ちょっと足をのばしてみて
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事: haruki (ライティング・ゼミ2月コース)
今日も朝5時に起きて車で15分の山へ走りにいく。
学生の頃から走ることが嫌だった。
河川敷での持久走大会は ほとんど歩き あまりにも遅すぎて最後は先生のいるバスに拾われていた。走ると幼少期からのぜん息発作がでると思い走りたくなかった。
登山合宿もあったが、山の気圧の変化でぜん息発作が出そうだからと欠席。宿で一人待っていた。当然のように他の運動も全くしていない。
走るきっかけを与えてくれたのは、一枚の絶景写真との出会いだった。その写真は、山頂での太陽の光とその下に広がる一面の雲の景色だった。今まで、見たことがなくどうしても自分の目で見たくなった。
体力に自信がなく山に登る前に、トレーニングとして平地を走ることにしてみた。5キロぐらいで息が上がりつらくなって足が痛くなってしまったが、不思議とぜん息発作は出なかった。長年の思い込に過ぎなかったのだ。それから、距離をだんだんとのばしていき、走るペースは遅いが10キロは走れるようになってきた。しかし、それからの目標がなくだらだらと走っていた。そこで何か大会に出ようと思い立った。いきなり長距離は無理なので、ハーフマラソンにでてみた。沢山の沿道からの応援はうれしく無難に完走できた。ただ距離をこなしているような感覚だった。
やっぱり、見たことがない景色を見に行かなくては! 体力もついたしぜん息発作もでない山に行かなくては! 一体 山はどこにあるのだろうか?
何気なく山に登りたいといつもの美容室で話してみると、その美容師さんは毎週定休日の火曜日朝に山に登っているとの事だった。これは良い機会だと思い連れて行ってもらった。
登山口までどのくらい時間がかかるのかと思っていたら車で家から15分ぐらいしかかからず到着した。すでに数人集まっていてみんなものすごく短い短パンと半袖の姿。何が始まると思いきや整地されていない登山道を走るトレイルランニングだった。走るペースは、みんなに着いていく事ができなかったが、所々で待ってくれていて何とか山頂まで行く事ができた。約2時間ぐらいだろうか走っては休んでの繰り返しで最初の集合場所である登山口にいつの間にか戻ってきていた。走ってきた道もわからず、もちろん景色を楽しむどころではなかった。そして、その日は一日中疲れきってしまい何もする気力がわいてこなかった。ぼーっと過ごしているとラインの着信音がなった。今日参加したトレイルランニンググループへの招待状と撮影された集合写真だった。写真を撮られたことさえも忘れていたが、その写真では私一人を除いて、短い短パンともにみんな笑顔で楽しそうだった。このままではいけないと思い思いきってそのグループに参加した。さらに先ずは見た目からだと思い短い短パンも買うことにした。こうして毎週火曜日のトレイルランニングクラブに参加することになった。
朝起きて寒くてつらい時もあったが、毎回に前日に参加表明をラインでしている立場上 参加せざるを得ない状況となっていた。だんだんと景色を楽しむ余裕が出てきて、いつもの定番の集合写真にも笑顔で写ることができるようになった。気がつけばもう2年間走っている。山の景色は毎回異なり様々な表情を見せてくれる。春は 桜が咲き、時々イノシシが出てきて驚かされる。夏はひんやりとし、初夏はアジサイ、セミの鳴き声が響く。 秋は、木々の紅葉や黄色一色になる銀杏畑。 冬は日の出が遅く真っ暗で寒いが気持ちが引き締まるような思いがあり気持ちいい、そして時々雪化粧となる。
だんだんと慣れてきて一日休みをとることができ新しい山に連れていってもらうことになった。そこもそんなに遠くなく早朝に集合して車で1時間ぐらいだった。初めての山は道もわからないだけでなく、どこまで登りどこまで下るのかわからない。そして、山頂まで どのくらい時間がかかるかもわからないため、余計に疲れてしまった。やっと山頂に着いた頃にはだんだんと周りが明るくなりつつあった。一息ついて、ふと顔をあげるとそこに広がっていた景色は山に登るきっかけを与えてくれた写真と同じぐらいの絶景だった。思いもよらずに実際に自分の目で見ることができた。写真をたくさん撮った。やっと見られた思いと共に。
こんな近くに知らない景色が広がっているとは思わなかった。確かに周りを見渡せば山は見える。そこまでの距離が、近いとは思いもしなかった。自分に興味ないものは全く見えていない。知らず知らずに自分の視野を狭くしてしまっていた。そして、自分の限界も勝手にきめていた。何気ない出会いと興味でちょっと足をのばせば、身近に知らない世界がひろがっている。今後も興味を多くもって、ちょっと足をのばしていこう! そこには知らない景色がまっている。
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