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新人研修を通じて、私は鼻毛の処理を怠らないことを決めた。


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記事:Kamizono Kiyomi(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
私は、新人教育を担当している。
小さな会社だ。社内の新人数名を集めての社内研修などはない。
 
私と新人の1対1の研修だ。
私は新人の教育は初めてで、新人教育の新人だ。
 
研修の相手は、私とはタイプの違う、大人しいというか、あまり主張しないというか、話を聞いているのか聞いていないのか分からないような子。
いわば、私の苦手なタイプだ。
 
簡単な研修カリキュラムはあるものの、研修が始まると、その子には合っていないように感じ、路線変更を強いられた。
その場その場での資料作り、少しでも楽しく真剣に向き合えるように自分では工夫をしたつもりだが、相手に響いているのか全く分からず、仕事への熱量が私と違い、どう接していいのか分からなかった。
 
自分で行うことと、伝えることは別物だった。不慣れ感丸出し。
研修は、スムーズには進まず、研修期間の半年は辛かった。
きっと彼女も、私のイライラを感じ、しんどい半年間だっただろうと思う。
 
この時のことを、時々思い出す。
彼女にも苛立ち、自分の未熟さにも苛立った。
 
どう接したら、どう伝えたら上手くいったんだろうか。上手く伝えられないということは、私が物事の根本を理解できていないのだろうか。
 
そんな思いを巡らせていたら、唐突に鼻毛問題のことを思い出したのだ。
 
ここでいう鼻毛問題とは、
あなたは、誰かと二人で話しています。相手の顔にふと目を向けると、鼻毛が出ています。
あなたは、「ちょっ、鼻毛が出てるよ」と伝えますか? 伝えませんか? というもの。
 
今ではマスクが習慣となってしまっているため、こういった場面になかなか出会わないかもしれないが、目玉焼きに何をかけて食べる? ぐらいには、盛り上がれる話題だと思っている。
 
鼻毛が出てるよと伝える人は、「鼻毛が出たまま、ずっと過ごすなんて恥ずかしいじゃん。だから言うよ」という感じなのでしょうか。
伝えない人は、「そんな恥ずかしいことを、面と向かって言えないよ」という感じなのでしょうか。
 
ちなみに私は可能な限り伝える派ですが、伝えない人の中には、人により言える人と、言えない人がいる……、と思う人もいるだろう。
伝える派の私も「可能な限り」と付け加えたのは、初対面の人にはさすがに言えないかもな、と思ったからだ。
 
「こんにちは。はじめまして。本日はよろしくお願いします」なんて挨拶を交わしたとたん、「鼻毛、出てますよ」と伝えたら、だいたいの方が「えっ、なにコイツ」と思うでしょう?
 
伝えられる・伝えられないは、その人との間柄が大きく関わってくると思います。
又、異性へ伝える、同性同士等、伝えやすさは性別も関係してくることでしょう。
 
それを言われた側も、言葉の使い方や声の大きさ、タイミングで捉え方も変わってくるように思います。
 
この鼻毛問題は、色んな状況が絡み合い、その時その時により正解が違う。複雑な問題だ。
 
鼻毛問題が、どう新人研修に繋がるのかというと、私が伝えていたことが、相手にとっては受け入れ難いような言葉の使い方や声の大きさ、タイミングだったかもしれないということです。
そして、「ちょっ、鼻毛が出てるよ」と言える関係性を築かなければ、相手が「おっとっと」と思ったりもするわけで、一瞬に相手との距離が広がってしまいます。
 
私だけかもしれないが、この鼻毛問題は、新人の教育について冷静になって考えられる材料のような気がした。
 
新人研修を行っていた期間、私は、彼女のためと思い伝えていたことは、もしかするとただの押し付けだったのではないかと思い始めている。
研修を進めることを優先し、相手との関係性をきちんと築こうとしていただろうか。
相手の心情を読み取った言葉遣いをしていただろうか、タイミングはどうだっただろうか。
 
色んなことを振り返っている。しかし、これは仕事だ。
今後、彼女にとって必要なことを選別して伝えてきたはずだ。本当に押し付けだったのだろうか。すべきことは決まっている。それを、しっかりとしてほしいという気持ちが私にはあった。
 
彼女は「ちょっ、鼻毛が出てるよ」と伝えたにも関わらず、鼻毛のことには無関心という感じに見えた。
 
鼻毛が出ているのに、無関心でいられるだろうか?
マスクをするから、どうでもいいやと思っていたのだろうか。
 
私には理解し難い心情である。
 
うーん、まだまだ私の中では消化しきれない問題ではあるが、人との関わり方を落ち着いて考えることが出来て良かったように思う。
 
しかし、色々と考えを巡らせたことで、はっきりとしたことがひとつだけある。
人間関係がうまくいくコツは、鼻毛の処理を怠らない事だということ!
 
「ちょっ、鼻毛が出てるよ」と、伝えようか、どうしようか相手を迷わせないこと、その気遣いがあれば、人間関係は上手くいくように感じた。
 
私は新人研修を通じて、鼻毛の処理を怠らずにやろうと決めたのだ。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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