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微笑みの国タイでインド人のカモになった初夏


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小田恵理香(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「小田さんはタイに行ったことあるんですよね」
 
ふと後輩に話を振られた。
海外旅行が段々緩和される動きになってきたことに伴って、行きたい海外旅行先の話で盛り上がっていた。
 
「いい国だったよ。タイは。気を付ければ」
「何があったんですか」
 
私は友人とタイ旅行に行った際の出来事を思い出した。
あの日は観光3日目だった。
到着してタイの雰囲気や習慣にも慣れ、現地にすっかり馴染んでいたころだった。
この日、友人のリクエストでバックパッカーたちの聖地と呼ばれる“カオサン通り”へ向かおうとしていた。
トゥクトゥクと呼ばれるバイク型タクシーをヒッチハイクし、現地の近くで降ろされた。
 
「この道を曲がっていけばカオサン通りだ」
 
トゥクトゥクの運転手はそう言ったが、一向に見当たらない。
2人で地図を拡げながらカオサン通りの位置を確かめる。
すると
 
「君たち、どうしたんだい」
 
と片言の日本語でインド人らしきおじさんが話しかけてきた。
海外でむやみやたらに話しかけてくる人は怪しい。
そう思った私たちは警戒した。
 
「失礼。私はそこの大学の職員なんだよ」
 
と首から下げた顔写真入りのIDカードを見せてきた。
確かに今いる場所は大学の前。
なら問題ないだろうと
 
「カオサン通りに行きたいんです」
 
と英語で尋ねた。
すると片言の日本語で
 
「おお、なんてことだ……」
 
とおじさんは言った。
首をかしげる私たち。
おじさん曰く、ここから近いがカオサン通りが開くのは13時から。
時刻はまだ12時にもなっていなかった。
 
「13時までどうするつもりだい」
「うーん」
 
と考えていると、
 
「じゃあ、13時までの観光プランを考えてあげるよ」
 
とおじさんは私たちが持っていた地図に書き込みを始めた。
まずは、寺に行く。
その寺にはラッキーブッダという珍しいブッダ像がいる。
そこで幸運を受けた後、昼食を食べておすすめのお土産屋さんが3か所あるからそこに行くといい。それぐらいでちょうどカオサン通りが開く時間だろうとのことだ。
おじさんはトゥクトゥクを呼び、運転手にその地図を見せた。
値段交渉をした後、運転手は割とすぐに頷き、出発することとなった。
 
「ありがとうございました」
「楽しんできてね」
 
今冷静に思い返せば突っ込みどころは満載なのだが、この時はなんて親切な人なんだ。
さすがは微笑みの国タイ。と脳内お花畑だった。
 
まず連れてこられたのはラッキーブッダがいる寺だった。
かなりこじんまりした寺で、そこには真っ赤の仏像がいた。
そこでも出迎えてくれたのは明らかにインド人。
 
「やぁ、幸運なレディーたち」
 
と出迎えた。
私たちが日本でどんな仕事をしているか聞いた後
 
「これは現地の人でもなかなか見ることができないラッキーブッダ。
それをみれたあなたたちはこれからどんどんラッキーなことが起こるよ」
 
私はなんともいえない、もやもやした気持ちだった。
ここまでインド人に遭遇するだろうか?
そもそもそんなパワースポットガイドブックに載っているだろうし、100歩譲って現地の知る人しか知らない場所だったとしても、こんなに現地人がいないものか。
それは友人も同じだったようだ。
 
「しばらく付き合ってみるか」
 
と昼食をとりながら話し、次に連れていかれたのは怪しい商店だった。
トゥクトゥクがつくと中にいた店員が出てきたのだが、またもやインド人だった。
 
「これはクロだな」
 
私と友人は思った。
商店はタイシルクの専門店。
中の店員曰く、今日は特別セールで高級タイシルクのオーダーメイドスーツが半額で購入できるのだそうだ。
 
「100万円するタイシルクのスーツが日本円で10万円だよ」
「ほら、こんなに日本人も買ってるよ」
 
と犠牲になったであろう日本人達の明細の束を見せられた。
これは何か買わないと出してもらえないな、と思っているとちょうど手頃で好みなスカーフを見つけた。
 
「スーツはいらないけど、このスカーフは買うよ」
「本当にいいのかい?スーツ、後悔するよ」
「じゃあ、スカーフも買わないです」
「わかったわかった」
 
スーツをかなり押してきたインド人だったが、私が何も買わないぞと言うと慌てていた。
スーツのトラブルはタイに着いた当日ガイドさんから気を付けてと案内されていたのだ。
購入したはいいものの商品が届かず、届いたとしてもかなりの粗悪品が届くそうだ。
海外なので日本のようなクーリングオフ制度もない。
泣き寝入りすることになるから気を付けてと。
慌てたインド人からスカーフを買い、店を出た。
トゥクトゥクが次に連れて行った土産物屋。
そこは明らかに偽物の宝石ばかりの宝石屋だった。
そしてお決まりのまたもやインド人。
店員も堂々と
 
「これを日本で売ったらぼろ儲けですよ」
 
と言っている。
いえいえ、犯罪です。
そうこうしていると
 
「あ、あなた方も騙されましたか」
 
と同じ目にあっている日本人カップルに出会った。
 
「おたくらもですか」
「いやー、騙されるつもりなかったんだけどね」
「まんまとはめられましたよ」
「カオサン通りに行こうとしていただけだったんですけどね」
「あそこは日本人を騙す日本人もいるから気を付けて」
「そうなんですか」
 
そしてこのカップルたちと結託することになった。
外で悠々と待っていたトゥクトゥクの運転手を取り囲み
 
「もう観光はいいから目的地へ連れていけ」
「連れて行かないと運賃を払わない」
「そもそも警察に突き出すぞ」
 
と取り囲んでトゥクトゥクの運転手と戦った。
最初は抵抗していた運転手も日本人4人の圧力に負けたのか、その後はすぐに目的地へと連れて行ってくれた。
 
帰国した後知ったが、タイ旅行にきた日本人によくあるトラブルらしい。
目的地は閉まっている、まだ開いていない等と嘘をつき予定がなくなったところに付け込む。
トゥクトゥクの運転手とグルになり、運転手は客を連れていくことでガソリンチケットをもらうことができる。
ぶら下げていたIDカードもよくよく見ればうまく作られた偽物だったのだと今になって思う。
 
もちろん皆が皆、悪い人たちではない。
微笑みの国タイ、と言われるだけあって基本的にタイ人は皆にこやかでサービスもしっかりしていた。
歴史もあり、食事も美味しい。
あんな目にあったが、また観光しに行きたいし、インド人も皆が皆悪い人たちばかりではないと思う。
日本人は平和ボケしている。
なぜなら日本の観光地でこんなトラブルにあうことはめったにないからだ。
お人好しの日本人。
だがそこに付け込み、甘い汁を吸ってやろうとする悪人は確かに存在する。
そんな悪人からすれば日本人はいいカモだ。
もし海外に行ったら、街中で地図を拡げないことだ。
地図を拡げる時はモールの中や、公共施設の中で拡げるのがいい。
そしてむやみやたらに話しかけてくる人には反応しないこと。
 
「えぇ、そこ今日は休みだよ。これからどうするんだい」
 
タイ旅行に行って、道に迷い、通行人に道を尋ねてそう返ってきたら気を付けてほしい。
なんなら地図を拡げて話しかけてきた人がそう話してきた場合もだ。
完全にネギを大量に持ったカモとして見られているのだから。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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