メディアグランプリ

「秘めフォト」初体験の先に見えた世界


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:牧 奈穂(ライティング・ゼミNEO)
 
 
「何でこんなことをしに来たのだろう?」
コーヒーショップで、アイスコーヒーを飲み、ドキドキしながら時間を待つ。
その日、私は、自分自身が「主役」の写真を撮りに池袋に来ていた。いつも、記念写真の主役は息子だが、この日は違う。自分が主役の写真なんて、結婚式以来かもしれない。
 
天狼院書店の「秘めフォト」になぜか惹かれ、思い切って申し込んでみた。「秘め」とつくくらいだから、普通の写真撮影ではない。グラビアのような写真だ。若くてスタイルが良ければ、きっと素敵だろう。だが、私は、若くもないし、見た目もスタイルにも、全く自信がない。それでも、なぜか惹かれたのだ。申し込みをした後、行きたくなくなったら、やめればいいとも思っていた。息子に、「秘めフォトに興味があるのだけど、どう思う?」と聞くと、息子は、「いいんじゃない。行っておいでよ!」と意外にも、嫌がらなかった。どうやら息子は、「姫フォト」だと思っていたようだ。素敵なドレスでも着て、記念撮影をしてくるのだと思ったのだろう。分かった時は、「えっ? そっち?」と驚いていた。
 
なぜ、申し込みたいのだろう? 考えながら、ふと自分の気持ちに気づいた。
「あぁ、私は、私を認めたいんだ」
自分が自分で認められない、心の奥底に気づいた瞬間、心が痛くなった。「自分」と向き合ってきたつもりだが、自己肯定感の低い自分に気づく。父親と母親の役割をする、シングルマザーである私は、毎日が忙しいが楽しんでさえいる。でも、心の奥底で、私は女性としては価値がない……と思っているのだろう。気づかないよう、毎日忙しく子育てをしていたが、傷ついた過去が過去にならず、女性としての私に自信がないのだ。
 
恐る恐るスタジオに入り、初めてカメラマンの三浦さんに会った。いつも、ライティング・ゼミで厳しいイメージがある。だから、三浦さんがいくら素晴らしいカメラマンでも、写真を撮られながら、顔がこわばってしまうような気がしていた。
 
その日は、4人の撮影者がいた。
リピーターも多いと聞くが、私より早く来ていた方は、リピーターだった。すでに、バリバリと服を脱いでいる。とんでもない場所に来た気がして、帰りたくなる。
派手なキャミソールに身を包みながら、三浦さんから、話を聞き始めた。パソコンの中にある画面から、参考にと見せられた写真は、ヌード写真のようだ。「こんなの人前で無理……」そう思いながらも、三浦さんの話が面白くて、つい聞き入ってしまう。
話の中に、「傷やホクロを隠さないで、全て残します……」という言葉があった。全てを綺麗に消してしまったら、その人の個性がなくなってしまう。「体の傷も含めた全てが個性です……」
私にも、ネックレスをしているように、首に沿ってうっすらと手術の傷あとがある。手術した者にとって、傷あとを肯定してくれる言葉は、自分に起きた病も肯定してもらえているような気持ちになる。だから、その言葉が心に刺さった。
 
そして、いよいよ撮影だ。慣れた方から、撮影が始まった。まるでモデルのように、セクシーな眼差しをカメラに送る。「セクシー」という言葉の対極にいる私だから、待ちながら帰りたくなった。
「最後の人は、プレッシャーがかかりますよ」
三浦さんが言うが、前に出る勇気がない。すると、ある方が、「私は最後になりたくない……」と言って撮影が始まる。私も最後になりたくなかったが、そう言われたら譲るしかない。
その方は、どちらかと言えば、さっぱりとした方で、私と同じでセクシーというタイプの方ではなかった。だが、三浦さんが言葉をかけながら写真を撮るにつれ、明らかに最初の表情と違う美しさが引き出されるのが、見ていてはっきりと分かる。ほとんど身にまとうものがないからこそ、余計なものが削がれて、その人の中にあった魅力が出るかのようだ。
 
いよいよ私の番になり、プレッシャーを感じながら、前に出る。言われるままに座り、カメラのレンズを見た。セクシーとはほぼ遠い私だから、そんな眼差しも送ることさえできない。すると、「あれぇ? さっき見ていた姿と違う。随分、堂々としている……」と三浦さんが笑って話しかけてくれる。不思議だが、カメラの前に立つと、緊張しないのだ。コロナ禍のマスク生活で笑顔を忘れてしまい、いつ写真を撮っても顔が引きつる私が、自然体でいられる。生まれて初めて、写真を撮られた実感がない撮影をした。人前で、脱いで、とんでもない姿になっているのに、そんなことが気にならなくなる。あのレンズの力は、何なのだろう?
きっと、カメラマンの心が、全てを丸ごと肯定し、受け入れてくれるから、レンズの前で、余計なことを考えず、自分をありのままに出せるのかもしれない。
 
できあがった写真を見ると、いつもの私ではないような、逆に自然な私のような、不思議な魅力を感じる私が存在していた。息子にも、何枚か選んで見せてみた。「へぇ〜、よく撮れてるじゃない!」と反応もとても良かった。
 
女性なら、一度は体験してみるといいと思う。全くいやらしくもなく、美しいドレスなんか着なくても、素敵な景色をバックにしなくても、「私は私のままでいいのだ」と自分を受け入れる気持ちになれるからだ。綺麗に着飾ることが、美しく見せることではなく、削ぎ落とすことの先に、人の持つ美しさがある。これこそが、自分の内なる美しさに出会える「姫フォト」とも言えるかもしれない。
 
 

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2022-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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