メディアグランプリ

小学校1年生のお悩み相談


202*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事::林 菜緒(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「どうやったら断れるようになるかな~」
もうすぐ小学校二年生になる娘がつぶやいた。なんでも、同じクラスに押しの強い友達がいて、休み時間に遊ぶことをいつも勝手に決めてしまう。たまには自分の遊びたいことで遊びたい! ちゃんと「嫌」と言えるようになりたいとことだった。
 
確かに、娘の友達は押しの強い子が多い。公園で遊ぶ時にしか会うことはないが、大人にも自分の要求をグイグイ主張してくる。娘が口をつぐんで言い返せない姿を何度も見ているので、学校でもきっとそうなのだろう。
 
「自分にも考えはある。だけど、それを言えない。でも友たちの言いなりになるのは嫌だ。」そんな娘の話を聞きながら、昔の自分を思い出した。
 
私には娘より手痛い経験があった。同じクラスの友達に「算数の教科書を忘れたから貸して」と言われ貸してしまったのだ。自分も使うのに・・・・・・授業が始まり、最初は先生が黒板に書いてくれたので良かったが、演習に入ると困ってしまった。教科書を見ないと問題が分からないのだ。私は、先生に教科書を貸してもらえないか聞いてみた。でも、先生は見ていたのだ。私が教科書を貸すところを。当然、返してもらうように言われたが、私はその友達が怖くてできなかった。この一件は、保護者会で親に伝えられ、家でも散々な目に遭った。
 
その子は私にとってジャイアンだった。気が弱くて何も言い返さない私に、「私のモノは私のモノ、あなたのモノも私のモノ」という態度で接してきた。一事が万事そういう風なので、だんだん関わるのが億劫になり、休み時間は図書室に忍び込んで一人で本を読んで過ごすようになった。当然、自分と遊ばない私のことがおもしろいはずもなく、無視されたり、陰口を言われることが続いた。
 
あの頃は毎日がつらかったなと思いつつ、娘の話に戻った。
 
私は「ママの娘だから仕方ないよ。」と言ってみた。これは、諦めるために言っているわけではない。自分の立ち位置を知るためだ。生まれながらに自分の思ったことをパッと言える子と言えない子がいる。言えない子が言えるようになるには、結構な努力が必要だと思う。そして、そういう性格に生まれたのは、あなたが悪いわけではなく、ママも言えない子だったから仕方がないということを伝えた。
 
娘は「ママもそうだったの?」と驚いていた。そして自分だけじゃないんだと少し安心した様子だった。それから、娘とできそうなことを話し合った。
 
娘:言いたいことは決まってるよ。
私:それなら必要なのは「勇気」だね。
娘:勇気?
私:言い返されるかもしれないけど、頑張って言ってみるってこと。
娘:それができないから困ってるんじゃん。
私:駄目元で言ってみるのも大事だよ。
 
こんな調子で小さなアイディアをたくさん出し合った。もちろん特効薬になりそうなことは一つもない。自分が意見をはっきり言えないことを自覚したうえで、いろんな経験を積んでいけば、娘も少しずつ成長できるはずだ。
 
娘が自分の弱さと向き合おうとしている今、親として自分ができることはなんだろうかと考えてみた。私も気の弱い子どもから、会社員としてやっていけるくらいには成長した。娘の役に立てるノウハウを少しは持っているかもしれない。
 
私が変わるきっかけとなったのは「勉強」かもしれない。中学2年生の時に、何か欲しいものがあって、それまでよりほんの少しテスト勉強を頑張った。何が欲しかったのか忘れてしまったくらいなので、そんなに本気で勉強したとは思えないが、とにかく成績が上がった。当時はまだ成績上位者が廊下に貼り出される時代だったので、私の成績が急上昇したことは同級生にも知れ渡った。そうすると同級生や先生の見る目も変わり、いろんな場面で意見が尊重されることが増え、それが自信につながった。
 
だから、ぜひ勉強は頑張ってみてほしい。スポーツや音楽など自分の好きなものでも構わないが、勉強ができることは学校生活では絶対的に有利だと思う。自分の知識は増えるし、周囲の評価も高まるし、将来への選択肢も広がる。そうすれば、着実に「自己肯定感」を高めながら、何を言われてもへこたれない「自分」を育てていけると私は思う。
 
そして、頑張ってもくじけてしまった時には、安心して立ち直る場所があることを伝えたい。以前、友人のお母さんが「毎日決まった時間に夕飯を作れば、子どもはぐれないよ」と教えてくれた。最近まで「毎日ご飯を作っていれば、愛情が伝わる」という意味だと思っていた。もちろんそういう意味もあるかもしれないが、本当は「子どもに帰る場所があることを間接的に伝える」ことだと、今は思う。
 
娘が小学校に入った時、一人旅に出したような気分になった。学校のことはプリントと娘の話からしか分からなくなった。保育園のように常に見守ってくれる大人はいなくなったので、友達との人間関係も自分の力で何とかしなくてはならない。でもそれができる年頃なのだ。今回もこうして、自分で何とかしようとしている。まだハラハラすることもたくさんあるけれど、娘を信じて、口にチャックをして、目だけは離さないようにしていこうと思う。
そして、話し相手に選んでもらえるような親子関係を築いていきたい。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2022-03-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事