メディアグランプリ

マスクを外す準備はできていますか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:みな か(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
エリザベス女王の在位七十年を祝うプラチナジュビリーで歓喜に湧くイギリス・ロンドンの光景をテレビの準備はスクリーン越しに見ながら……。
「あれ? あれ? マスクしてない……」
どうしちゃったの?! 世界はもうコロナ禍から脱却したのだろうか?
このマスクの無い世界に違和感を覚えるものの、それ以上にマスクの無い世界の人々から圧倒的なパワーも感じ取った。なぜだろう。顔を出す、表情を全開させることで熱量がじわじわと伝わってくる。
マスクをして三分の二が隠れた顔からは発せられないインパクトだ。
 
我々はかれこれ二年以上マスク生活を強いられてきており、すっかりマスクは身体の一部となるほど日常化している。
花粉症などで日本人は比較的マスクに対して違和感がなかったものの、まさか国民全員がマスクをする光景が日常化することを誰が想像できたであろうか?
 
立夏が過ぎ、気温や湿度が徐々に上がっていく中、そろそろマスクがうっとうしい代物になる頃。
ようやくマスクを外せる時が来たのか……とこの二年間を振り返りながら感慨深いものを感じる。
 
周りに人がいないことを確認して、マスクを外してみる。そして、深呼吸をする。
肺までたっぷり空気が吸える喜びを感じる。
「あー、空気が美味しい」
マスク生活前にはあまり感じなかった空気のありがたさ、心地よさ。
これが外せる日が近づいてきている予感にワクワクしてくる。
 
しかし、いざマスクを外しましょうとなると、いや、まだ外せない、外したくないという人たちがいるのだ。
同僚に聞くに、「マスクは既に洋服のような感覚であり、外して歩くなんて裸で外を歩くようなもの!」
「マスクを外しなさいなんてパワハラに近い……」「今更素顔を見せるのは無理……」「マスクなしの生活では人の目が気になる……」と衝撃的なコメントが次々と出てくる。
 
あんなにマスクは苦しい……と言っていたのに……である。
マスクの苦しさを上回るメリットや心地よさがこの二年間ですっかり定着してしまったようだ。
ダテメガネならぬ、ダテマスク。
確かにマスクをしているメリットは色々とある。
ウィルスから守る、お化粧をしなくても外出できる、表情を隠せる、人と話すとき緊張しなくて済む……などなど。自分というものを100%出さなくて済む心地よさといったものは確かにある。
マスクをすることで自分の本音や根本的なところを触れられずに、面倒な人間関係を回避でき、適度な距離感のコミュニケーションが心地よい。人の目から回避でき、守られているという安心感を得ているのだろうか。又、眉やアイメイク、Tゾーンなどマスクをしていて見える顔の上部分の見せ方を色々工夫し、マスク美人という言葉が出てきた位、マスクをしていて外見に自信を持った人もいるのかもしれない。
「おっ……」と思った人がマスクを外した瞬間、イメージしていた輪郭が顔の下半分にみられなくて
「あらららら……」と思ったことはある。
そういう人にとって、顔の下部分を見せる事はたしかにデメリットを感じるだろう。
 
マスクというと、まずイタリアベニスで毎年行われていたベネチアカーニバルが頭に浮かぶ。
カーニバルではマスクという仮面をかぶって祭りを楽しむ。
ベニスという狭い土地の中で暮らす者にとって、素性を隠すために仮面が使われてきており、
仮面をつけることで階級や身分も関係なく平等に祭りを楽しめるということだったようだ。
祭りという特別ないっときを楽しむためにマスクの効能を使うのはよく理解できる。
いっときであればよし。しかし、本当にこのままマスクをつけ続ける日常でいいのだろうか?
 
この二年間で人の顔の全体像を見る機会がなくなり、笑顔、怒った顔、困った顔など人の表情というものが目というパーツからの情報だけで判断されてきた。よって、感情のミスリードも一定数あったのではないかと推察する。目は笑っているものの、マスクの下に隠れた口角は下がっていたかもしれない……と思うとぞっとする。
 
人の喜怒哀楽がマスクによってカモフラージュされ、自分の本音は隠せるものの、人の本音をも知る由もなく、繋がりを感じられない不完全な人間関係に消化しきれない思いは抱かないものだろうか?人と人が繋がるにはまず勇気をもって自分を見せる、開示することが前提である。
 
マスクをするということは自分の心を閉ざした状態で、少し開いている扉の隙間から外を覗き込んでいるようなもの。そっと扉の隙間から覗き込みながら相手を観察し、一定の距離感を保ってぶつかりあいなどの荒波を立てず、自分が傷つくこともなく平穏であると思える部分もあれば、リアルの世界だからこそ味わえる人間同士の想いのぶつかり合いのような血の通ったものが生まれてこない一抹の寂しさも感じる。
 
コロナ禍でオンライン飲み、オンライン講習会、オンライン結婚式、オンライン同窓会等、オンライン化が様々なところで進んできた一方で少しずつリアルの世界が戻りつつあり、リアル開催が可能になってきた中、「やっぱりリアルはいいよね……」というコメントを一方でよく耳にする。
 
先日、近所の道端を歩いていた時、とっても楽しそうな雰囲気の花が目に飛び込んできた。
「何! この花! かわいい!」と花に歩み寄った。
引き寄せられるほど魅力的な花で、名前を調べると「ランタナ七変化」という花だった。
紫陽花のようにカラフルな小さないくつかの花が寄り集まって丸くひとつの花が咲いている。
彩りもピンクやオレンジ、黄色に桃色とどうしてそこまでカラフルなの! と思うほどアートフルな出来栄え。花びらひとつずつがワルツを踊り、心が弾んでくるような花だ。
誰のためともなく道端に咲いていた花だが、咲いている花自身が「私ってこうなのよ!」と
何とも楽しそうなオーラーを花全開で発し、満面の笑みでこちらを見ている。
 
そう、隠すものなんてなく、顔全体で表現し、心から嬉しいという状態を表現している「満面の笑み」だった。「満面の笑み」なんてものはこの二年間、見る事ができていなかっただけに、この出し惜しみのない表情に新鮮で強烈なインパクトを感じた。
 
「皆ありのままの自分を思いっきり出して楽しげに行きましょうよ。」とランタナ七変化が語りかけているようだった。
そう、そろそろ私たちもマスクを外しませんか?
 
 
 
 
***
 
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2022-06-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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