メディアグランプリ

そのキャッチコピー、失礼ですよ!


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記事:深谷百合子(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
フリーになってSNSをやるようになってから、ちょいちょい気になる広告がある。それは、「40代50代女性でもできる」っていうキャッチフレーズの広告だ。この手の広告が実に多い。SNS集客のためのブログのバナーを作るやつとか、動画編集とか、IT関連の広告でよく見かける。オンライン化のこの時代、ITのスキルは確かに必要だろう。でも、「猿でもできる」みたいな感じで、「40代50代女性でもできる」って書いてあるのを見ると、「40代50代の女性をバカにしてんのか?」って思っちゃうのは私だけだろうか。
 
そりゃあ、50代女性の私自身、「分からん!」って頭を抱えることはたびたびある。自分のサイトを作ろうとして、見事に挫折もした。「2時間でできる!」っていうキャッチコピーにひかれてオンライン教材を購入したのに、「何でいちいちこんなに壁にぶち当たるのさ!」っていう位、苦労した。2時間でできるどころか、そもそも言っている言葉の意味が分からない。
 
そんな感じで、「何それ?」みたいなことは沢山あるのは確かなんだけど、「女性でもできる」っていう言い方が引っかかるんだよな。「女はITに弱い」とか、「メカに弱い」とか、勝手に決めつけられているみたいで引っかかるんだ。男性だって、ITを使えないおじさんは沢山いるじゃないか。
 
で、私がもっと残念だなって思うのは、「女性でもできる」っていうセリフを女性が言っていることだ。なんで? 自虐ネタ? 「女性でもできる」って言えば、「わかりやすい」、「やさしい」っていうことになるのか? それなら、「誰でもできる」でいいんじゃない?
 
同じように「ママでもできる」、「主婦でもできる」っていうのも巷には溢れている。「子育てで忙しくて、時間に制約があるけれども」という意味が含まれているのだけれど、私は何だか違和感を持ってしまう。きっとそれは、「できない」、「難しい」という前提に立って第三者が勝手に決めつけていると感じるからなのだろう。しかも、「〇〇でもできる」と言っている時、そこには全く悪意がない。無意識にそういう前提をもって決めつけているのが厄介なのだ。
 
私たちは無意識のうちに、沢山の「偏見」を持って生きている。無意識だから、偏見を偏見と気づいていないのだ。私が中国で仕事をしていた時、そのことに気づく場面があった。商談に来た日本メーカーの営業マンが、客先である女性部長ではなく、彼女の隣に居た年配の男性通訳のことを部長だと勘違いして、先に彼に名刺を差し出そうとしたのだ。メンツを重んじる中国で、これはまずい。通訳さんは大慌てで、隣の女性が部長だと説明をして、何とかその場をしのいだ。日本では女性の少ない職種だから、まさかそこに女性がいるなんて思わなかったのだろう。ましてや女性の部長だなんて想像もできなかったのだろう。「部長といえば、年配の男性」とイメージしてしまうのは、仕方のないことかもしれない。
 
私だって同じだ。先日参加したコミュニティのミーティングで、自分にも沢山の「無意識の偏見」があることを思い知った。そのミーティングで、南アフリカ人の男性と結婚した女性が、こんな例を示してくれた。
 
「ビジネススクールを卒業した南アフリカ人の彼の親は、大学を卒業して官僚となり、首都のプレトリアに暖炉やプールのある戸建ての家を持っています。さて、彼の親はどんな人だと思いますか?」
 
私はその話を聞きながら、「彼のお父さんはエリートなんだな」と思っていた。
 
「では、この方の写真をお見せしますね」
スライドがめくられると、そこに写っていたのは女性だった。つまり「親」というのは「母親」だったのだ。私はてっきり「父親」だと思っていたのに、そうではなかったのだ。「南アフリカ」、「大卒」、「官僚」、「戸建ての家」という言葉から、私は勝手に「男性」をイメージしていたのだ。
 
「あー、そうかぁ」
私はショックだった。「女性でもできる」という言葉に違和感を持っている私なのに。中国で、日本人が勘違いして男性通訳に先に名刺を差し出そうとした姿に、「おいおい、こらこら」と思っていた私だったのに……。そんな自分の中にも偏見があったのだ。
 
だから大事なのは、自分が持っている「常識」は常識じゃないと思っておくことなのだろう。偏見を持っていないつもりでも、刷り込まれるように無意識に持ってしまっているものなのだ。重要なのは、その自分の「常識」を押しつけないっていうことだ。「ひょっとして、こういうこともあり得るかも?」と、少し想像力を働かせて、違う角度から考えるところから始めてみたい。
 
で、「40代50代女性でもできる」っていうキャッチコピーなんだけど、「どうせできないでしょ?」っていう前提じゃなくて、もうちょっと想像力を働かせて、気持ちのいい言葉を使ったキャッチコピーにならないかな。そうしたら、もっと売れると思うんだけど。
 
 
 
 
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2022-02-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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