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メディアグランプリ

人生のジェットコースターを降りた先に


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:レティシア(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
新型コロナウイルス感染予防のためのマスク生活も2年を超えた。ワクチン接種が進み、終息に向けて進んでいると思った矢先、感染力の強いオミクロン株による第6波が到来。まん延防止等重点措置も延長された。
 
この2年、私たちはあきらめることに慣れてきた。旅行も飲み会も外出も。子どもたちは修学旅行や入学式もあきらめた。
 
「しょうがないよね」
 
この言葉を、いったい何度聞いただろう。何度自分に言い聞かせただろう。
 
達観してやり過ごす術を身につけたはずなのに、糸がぷつりと切れるように気力が途絶え、動けなくなる時がある。
 
朝から体が重い。アラームのスヌーズを数回繰り返し、ようやくベッドから身を引き剥がす。歯を磨いて顔を洗い、いつものジャケットを羽織り、申し訳程度の化粧をして家を出る。
 
ルーティーンに乗っかってさえいれば、習慣が体を職場まで運んでくれる。職場では「仕事モード」に切り替わるので問題はない。黙々と目の前の仕事をこなし、粛々と雑事も片付け、定時に退社する。
 
寄り道をすると少し気分が上がる。だが、家に帰りついた途端、身体が液状化する。
 
日照時間の短くなる秋冬は、うつ状態になる人が増えると言われている。「季節性うつ」と言われるものだ。うつの症状は、睡眠障害、食欲不振、気分の落ち込みとして現れることが多い。
 
動けない時は極力動かない。それが、早く乗り越えるコツのようだ。
 
無理なくできることだけを、ゆっくりとやる。体にも心にも負荷をかけず、“人をダメにするソファ”に寝転がってパウダービーズと同化する。カップラーメン上等。風呂に入らなくても死にはしない。
 
とにかく「焦らない」ことが大事だという。そして「動けない自分を責めない」こと。隙あらば、べっとりと張りついてくる「焦り」や「無力感」や「自己嫌悪」を無視することが肝要だ。酒とカフェインを控えて、日付が変わる前に寝る。そういう生活をしばらく続けていると、ある日、突然気力が戻ってくる。
 
体が軽い。胸の奥の方から、小さな黄色い粒々がフツフツと湧き出して来る。動ける自分に心が跳ねる。溜まったタスクを片っ端からなぎ倒すように片付けていく。
 
ほとばしるアドレナリン。
ああ、気持ちいい。
 
「いやー、春ですなぁ!」と声をかけて回りたくなる。
外が雪でも、落ち葉の季節でも。
 
やらんけど。
 
 
心療内科で「双極性“健常”ですね」と言われたことがある。気分の浮き沈みの大きい「双極性障害」の傾向はあるが、社会生活に支障が出ていないレベルなので、健常域ですよ、とのこと。
 
双極性障害はかつて「躁うつ病」と言われていた。テンションの高い「躁」の状態と、気力がわかない「うつ」の時期を繰り返す精神疾患で、気分の落差が大きいため、自殺のリスクは「うつ病」よりも高い。
 
医師は言った。
 
「気分の波に逆らわないようにしましょう。したいようにしていれば、自然と元に戻りますよ」
 
自分の中の回復する力を信じろ、ということだ。でも、それが案外難しい。
 
元々動きたいタイプ。新しいことを始めるのが大好きで、知らない場所に行くのも好き。転職も引越しもワクワクする。小学校の通信簿には6年間「落ち着きがない」と書かれ続けた。
 
ジェットコースターのような人生が嫌いではなかった。曲芸じみた自転車操業が一段落すると、えも言われぬ充実感に満たされた。パリピのようなテンションで仕事をしてきた。
 
「そういう仕事の仕方をしていると、いつか体を壊すよ」
 
先輩の言葉の意味がわかったのは、去年の秋。
過労で意識を失って倒れ、頭と背中をアスファルトにしたたか打ちつけた。
 
さすがに、懲りた。これまでの人生で、死に最も近づいた瞬間だったから。
 
躁うつ気味の人は、軽い躁の状態を「本来の自分」だと認識していることが多いという。ストレスやプレッシャーに気持ちが引き締まり、「よし、やるぞ!」と思える自分が好きなのだ。
 
「かもめのジョナサン」も、おそらくは双極性障害だ。高い高度からの急降下を繰り返し、高速で飛ぶことで生きる意味を見出そうとした、かもめ。変わり者と言われようと、骨と羽根だけの状態になろうとも、目標に向けて頑張れる自分が好きだったのだ。良くも悪くもストイック。平たく言えば、変態。
 
しかし、そんなやり方は寿命を縮める。途中で息切れしてしまうと自己評価も急降下する。体に鞭打ってやり遂げられたとしても、その後のアメーバ状態は次第に長引くようになる。
 
頭と心はしばしば自分に嘘をつくが、体はちゃんと悲鳴をあげる。健康のためには「低め安定」を心がけたほうがいいようだ。
 
手始めに、生活から“擬音”を抜いてみることにした。
 
「ガーーーッ」と仕事したり「ババッ」と片づけたり「バタバタ」したりすることを、極力なくすということだ。代わりに召還したのは「まったり」と「ゆるゆる」。
 
まだ慣れない。まだしばらくかかりそうだ。
 
けれど、低空飛行で、ゆるやかに流れていく景色を楽しむ余裕ができたとき、人生の次のステージに進めるのではないかという気がしている。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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