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花嫌いだった私が“花のある暮らし”に夢中になっている理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:記事:萩原りえこ(ライティング・ゼミ4月コース)

「どれにしようかな?」
月曜日の会社からの帰り道。私は、このところ毎週このフラワーショップを訪れている。
お気に入りは、ワンコインのミニブーケ。可愛い色の花が3種類くらい入った人気の花束のセットだ。店頭に置かれたたくさんのカラフルな花を見ているだけでも心がウキウキする。

こんな私だが、今まではどちらかというと花にはまったく興味がなかった。
と言うか、むしろ嫌いだったかもしれない。花を飾ると、水を変えたり、枯れた花を片したり、何かと手間がかかる。その割には、生活するための必要性をほとんど感じていなかったから、とにかくそれを扱うのが面倒だったのだ。ただでさえ忙しいのだから、花なんかに感けていられない。これ以上私の手を煩わせないでという存在だったと思う。
そんな花嫌いが、毎週花屋に足を運んでいる姿を以前の自分が見たら何て言うだろう?

凛々しくて清楚
その花姿は、気品があり、優雅である。
花言葉は「壮大な美しさ・高貴」
大輪の白ユリ“カサブランカ”が、私に変化を与えてくれた。

たまたまその日は会社の公休日だった。平日にポンとお休みがあるとうれしいのだが、
会社が休みだからといって、主婦の仕事には休みはない。
この日もいつもと同じ。朝5:30に起き、娘と息子のお弁当と4人分の朝ごはんをつくる。その間も寝起きの悪い娘とやんちゃな息子たちにそれぞれ奮闘し朝支度。7:30には保育園へと送迎する。担任の先生へ子どもたちを預け「お願いします」と声をかけて保育園の門を出るとホッとする。

いつもは、そんな安堵の気持ちもそこそこに忙しなくそのまま駅に向かい会社へと直行するのだが、今日はお休み。
家へ戻って出かける前に干せなかった大量の洗濯物を干し終わり、今やっとソファーに腰を下ろしたところだ。
空は快晴。どこかへ出かけたくなるくらい気持ちの良い青空が広がっている。
『独りで駅前にできた新しいカフェへでも行ってみようか?』
『いやいや、家でたまった家事を片付けなければ』と思い直す。

その前に一息、珈琲でも飲もう……。とソファーから立ち上がった瞬間、ふわーっと良い香りが私の周りを包み込んだ。
「あ、そうだ。花の水を変えなければ」
玄関の棚の上に飾っているのは、大きな大輪の白ユリ。カサブランカという品種らしい。
会社の社長が先日の私の誕生日祝いとして贈ってくれた花だ。

カサブランカの香りは、甘く落ち着いた上品な香りである。

そういえば、香りの刺激が脳に到達する時間は、平均0.2秒だと何かの本で読んだことがある。その本によると、人が良い香りだなと自覚する前、すでに脳には香りが認識されていているという。例えばバラのとげをうっかり触ってしまい、イタイ! と感じるのは平均0.9秒だというから、香りによる刺激がいかに早く脳へたどり着くかが分かる。

そしてその香りはまた、一瞬で思春期の頃の記憶をよみがえらせてくれた。
そういえば、放課後の誰もいない礼拝堂で友達とあれこれ将来の妄想を繰り広げていたっけ……。

カトリック系の学校出身である私にとって、礼拝の時間は当時の日課であった。その礼拝堂には、正面のマリア様の両サイドに必ず綺麗な白いユリの花が飾られていた。
毎日ユリの花の香りに包まれていたのだ。ユリの香りに囲まれながら成長してきたと言っても良いかもしれない。
香りに惹き付けられたのには、理由があったのだ。

仕事と子育てに追われ、毎日バタバタで心に余裕を持てなかった。
でも、誕生日のユリの花の存在が思いもかけずそのきっかけとなり、私の日常にささやかな変化を与えてくれた。そしてそれは、忘れていたに等しい懐かしい青春時代の楽しかった思い出までも呼び覚ましてくれたのだ。ユリの香りが記憶を手繰り寄せてくれた。

『元気かな? 洋子ちゃんと、あっちゃんにLINEしてみよう!』
携帯でパシャっとカサブランカの写真を撮り、友人たちにメッセージと共に送ってみた。
どんな返事が来るだろう? まるで気持ちまで女子高生に戻ってしまったようだ。懐かしさと楽しかった時の記憶でワクワクする。

このLINEがきっかけとなって、その後彼女たちとの交流が復活した。子育てや日常の相談事がメインで、その話題は様変わりしたものの、気の合う友人とのやりとりは楽しい。そんな時間が今の私を支えてくれつつある。

たかが花だがされど花。
ユリの花を頂くことがなかったら、大切な友人たちとの連絡を取り合うこともなかったかもしれない。
花がいつもこんな特別になるものを与えてくれるとは限らない。でも、日常生活にちょっとした変化をもたらして、それが思わぬモノへと結んでくれるきっかけになってくれるかもしれないのだ。

“花のある暮らし”が今の私のマイブームになっている。

皆さんもフラワーショップに足を向けてみませんか?

***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2022-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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