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氏名変更は要らない


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記事:鈴木 千弥(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
私は一度結婚後、離婚し、その後再婚している。そのため三度、氏名変更をしている。
 
1回目……1回目の結婚時の氏名変更
生まれた時の氏名A→1回目の結婚後の氏名B
2回目……離婚時の氏名変更
1回目の結婚後の氏名B→生まれた時の氏名A
3回目……2回目の結婚時の氏名変更
生まれた時の氏名A→2回目の結婚後の氏名C
 
なぜこんな状態になっているかと言えば、日本の民法の定めとして、結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず氏を改めなければならないため。そして、男性の氏を選び、女性が氏を改める事が圧倒的に多いのだが、ご多分に漏れず、私も夫の氏を選択していたからだ。
 
とはいえ、三度の氏名変更を行った結果として、私はこの氏名変更制度はデメリットしかないと思う。
なぜなら、この氏名変更手続きが大変で、仕事への影響が大きすぎるからだ。
 
【デメリット1:手続きが多い】
人は、ありとあらゆるところに氏名を登録している。戸籍名を変更すると、大量の氏名変更手続きが待っている。そして氏名変更時には住所変更も伴う場合が多いので、一緒に住所変更手続きも発生する。
大まかにいうと、手続きは以下の三種類に分かれる。
 
1, 身分証明書系
身分証明書(運転免許証、健康保険証、パスポート、資格、社員証などの登録証等)
※会社に勤務している場合は、会社への届出が必須
 
2,インフラ系
銀行口座、証券口座等
携帯
クレジットカード等
 
3, その他、郵送先等
ECサイトの登録(商品の配送先として登録している氏名)等
各種会員登録等
個人で氏名を登録しているところは全て
 
1の身分証明書系は、すべての氏名変更手続き時の起点になっている。
氏名変更後の戸籍抄本が必要など、添付書類を事前に把握していないと手戻りが多くなってしまう。また戸籍抄本だが、役所での登録手続きの関係で新戸籍名での出力に時間がかかる場合があり、後続手続きのスケジュールに影響が出る可能性がある。
私の場合、2回目の結婚後すぐに新婚旅行で海外へ行くことにしていたため、各役所へ問い合わせをかなり行った。パスポートの発行可能日と旅行の申し込み期限(申込登録時にパスポートコピーの提出が必須だった)が迫っていたので、事前の必要書類とスケジュール確認が必須だったのだ。
また会社に勤務している場合は、会社への氏名変更連絡も重要だ。会社での氏名は、旧姓を通称として使用することが可能な会社が多いが、戸籍名変更の届出は必須。旧姓の使用が不可の会社では、付随して名刺やメールアドレスの変更も発生する。
 
2のインフラ系は、運転免許証などの身分証明書が氏名変更完了となっていれば、それを使って手続きが可能。ただインフラ系は複数持っている人が多いので、漏れなく全て手続きする必要がある。
また会社へ口座名義変更を連絡しないと、給与が振り込まれなくなるのでそれも忘れず行う必要がある。
 
3に至っては、登録先は無限大だ。商品が届かないと困るので、配送先の氏名変更手続きは必須だ。ただその他の氏名変更は困らなければそのままにしておくこともできる。
 
2021年に結婚したカップルは50万1,116組なのだそうだ。つまり50万1,116人分の氏名変更手続きが行われている事になる。
氏名変更が不要になったら、世の中全体のコスト削減ができそうだ。
 
【デメリット2:職業生活上の不利益】
会社で勤務している場合、氏名変更は不利益になることが多い。営業先などで
「○○です!」
と売り込みして着々と販路を開拓してきたり、信用と実績を積んできたのに、いきなり別の名前になってしまうと、あの「○○さんはどこにいった?」となりかねない。またメールアドレスが変更になると、しばらくは変更前のメールも受けられるようにしておかないと、顧客からの連絡が付かない羽目になりかねないからだ。
多くの会社では戸籍名を変更しても旧姓を通称として使用し、業務をすることができる会社が多いので、問題ない方も多いだろう。
ただ私の場合、1回目の結婚中に入社した会社に在籍中に離婚したので、元夫の氏名を通称として使用するのは嫌だった。そのため生まれた時の氏名に全て改めたため、やや仕事がし辛かった。
私は会社の人事の給与担当として入社したのだが、年末のイベント「年末調整」の書類を社員から集める際、自分の名前を連呼してしまっていたのだ。
 
「人事のBです! 年末調整の提出期限まであと〇日です! 出していな方は用意をしてください!」
朝礼やメールでアピールをしまくり、期限までにほとんどの社員から書類を集め、結果的にBという名前を社員に印象付けた。そしてその後すぐに離婚するに至ったのだった……
 
結婚した、という連絡を社内のイントラや掲示板に掲示する会社はあるかもしれないが、離婚した、という掲示をする会社はほぼないのではないだろうか。
私の会社は結婚・離婚で氏名変更があっても掲示せず、人員の配置を表示する表にこっそり氏名変更後の名が表示されるだけだったので、
「あの人事のBさんが消えたらしい……代わりにすぐAさんが入ったらしい……人事って入れ替わりが激しいね」
と社員の間で噂になっていたという事を、後日私は聞いた。
 
「氏名が変わりました」と言うと、必ず「結婚ですか」と聞かれる。そこで「いえ、離婚なんです」と説明すると、相手は100%恐縮する。気を使わせてしまうのも申し訳ないので、結果として私は変更後のAの名前とメールアドレスで、一から仕事をスタートした。
その後再婚して戸籍名はCになったが、同じ苦労はしたくないので、生まれた時の氏名Aを通称として使用し、仕事を続けている。
 
日本では、結婚・離婚したら、どちらか一人だけが必ず諸手続きを取らなければならず、デメリットを受ける(デメリットだと思わない方もいるかと思うが)。
このような状態は、平等ではないと思う。
日本以外の国では、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の名字を称することを認める「選択的夫婦別姓制度」が採用されているところがある。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどだそうだ。日本でも議論はされているが、最高裁判所で平成27年(判決)と令和3年(決定)の2度にわたり、夫婦同氏制度は憲法に違反していないと判断されている。
夫婦別姓となると、相続や公的サービスが受けられない、子供の姓の選択問題が出てくるなど、色々な問題が出てくるからかもしれない。
この色々な問題が出ないということが、現状では、氏名変更をする場合のメリットなのではないだろうか。
 
ここまで書いたのは、あくまで氏名変更を三度した者の私見なのだが、色々な問題が解決されて、生きづらい、仕事しづらい状況が改善していって欲しいと願っている。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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