メディアグランプリ

週の真ん中、水曜日

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:bajio(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「あと5分で(会社が)閉まるぞ〜〜」
バタバタとパソコンをきる同僚たち。
みんなあわてて帰り支度をはじめる。
 
今日は水曜日。私の働く職場は土日休みのよくある勤務体系だが、一斉に退社する曜日を設定している。いわゆる早帰り日。その日の退社時間は18時。いつもは21時22時に帰っているのに、その日は必ず18時に退社しないといけないから大変だ。
 
ルールは厳格。18時を1分でも過ぎようものならえらいことに。上司も連帯責任で、職場のトップから大目玉を食らう。
 
まるでテレビで見た軍隊の様子。規律を重んじ、時間に徹底してこだわる。朝の集合時間に遅れ、教官から激怒。チーム全員で腕立て伏せをさせられているような感じだ。
 
そこまで厳しく早帰りが徹底しているので、さすがにみんなにも早帰りの意識が定着されている。『水曜日は早く帰る』それは私の職場では常識になった。
 
いつもより早く退社したので、「ちょっと一杯」と行きたいところだが、自粛ムードが長く続き、そうもいかない。お堅い会社ということもあり、みな、まっすぐに家に向かう。
 
はじめは、有無を言わさず帰らされることへの不満。窮屈さ。もう大人なんだし、自分の好きにさせてくれ。と、モヤモヤしていたのだが、続けていくうちに、早帰り日の水曜日を楽しみにしている自分に気づいた。
 
なぜなら、家に帰る時間に、まだ子どもがまだ起きているからだ。小学一年生と幼稚園年少の二人。まだ小さいので、いつもは家に着く時間にはだいたい寝てしまっている。良くても、寝る前に立ち会えて「おやすみなさい」を言える程度。
「子どもが寝る前に興奮させないで」と妻からも厳命されているので、挨拶を交わすくらいがせいぜいだ。
 
それが、早帰り日だとちょうどご飯の時間に家に着く。一緒にご飯が食べられる。ましてや、タイミングな良ければ、遊んでいる子供たちに混じることができるのだ。
いつも、レゴのブロックでごっこ遊びをする子どもたち。数時間前まで、仕事であくせく、ストレスを感じていたわたし。レゴのごっこ遊びで子どもたちと夢中に遊べることが、仕事の疲れをとる。癒しになっているのだ。
 
そして、家族で囲むご飯。今日、小学校や幼稚園であったことを夢中で話す子どもたち。それを聞く、妻とわたし。他愛のない会話だが、そこからも子どもたちの成長を感じることも多く、ありがたみを感じる。
 
子どもたちも、休日以外に一緒に過ごせることを少なからず、喜びに感じてくれているよう。日曜日になると「早帰り日はいつ?」なんて言ってくる。早帰り日という言葉を覚えて、楽しみにしてくれているのも嬉しいものだ。
 
いつしか、水曜日を待ち遠しく思いながら、仕事に向かうようになってきた。
 
月曜日、今週も仕事がんばろう
火曜日、今日行けば、明日は早帰りだ
水曜日、今日は早帰り。さくっと仕事しよう
木曜日、昨日楽しんだし、気持ち新たにがんばろう
金曜日、今日で今週も終わり。明日から休みだ
 
2日間行って、1日早帰り。そして、残りの2日間をがんばって、土日を迎える。
 
水曜日に早帰り日があることで、いい感じにリズムが刻めているのだ。
 
例えるなら、マラソンの折り返し地点にある給水所。
42.195kmの過酷なレース。長丁場のコースの中でようやく半分。折り返し地点。給水所で手に取る一服の清涼剤。リフレッシュして「さあ、後半もがんばるぞ」気持ち新たに臨むことができる。
 
仕事も一週間という長丁場。月曜日から金曜日までを、リズムなく過ごし続けるのは、やっぱり辛いのだ。
 
この水曜日の早帰り徹底。
一人一人の自由に任せ、早く帰りたい時に帰れば、もっといいのでは、という意見もありそうだが、これはこれで難しい。
マラソンでいつでも給水所がないのと同じように、やはり給水所は決まったところにあるからこそ、ペース配分が出来るというものだ。
 
そして、水曜日に早く帰らないといけないからと、日中の仕事の集中力が上がった。より段取りを意識できるようになった。何せ、早く帰れたところでその分仕事がなくなるわけではない。困るのは自分なのだから。
 
そして、これまでは水曜日以外は時間無制限。ともするとダラダラとしていたが、早く仕事を終わらせられれば、子どもたちと遊べる、家族団欒できる。これがモチベーションとなり、水曜日以外も徐々に早く帰れるようになってきた。仕事の生産性が上がったのだ。
 
そんな働き方にも良い影響を与えてくれる早帰り日。
 
これから子供が大きくなってきて、部活動をしたり、塾に行くようになると、夜に顔を合わせる時間も少なくなってくるかもしれない。そうでなくても、今のように水曜日を待ち遠しくしてくれる。一緒に遊ぶことを楽しみにしてくれることもいつまで続くことか。
想像すると少し、いや、かなり寂しい。
 
だからこそ、この貴重な時間を噛みしめて過ごしていきたい。
 
「あと5分で閉まるぞ〜〜」
 
「もっと仕事したいのに~」
なんてうそぶきながら、そして、心の中ではワクワクしながら。
家族が待っている家に、今日も帰っていく。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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