メディアグランプリ

800円のマグカップ、買うか買わないかで迷いに迷う話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:森野みどり(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
持ちものの数をできるだけ少なくしたい。ミニマリストと呼べるほどストイックではないものの、一般的な家庭に比べて我が家にあるものの数は多くない。リビングにはソファもラグもテーブルもなく、ストレッチやヨガができるくらいがらんとしている。キッチンには電子レンジも炊飯器も食器棚もない。
 
けれど、マグカップを3つ持っている。ピンクのムーミン柄のと、虹色のしましまのと、白地に黒の水玉のもの。
 
ムーミンのは小さめだから、軽くて手に馴染む。しましまはカラフルな色味が元気をくれる、いつもの必需品。水玉のはたっぷり入る大きめのサイズで、仕事中の水分補給に毎日使う。だけどほんとは1つあれば十分なのだ。
 
なのに、ときどき行くスーパーで見つけてしまった。白地に青いりんごのイラストがついたマグカップ。
 
自宅の仕事スペースは白とグレーか黒、グリーンで揃えていて、普段は白x黒の水玉のマグカップで水を飲む。
 
2畳ほどの仕事スペースの壁は白く、机とパソコン、小ぶりの棚も白。マウスとキーボードは白とグレー、椅子と文房具は黒、そこに植物のグリーンを少し。
 
仕事をする平日はいい。不満があるとしたら週末だ。週末には気分を変えるために、平日とは違うマグカップを使いたい。ただし色は白かグレーか黒、もしくはグリーン。
 
そう、あのマグカップは白地にグリーンのりんごが描いてある。色味的には何の問題もない。問題は、マグカップをすでに3つ持っていることだ。
 
スーパーに行くたびに、マグカップの棚をチェックする。青りんごのイラストがデザインされたマグカップは3種類ある。小さな青りんごが水玉模様のように全体に散らばっているもの、半分にカットした青りんごの内側が描かれているもの、丸い青りんごが1つだけ中央に置かれているもの。
 
わたしが欲しいのは断然、丸い青りんごが1つだけ中央に置かれたデザインのものだ。青りんごは少し酸味があって、味はそれほど好きではないけれど、この形と色にはいつも惹かれてしまう。ころんとしたフォルムと瑞々しい色。
 
棚の前でじっと見る。見るたびに在庫が少なくなっていく。どうもわたしが好きなデザインは人気があるらしい。
 
家に帰って夫に聞いてみる。「欲しいなら買ったら?」うん、そうだろう。そう言われることはわかっていた。娘にも聞く。「いいんじゃない?」そうだよね。ものを減らしたいと言いながら、家族の中でわたしの持ち物が1番多い。引越を繰り返したせいで、夫も娘も極端に持ちものが少ない。
 
青りんごのマグカップは800円だから、買えないわけではないところが罪深い。もう少し高いものだったら、3つもあるんだからと諦めもつくのに。おまけに誰も反対する人はいない。誰かが反対してくれたらいいのに。だけど、ものを増やすことはできるだけ避けたいと思っているのだ。
 
スーパーのオンラインサイトをチェックする。写真を拡大する。この絵は、子どもの頃に読んだ絵本に出てきた青りんごを思い出させる。
 
マグカップは飲み口がちょっと狭くなっていて、横から見ると台形だ。カップの内側は肌理が粗いらしく、コーヒーやお茶を入れると茶渋がつくかもしれない。加えて外側は傷つきやすいようで、お店にあるものですでにうっすら傷が入ってるものもあった。
 
1年後、3年後、5年後を想像してみる。そのときもまだ、使いたいと思うだろうか。
 
買わないケースも想像する。そのうち忘れてしまうだろうか。ずっと覚えていて、あれを使いたかったと悔やむだろうか。
 
何かを手に入れたいと思ったとき、すぐに買うものと長すぎるくらい長い間検討して買うと決めたり、買わないと決めたりすることがある。
 
多すぎるものは管理できないことは、嫌というほどわかっている。この先、まだ引越しをすることもわかっている。引越しのとき、ものが少なければそれだけ楽なこともまた、身に沁みている。
 
でも、好きなものに囲まれた日常が心を潤すこともまた事実なのだ。ああ、迷う。
 
ところでオンラインのサイトを見ると、値段は変わっていないものの、スーパーが売り出しをかけている。そろそろ在庫が少なくなって、売り切ろうとしているのかもしれない。どきどきする。好きなデザインがなくなったらどうしよう。
 
と同時に、売り切れたら諦めがつくな、縁がなかったってことだなとも思う。
 
普段はそれほど優柔不断ではないはずなのに迷う。今度スーパーに行って、残っていたら買うことにしようか。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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