、そんなこと忘れるくらいの夜空だった。
 
 
結論、ウユニ塩湖は、間違いなく素晴らしい場所であった。
あの風景・あの星空は、多分世界中でウユニにしかないだろう。
でも、やっぱり雨季のウユニ塩湖が見えなかったのは心残りだ。
さて、次に海外旅行に行けるのはいつになるのやら……
 
 
 
 
***
 
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2021-12-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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