メディアグランプリ

話してくれないと分からないという特大ブーメランを受けた日


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鈴木 勇気(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
「今日という日を人生最大級のブーメランを受けた日と認定したい」
 
ネットを日常的に使っているユーザーであれば、見聞きしたことあるだろう。
人の悪口や批判を言っていたら、そのまま自分に返ってくるものだ。
 
数年前、おかんがテレビを見ながら「オレオレ詐欺が流行っているけど、息子の声が分からないってあるのかね? 普段からコミュニケーションが取れていないからじゃないの?」と言っていた、数か月後…
 
おとんから数年ぶりにかかってきた電話で
「母から面白い電話がすぐにかかってくるから楽しみにしてて」と。
 
数分後……
 
おかんから「あなた車で事故を起こしたの? 大丈夫? 何があったの?」と泣きながらテンションMAXのパニック状態で連絡があった。
 
これのことか……
半分以上聞き取れないけど、オレオレ詐欺にめっちゃ引っかかってるやん! こんなにきれいに引っかかるん?
 
普通に仕事してるし、詐欺だから放置してよいよと伝えて、その日の夜は家族会議が開催された。
当時は全員別々(父、母、兄、私)に暮らしていたので4人家族そろうのが冠婚葬祭以外にあるとは思ってもいなかった。
 
今では鈴木家の歴史の中で笑い話ランキングの殿堂入りしている唯一のエピソードだ。
おかんも「引っかかる人なんているの?」なんて言わなければよかったのに。
 
さて、私の〈人生最大級のブーメラン〉の話に戻していこう。
 
私は家族や友人や同僚に「あなたの思っていること・あなたがどうしたいのか・私にどうしてほしいのかを話をしてくれないと分からない。私はサイコメトラーでもないし、斉木楠雄でもない。あなたもサトラレじゃないんだから口にしないと分からないよ」といつも言っています。
こちらに話を聞く準備ができていても、そっちも歩み寄ってくれないと何かすることができないんだよ。と
 
なんてことを偉そうなことを言っていたのに、びっくりするくらい逆の立場になってしまった。
 
40歳も過ぎて、そろそろ今後の人生をどうしていこうか悩んだときに、6年通い続けているダーツバーのマスターに相談をしていた。
 
そしたら「勇気くんが自分の話。しかも重めの相談をするのって初めてだよね。なんか新鮮だし嬉しいな」と。
話を続けていくうち「そういう悩みを抱えているって知らなかった。ひょうひょうとしているし、悩みは一人で解決する・我が道を行くって感じの人だと思っていたから。やっと心を開いてくれたってことかな?」
 
あれあれ? なんかおかしいぞ!
私は劣等感と承認欲求の塊でどうやったら、人に嫌われないか・少しでもカッコよく見られたいと常々思っている私に対して、一人で解決とか我が道を行っているなんて…
もう6年も通っているのに! マスターは何一つ私のことを理解していなかったのか! と怒りすら覚える。
 
目の前にあるレモンサワーをオーナーの顔面にぶちまけたい! 周りでわいわい騒ぎながら遊んでいる常連さんたちがドン引きするくらい大きな声で文句を言いたい。
が、さすがに40歳も過ぎるとそんな対応をすることもできず、恐る恐るなんでそんな風に感じていたの? と聞いてみると…
 
「なんとなく、弱い部分?不安な部分もあるとは感じていたけど、言われないと分からないよ」
 
はい。きた! 今まで人に言ってきた言葉
 
〈言わないと分からない〉
 
まさか自分が言われるとは思ってもいなかった。
 
そもそも他人の悩みなんぞ聞いても、面白くないでしょ。それに解決するのは自分だし、自分の悩みを人と一緒に解決しようなんて、甘えているでしょ? だから話をしなかったんだよ。
 



 
人には話をしてほしいと言っているのに、自分は話すわけがないと言う。
 
なんだ、この矛盾は?
 
人と仲良くなりたいから、いろいろな話を聞きたい。それこそ、浅い話も深い話もいい話も悪い話も全部聞きたい。いろんな話をするからこそ、人と心を交わすことができる。
でも自分は自分の話をしない…
 
そのあともマスターに、最近あった悲しかった話・つらかった話・今後したいけど、できるか悩んでいる話などなど、終電が過ぎるまで話をした。
 
「結構、いろんなネタ持ってるんだね。前よりますます好きになったよ。話をしてくれてありがとう。やりたいことの話だけど、知り合いにそのあたりのことが強い人いるから今度、紹介するよ」
 
弱みを見せると人は助けてくれる。人から相談を受けたら自分の知識や人脈を使って、問題を解決してあげたいと思う。
でも自分ごとになると、こんなことを言ったら嫌われるのでは? 呆れられるのでは? と思い、自分の話はしてこなかった。
マスターに話をしてみたら、もっと仲良くなれたし助けてもらえるようになった。
 
もしかしたら、自分が人に望んでいることは自分ができていないことなのかもしれない。
思いの外、もっと人を頼ってもいいのかもしれない。意外にカッコ悪いと思われないのかもしれない。
今回の特大ブーメランをきっかけに自分の行動を見直していこう。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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