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鉄拳は臆病な自分への処方箋


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小川大輔(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
電車に乗って京都から大阪まで約1時間。駅から10分ほど離れた場所。
太陽も落ちて暗くなった時間帯だが、そこは煌々と明るい。清潔な空間の中に熱気を感じながら、男性も女性も汗を流している。目の前には丁寧に指導してくれる先生。
初めてここを訪れたのは数年前。どうせやるならちょっと変わったものをやりたいなと思っていた。無料体験に参加し、自分に合っていると感じて門を叩いた。
 
格闘技を学ぶために。
 
僕は自他ともに認めるビビりである。恐ろしく小心者で臆病だ。歯医者も注射もイカつい人も勘弁していただきたい。
しかしなぜか痛みを伴う格闘技を始めた。実際に肉離れもしたし、打撲の痛みで歩きにくくなる時もあるし、鼻血ブーになったこともある。ならどうして?
 
ダイエットのため?
健康のため?
ストレス発散のため?
 
……違う。もっと大きな理由があった。
 
仕事であれ、プライベートであれ、生きて社会生活をしていれば、必ず他者との接点が発生してくる。それは自分にとって心地よいものも、そうでないものも否応なしに。人とのしがらみは必ずある。
玉石混合の人間関係の中、僕も当たり前のようにいいことばかりではなかった。
繰り返しになるが僕は本当に臆病者である。加えてお世辞にも器用とは言えない。自分では一生懸命に考えてやっているつもりでも、その姿を見てイライラする人が存在する。職場ではこんな言葉を投げつけられたことがある。
 
「そいつに何言っても無駄。成長がない」
「何一つまともにできないな」
「今日お前に話しかけなかったのがなんでかわかるか? 面倒臭かったからだよ」
 
人には合う、合わないがあるから、同じことをしていても心無い言葉をかけてくる人がいて当然と言えば当然だ。それはある程度仕方ない。自分が悪い部分もあるのだから。
でも……。
臆病な僕は会社でも私生活でも他人に威圧的な行為をされると、平静を装いながらも内心びくびくしている。それが上司であれ、同僚であれ、後輩であれ、他人であれ同じだ。仕事柄、見ず知らずの人から理不尽に罵声を浴びせられることもある。心の中で恐怖と同時に憤りを感じながら、それでも何も言えない。
正確に言えばちゃんと反論できる時もある。しかし明らかに相手が悪いにも関わらず相当の勇気を奮い立たせなければならない。
 
同じような経験をしたことがある人もいるのではないだろうか?
 
僕はそんな自分がずっと嫌で嫌でたまらなかった。
「仕事に関する事で言えば、何か言われたくないなら、仕事をできるように努力すればいいじゃないか」という考えもあるが、それは全くその通りだと思う。
僕は、「理不尽な威圧に対して萎縮し、反論することもままならない」という自分の性格が許せなかった。生きていく上で恐怖という感情は必要不可欠だけれど、反論まではせずとも不必要にびくびくしない心を持ちたかった。
技術を身に付け、臆病なりに相手との対峙を繰り返すことで心に余裕を持てるようになるのではないか。そんな気持ちから格闘技を選んだ。

「変わりたい。自分を変えたい」
 
その祈りにも似た強い願いが僕が格闘技を始めた理由だ。
 
凶器として自分の技術を磨くのではなく、ましてや本当に暴力として使うわけでもない。そんなことは許されないのは分かっている。
相手に臆しない心が養えるのではないか、今より少しは余裕が持てるのではないか。
ただただ自分を変えたかった。
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面白いことに変化は心よりも早く周りの環境に起こった。
 
僕が格闘技をやっているということを聞いた会社関係の人から、空手に誘われてそちらにも参加することになる。僕が習っているものとは違うので似ているようで異なる競技だが、やり方を押し付けられることなく参加させてもらえた。
現在は新型コロナウィルスの影響も考え、あまり広くないスペースに人が密集してしまう大阪のジムにはしばらく行っていないが、広い道場の中、少人数で行う空手に参加しているおかげで自分がやっている格闘技の技術も磨くことができている。
前よりも少しは向上したことを実感できる。
 
誘ってもらったのは会社関係の中でも上の立場にいる人なので仕事もやりやすくなった。
参加するうちに人との面識はさらに増えていった。
「何一つまともにできないな」と言われたあの頃と比べ、自分の立場も変化した。
 
そして心。
実際の大きさは測れないけれど格闘技を始める前は、耳かき一杯分くらいしか容量がなかったものが、今はスプーン大さじ一杯分くらいにはなったように感じる。理不尽な威圧に対して以前よりもちょっぴり度胸がついた。何も言えなかったり、心の底から勇気を出さなければいけなかったあの頃と比べて、建設的に意見を言えるようになった。
前よりも少し自分を許してあげていいのかもしれない。
いずれにせよ、前向きな変化が内面にも起こっていることは間違いない。
 
当初、初めて大阪で相手にしたのは何もしてこないサンドバックだった。
今は、身長162㎝体重58㎏程度の自分が目の前の空手黒帯の人に立ち向かっている。
 
いまだにびくびくする小心者のポンコツキャラだが、2~3ミリくらいは変われたのかもしれないな。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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