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手書きは修行。それでも尊いものだったという話《京都ウォーク・トリップ》


*この記事は、《京都ウォーク・トリップ》にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:藤井 郁弥(京都ウォーク・トリップ)
 
 
手書きで文字を書いたのはいつぶりだろうか。テクノロジーの発展により手書きで書く機会が格段に減った。
元々、字が綺麗な方ではなかったので、個人的にはありがたいことなのだが、不意に手書きで文字を書くとき、他人と比べて字があんまり綺麗ではないことに気がつく。
 
雲龍院は「般若心経」の写経を体験できる場所がある。スマホやPCで書くことがほぼ当たり前。筆を持って紙に書く行為をいつやったかなんて覚えちゃいない。
 
「面白そうやし。意外と穴場スポットかもしれない」と、そんなことを考えながら、雲龍院の方面に向かうバスの中、清水寺や八坂神社などの有名スポットの最寄りのバス停で、ドッと降りる観光客を見ながら、想像していた仮説が当たったのだった。
 
新緑が溢れる道を歩きながら、ゆるゆると目的地に向かった。道中もその瞬間を逃さまいと、持っている一眼レフカメラにてシャッター切る。
 

 
雲龍院に着いた。
写経の前のお清めをする。
 
丁字 丁字のつぼみを乾燥させたものを口に含む。
塗香 黄土色の粉末を手に塗る。
酒水 加持祈祷した清水を頭に少量かけてもらう。
 
薄く書かれた般若心経の紙に目の前に用意されている筆に朱墨をつけなぞる。
鉛筆やボールペンのようにうまく書けない。力の加減や筆の方向を誤れば、太くなったり細くなったり。
それはまるで、言うことを聞かない暴れ馬のようであった。
 
受付の紙に「これは修行のひとつなので覚悟がない人は写経をしないでください……」と書いてあったのを思い出す。
たしかに修行だった。正座をしながら、姿勢良くして、PCやスマホで200字は書けても、手書きの200文字は想像絶するほど、辛いものであった。普段使うことのない漢字の数々。足も痺れてくるのだから、悠長にやってられないのだ。
 
まだ半分も書いてないやん。集中どころか雑念ばかり出てくる。神様申し訳ございません!という気持ちも出てきた。ただ、やるからには最後までやりたい……!という思いが交錯する。
 
あとちょっとや。
 
光が見えてきた。般若心経の最後を書いた後、自分の名前と住所を書く欄まで到達した。
慣れない筆で名前と住所を書いてみたのだが、文字のバランス、書いた文字が墨で滲んでいるのを眺めながら、書くことの難しさを痛感するのであった。
 
その場所では、撮影禁止のため、書き写した般若心経を持って撮影できる場所まで移動した。中腰でシャッターを切った瞬間、足が笑い出す。思うように撮影できない。それでもその一瞬を逃したくなかった。
 

 
痺れを堪えながら、渾身の写経を撮影するのであった。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。
付属の抹茶引換券で一服しながら、達成感と解放感を感じるのであった。
 

 
一行は抹茶を堪能し、その後、「悟りの間」にある「悟りの窓」へ、
悟りの窓を撮影していたときだった。
 

 
30年とちょっと生きてきたわけなのだが、字があまり綺麗ではないことに対してコンプレックスを持っていた。その事実を認めようとしない自分がいた。ただ、写経を通じて気づいたことがある。
文章も写真もコミュニケーションのひとつの手段である。
 
様々な情報媒体が、ひしめき合う世の中。心が落ち着かないことが数多く起こっている。
 
それでもなお、目の前の物事に集中をして、取り組むことの大切さを教えてくれたのは、間違いなく写経だった。
 
デジタルからアナログへ……
いま一度、手書きの大切さを先人たちが、時代を超えて教えてくれたに違いない。
 
 
 
 
***
 
この記事は、《京都ウォーク・トリップ》にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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2022-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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