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英会話習得筋の鍛え方:「使って、あたって、くだける」ことも必要であるという英語学習者へのエール


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:あきやま しずえ (ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「ことば」はコミュニケーションのツール:道具である。
それはイコール、「使ってなんぼ」ということ。
コミュニケーションのために使わないのでは、どんなに豊富な言語の知識を持っていても、まるで意味がない。
 
生まれ育った国のことば・母国語でなければ、人がことばを自然に覚えることなどまずあり得ない。
大人になってから、母国語以外をネイティブのように使いこなせるようになれるだろうか?
あこがれるけれど、とても無理。
アメリカで18年暮らしてきた自分は、そう思う。とにかく、わたしには無理な相談だった。
 
 
中学高校とまじめに英語を学び、文法や語彙はまかせて!という勉強熱心な生徒では、全くなかったわたしが、アメリカに住んでいたらそれだけで英語が話せるようになったか、というと? 残念ながらそんな奇跡はあり得ない。
 
わたしは、現地で初めて英語で英会話を勉強した。コミュニティーカレッジの「初心者英会話」クラスである。そこは、メキシカンなまりがあろうと、ヒンドゥアクセントがあろうと、声の大きな生徒がどんどん発言する、という世界。
一歩ひいて静かにしていたら、英語を一言も口にする機会がないまま授業が終わってしまうのだ。
 
相手が自分の英語にアクセントがあることなど全く気にしていないのだから、こちらだけが発音を気にしているなんてナンセンスだ!
見よ、他の国から英語の国にやってきた人々は、冠詞も時制も、さらには代名詞だって気にしないでガンガン英語を「使って」いるではないか。その中で、
「えっと、この文章なら関係代名詞は……」
などと悩んでいるのは時間のムダだ。だいたい、話題においていかれてしまう。
そう気づいてから、わたしはだんだんと、
「理解しろよ、わたしの英語!」
というくらいのノリで、英語を話すことができるようになった。
ある意味、ブロークンイングリッシュを駆使する能力が開発されたということか、ただ無謀な度胸がついたということか。
とりあえずこの授業のおかげで、気持ちよく日本語アクセント英語を使えるようになったわけである。
 
そういえば、日本の英語教育は文法中心でコミュニケーションに役立つ学習ができていない、ということがよくいわれる。
だが、文法を知らないよりは知っている方がダンゼン有利じゃないか。正しい文法を知らず正しくない英語を話して平気な人々は、英語の国でサラリーのよい職を得るのにとても苦労されている。
わたしたち日本人は、「日本人は、世界に誇れるレベルの英語教育をうけている」そのことにまず自信を持つべきだと思う。
その上で、他人の目を気にせず、英語というツールを「使う」ことにフォーカスできるようになると、あなたの英語力は加速をつけて上手くなっていくはずである。
 
 
英語は言語で言語とは「ことば」。「ことば」はコミュニケーションのツール:道具である、と先に述べた。
 
コミュニケーションするには、完璧でネイティブな道具を獲得するために学習時間を費やすより(だって、それムリだから)、あなたのすでに持っている道具をあたってくだけるつもりで「使う」精神の方が必要だ。
 
「ことば」は「道具」だから、間違えたり通じなかったりした時は自分の持っている別の「道具」をさがして使うまでなのだ。
こういう図太い神経を育てることできたなら、あなたの英語習得筋がぐぅんと力をつけてきたということだと思う。
相手の発したことばが理解できない、そういう時に発揮されるのがそれ。
 
流暢(りゅうちょう)な英語の質問に対して、あいまいに微笑みながら
「アハァー? Aha?」
とか
「オーイエェス。Oh, yes」
というような、相手が言ったことを理解したと誤解されそうな返事をしない。そして、聞き取れなかったポイントを聞き返すことができるようになる。
 
「ワットドーゥユーミーン? What do you mean?」 それどういう意味?
「ソーリー、ワット? Sorry, what?」 ごめん、なんだって?
という感じだ。
 
 
そうして、ある日悲劇はおこる。
そんなふうに、ちょっと図太く聞き返すことができるようになってきた頃。
 
舞台は地元スーパーのレジ。
買った物をバッグに入れてくれるバイトくんがいた。
わたしの買い物を全部バックにつめてくれた高校生のバイトくんが話しかけてくる。
 
「え???」
よく聞き取れない。
「エクスキューズミィ? Excuse me?」 ごめんなさい?
でもわからず
「ワットディドユーセィ? What did you say?」 なんて言ったの?
と重ねて聞いたところ、バイトくん照れながら小さな声で、
 
「……。ハバナイスデー、マァム。 Have a nice day ma’am」 良い1日を、奥さん
 

あまりの定番日常会話に絶句する自分。それが聞き取れなかったなんて。なんて、なんて、なんて! 恥ずかしい。
どう返したのかは、覚えていない。
 
救いは、バイトくんのほうが先に耳まで真っ赤になったことだけれど、わたしの心の流血はしばらく止まらなかった。絶対わすれられないあの場面。彼のつぶやくような
「……。ハバナイスデー、マァム。 Have a nice day ma’am」
 
少しは英会話に自信がついてきていた当時のわたしは、一気に意気消沈したことは語るまでもない。
 
 
これから英語会話を身につけたい人には、英語を使う時、自分の「恥ずかしい」や「こんな発音」という思いをわすれてほしい。そして突き抜けてほしい、ご自分のコンフォートゾーンから。
 
いいのだ、すこしくらい文法が間違っていても。
「R」や「L」がきちんと発音できていなくても。
伝われば万歳!
相手があなたの言いたいことをわかってくれたらすべてオッケー!
 
以前ブログで読んだのだが、アメリカのとある街のスーパーマーケットでは、店員が日本人客にはあいさつしないのだそうだ。それは、ほとんどの日本人が返事をしないからだという。
とてもさみしい現象。
あちらが「ハーイ!」と言ってきたら、「ハーイ!」と返す。これはもう礼儀のレベルだろう。
無視するのは失礼ってもんだ。おもてなしの国から来た人のすることではない。
 
恥かくから?恥をかいたらどうなる? 1ドルだって損するわけじゃない。
まずはやってみればいいじゃないか。使ってみればいいじゃないか、あなたの「道具」を。
赤っ恥をかいたあとは、爽快感がやってくるから。心が流血してもちゃんと止まるから。
あなたの一生懸命は、きっと相手に届くから。
 
聞きとれなくて困った英語は、未来永劫わすれない。
あなたの「使える道具」が増えていくだけ。
 
 
ご自身のプライドと恥の意識を気持ちのすみに追いやって、すこし勇気を持って「使ってみる」。そこから英会語習得筋の鍛錬は始まる。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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