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バレエは永遠の憧れ


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記事:佐藤知子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
私が憧れ続けているもの、それはクラシックバレエ。
トゥ・シューズを履いて、つま先を伸ばして立つ姿を見ていると、バレエ独特の足の甲の曲線が美しくて、別世界の魔法にかかったような不思議な気分になる。
つま先立ちが可能になるトゥ・シューズが生まれたのは、18世紀後半で、床から足が浮き上がって見えるような、軽やかで幻想的な動きを作り出すために生まれたそうだ。まさに、私はその魅力にハマってしまったのだった。
 
小学校3年生の時、学年でただ一人、クラシックバレエを習っている友達がいた。体の線がきれいで、体育の授業で走るだけでも、身のこなし方が違った。
私があまりにバレエに関心を示すので、発表会のお誘いを受けた。しかし残念ながら家の都合で連れて行ってもらうことが出来ず、パンフレットのみもらった。そこには、シンデレラの演目で踊る友達の姿が写真に写っていた。つんと広がったチュチュのついた衣装を着て、つま先で立っている。
何て素敵なんだろう。
友達に伝えると、サイズの合わなくなったトゥ・シューズをくれた。薄いピンク色のサテン地に包まれていて、つま先が硬い構造になっている。そして、一緒に習わないか、と誘ってくれた。うれしくて何度も眺めた。バレエを習いたいと両親に話したが、レッスンが平日だったり、何かと親の協力が必要なこともあって、うちは無理ということだった。
仕方がない、と諦めるしかなく、月日が流れていった。
 
25歳の時、最初の仕事を辞めていて、人生を見直す時間が出来ていた。充電期間を経て、新しい一歩を踏み出そうとした時に、ずっと憧れていたバレエを思い切って習ってみようと思い立った。小さい頃憧れていたこと、あの頃はできなかったけれど今なら出来る。小学校からの親しい友人は、「初志貫徹だね」と笑っていた。
 
思い切って入会してみると、私と同じ年代の人もいた。その人は大人になったら、鼻の脇のほくろをとることと、バレエを習うことを夢見ていたとのことだった。大人のクラスでは、20~50歳代の約10人が習っていた。同じようにずっとバレエに憧れて、大人になってから習い始めた、という人ばかりだった。
 
バレエの美しい立ち方は、首筋を伸ばして、頭の先からすうっと天井に向けて引っ張られる感じを心掛ける。股関節は開いて、ターンアウト。
足を動かす時には、足の裏で床を這わせるようにして粘り強く。
手の動きはしなやかに、肩を下げて。
 
ポイントに気を付けながら練習しているうちに、気が付いたことがあった。性格や行動を直そうと思ってもなかなかできないことが、バレエを通して体の動きの癖を直そうとしているうちに、行動にも影響が出て変わっていくのだ。体の隅々まで意識を巡らせて、自分を認識することで、全体的な自分が見えてくる。体が動くようになると、わずかかもしれないが、行動の面でも積極的な気持ちになったり、くよくよした考えを吹き飛ばしたりできるようになっている自分に気が付いた。
私にとってクラシックバレエは、自分らしさを蘇らせてくれる、心肺蘇生術のようなものであった。自分を表現する場であり、体と心を前向きにし、生きる力をくれる。
 
その後、結婚、妊娠を機に辞めることとなるが、やがて娘たちが保育園に通うようになると、最寄りのバレエ教室に娘たちを習わせ、私も時々オープンレッスンに参加していた。そんな日々を数年続けた。娘たちがバレエを辞めることになってからは、家でバーレッスンを時々行う程度だった。
 
先日、一番初めに習ったバレエ教室の発表会を見に行ってきた。先生の人柄が現れる、温かい発表会だった。
今回、バレエを見に行くにあたり、いつもと違うことがあった。
それは、初めて一人で見に行ったことである。いつもなら、必ず娘たちと見に行っていた。だが、今年は上の娘は部活があり、下の娘に声をかけたが「行かない」との返事だった。
いつもは一緒に来ると、トイレのことを気にしたり、感想を言い合っていた。何年か前、ロシアのバレエ団が来た時には、前から2列目の席で、娘が「男と女がチューしてる!」と叫んで、慌てたこともあった。でも今回は一人だから最初から最後まで一言もしゃべらずに来た。そして帰りの車の中で考えた。
 
バレエは細々だけれど、ずっと関わり続けてきた。
今回一人だけれど、バレエを見たくて心が動いてやって来た。
定年退職した後には、子供達も巣立つ。その時もこんな風に、一人でバレエを見に来るだろう。それとも踊っているかも知れない。そんな姿が想像できた。
 
今回の発表会では、私が通っていた時に一緒に習っていた方も出演していた。年配の方ではあるが、軽やかなステップで年齢を感じさせなかった。ここに元気の秘訣が詰まっているんだろうなあと思った。きっと人生の後々までバレエが関わっていくことだろう。
私はやっぱりバレエが好きなんだ、と改めてわかった気がした。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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