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偉人、‘茶聖’から庶民の生き知恵をみた

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:後藤 修 (ライティング・ゼミ 2月コース)
 
 
(どの時代もこの考えが必要だな)
番組が終わっていくエンドロールが流れながら、僕は呟いた。
 
今の番組、見応えがあった。
本当に、勉強になった。
 
僕の心はこの2行一色になった。
 
何を見たのか? 何が気持ちを揺らしたのか?
 
それをこれから、アラフィフの独身中年が語りつくしたい。
 
僕は無類の歴史好きだ。小学生に学研が発刊している歴史まんがに心を奪われた。
それ以来、歴史好きの王道とも言える大河ドラマ、またNHKが放送している歴史ドキュメンタリーをこまめにチェックして、まめに録画をしている。
自動販売機からお釣りをとり忘れたり、ガソリンスタンドで‘福沢諭吉’をとり忘れてしまう
忘れん坊のこの僕が、歴史ものを見ると、知られざる聡明な自分が登場。
(毎日の風景が時代ごとに変われば秀才な自分であるのに……)
こんなありもしない妄想を膨らませてしまうこともたまにある。
 
その中で、NHKのBSで放送されている‘歴史の選択’という番組を昨日、見た。
 
これは歴史上の偉人をピックアップし、その偉人が人生の中で人生を左右するような局面で
どのような判断を下したかを、出演者が二つの選択肢から選び、その偉人について
存在の意義や現代ではどんなことが生かせるかという知恵を探していくドキュメント番組のようなものだ。
 
今回の偉人は千利休だった。
 
千利休はどの人も大抵は知っているだろうと思う。
 
現代の茶の文化を発展させて、千家という茶の名家を発祥させた誰もが
敬意を示す偉大な文化人である。
この番組では、その茶人の面ではない、‘政治家’の面がクローズアップされていた。
 
実は、豊臣秀吉を支える裏の交渉人だった。
 
彼は豊臣秀吉にお抱え茶人として召し抱えられた後に、
数々の有力大名からお茶の指南を請われ、お茶を振舞った。
その茶を振舞う場が、密談場所となり、様々な情報が集まる基地と化していた。
 
例えば、徳川家康との戦いを停めて、和睦交渉に臨む前。
和睦の交渉を担う武将と利休が何を家康に持っていったらいいかという
贈答品を決めたりなどだ。
 
まさに、豊臣政権で彼は暗躍していた。
利休の力はこれだけにとどまらなかった。
 
時には、一国の大名を動かす力を見せつけたこともあった。
 
豊臣秀吉が天下統一を成し遂げるために、九州へ大大名の島津家へ出陣したときの事。
秀吉は10万ほどの大軍を率いて、九州へ攻め入った。
その一方で、利休は秀吉の命を受けて、島津家へ書状を送った。
 
内容はこのようなものだった。
 
‘秀吉様の力は天下にとどろき、誰も止めることは出来ない。だから、早く降伏したほうがよい。’
 
こんな趣旨の書状を送り、島津家に対して豊臣秀吉に屈服するきっかけを与えたのだ。
 
ここまで来ると、秀吉に仕える軍師・黒田官兵衛とは対極的にある
裏の黒田官兵衛のような存在だった。
 
しかし、このように秀吉を影武者のように支えてきた利休も運から見放され始めた。
その発端は秀吉の弟である豊臣秀長が亡くなってからだった。
秀長の死後、秀吉から京都から追放されてしまい、故郷である大阪の堺に追いやられてしまう。
 
理由は定かではないが次の2つが選択肢に上がっていた。
 
① 利休のような密室政治は平和の世にふさわしくないと考えられたため。
② 秀吉が朝鮮へ攻め込むことを反対していたため
 
この2つの意見に出演者が選択していた。
 
だが、僕は疑問に思った。
今まで、重用してきたのに、急に態度を変えて、自分のもとから去らせるとは
なんか合点がいかないと思った。
 
でもこう考えると自然でないかと思う。
 
それは、いわば、利休が自尊心を増長させてしまったということだ。
 
利休は豊臣秀吉に登用されていたが、織田信長にも登用されていた人物だ。
なので、‘自分は特別な人間で、誰からも一目を置かれる存在’と心の根っこには
この思いが強くあったはず。
そして、秀吉が当時の天皇を招いて、お茶会を開く時の総責任者に利休は指名されて
茶会を大成功させた。
だから、年々利休は自尊心という猛獣を自身の中で大きくさせてしまったに違いない。
 
現に、秀吉が嫌いだったとされる黒い湯のみを堂々と出して、お茶を振舞ったというのだから
庶民から見ると、かなり‘やっちゃてるな’と思う行動をしている。
 
このようなことが積もって、利休は秀吉に頭を下げずに、切腹をくだされてしまう。
 
ここまで来るとこう思う。
どうして、秀吉に謝れなかったのだろうか?
どうして、‘私がおもいあがっていました’といえなかったのだろうか?
 
利休は強い自尊心で、豊臣政権で活躍した。が、その自尊心で豊臣政権を追われたと言ってもよいのではないかと思った。
 
これは僕自身にも言えることだ。
 
僕は今の仕事に携わって6年経つ。仕事にも慣れて、もう感覚的にやることが出来る
域になっている。でも、これが自分の怠惰を招くことがある。
以前なら、丁寧に事に当たって、分からなければメモを取るなりしていた謙虚な態度が薄まっていることにきづいた。
所属しているグループは8人いて、僕の行動が間違って何かが起こることはないものの
利休のような‘俺はやれるんだぜ’時が大きくなると、間違いをおこす。孫間違いを素直に受けとめず、‘俺は別格だから構わない’というアホな王様のような振る舞いをしてしまう可能性は
大ありだ。
 
だから、今も昔も‘尊大な態度は自分を貶める’ものであると感じた。
これからも自尊心を持って生きていくことは必要だ。
しかし、それが自分の中で巨大化して,偉そうな自分にならないように自制心を
働かせていくことが生きるためには肝要。
そんなことを思わせる番組だった。
 
さて、みなさんは千利休の生き方を見て何を感じるだろうか?
 
 
 
 
***
 
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2022-02-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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