fbpx
メディアグランプリ

「一人旅 メリット」と検索する前に一人旅せよ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:みっつん(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
わたしは悩んでいた。メンタルクリニックで鬱病と診断されたのだ。まさか自分がなるとは思わず、これからどう過ごしていけばいいか分からない。そもそも治る見込みなんてあるのだろうか。
 
まさかの診断。まさかの休職。
 
主治医からは、「2か月は家から出ず、安静にしていなさい」と言われたのだが、この言葉を鵜呑みにしていいものか、疑念を持った。
 
(このまま家にいても気分がふさがるだけでは?)
 
そう感じたからだ。社会からドロップアウトすることへの恐怖と、何もできない自分への焦燥感から、不安が疑念を呼び起こし、とめどなく流れ続けた。
 
診断後、そんな不安感を胸に抱えながら、街をあてもなく、ふらふらと彷徨い歩いていた。そんな時、ふと一週間前に占い師から言われた、ある一言を思い出した。
 
それは、「一人旅に出てみなさい」という一言だった。何気なく受けた占いだったが、妙にその言葉が気になり始めた。
 
(一人で旅行か……)
 
一度もしたことがない。過去に一度、大阪への出張帰りに半日観光したのが、唯一の一人旅らしい経験か。そのくらい、一人でどこかへ出かけるということをしなかった。
今までの旅行スタイルは、家族や友人、恋人と国内外の有名な観光地を訪れ、同じ時間を共有するといったものだ。
 
決して一人旅に嫌悪感を持っていたわけではない。むしろどこか憧れがあった。いつか一人旅をしたいとは思い、「一人旅 メリット」とGoogle検索しては、まあまた今度と先延ばししていた。
 
だが、未知の事柄はどうしても怖い。わたしは一歩踏み出せないでいた。一人旅というのは、一人だけで行先や行程を決めないといけないし、何より道中何が起こっても自己責任なのだ。しかも、女性一人となると何かと危険がはらむものだ。
 
でも、これから仕事することもなく、ただ家にいるだけでは何も状況が変わらない。家ですることといえば、NetflixやYouTubeみるくらい。ただ受動的に時間を浪費していても、焦燥感や不安感が増すだけで、快方になんか向かないんじゃないか。
それに、ここで諦めたらわたしは一生一人旅できないままかもしれない。今が千載一遇のチャンスなのだ。
 
そんなことを思い始め、わたしは旅にでることを決意した。決行は明日。思い立ったら即行動しなければ、この思いは潰えてしまうかもしれない。だから、早く行動に移したかった。
 
行先は、あの占い師が勧めてくれた、広島と愛媛の間にある「しまなみ海道」にすることにした。単純すぎる理由で決めたけれど、なるべく関東から遠く、日常では見られない光景が見たかったから、一人旅第一号はここに決めた。
 
そんなこんなで、急遽交通手段と宿を手配し、翌日に旅行を控えた自分だったが、翌日から何が待ち受けるのか怖くて、怖くてたまらなかった。
予約した時間に新幹線に乗れなかったらどうしよう。道に迷ったらどうしよう。
鬱の症状と相まって不安感が高まった。そして、夜中になっても緊張して眠れず、結局そのまま朝を迎えてしまった。
 
だが、そんな出発直前の心配なんて杞憂に過ぎなかった。
 
ただただ楽しかったのだ。今まで有名観光地を回るような型にはまった旅行しかしてこなかったわたしには、新鮮そのものだった。
荷物は小さなリュック一つだけ。そんな身軽な状態で、海道をサイクリング。島と島をつなぐ海沿いの道や橋を走り、瀬戸内海に浮かぶ島々の風景を味わった。青い海に緑豊かな自然を堪能しつつも、ゴールを目指してひたすら自転車を漕ぎ、たまに自転車を止め、穏やかな波の音を聞きながら、遠くに写る島をぼーっと眺めた。
 
ずいぶんと長い距離を走ったが、疲れることはなかった。むしろ、風を受けながら青い海の上をスイスイ走る爽快感が心地良く、荒んだわたしの心が洗われるような感覚を持った。
 
いままで怖かったのはなんだったのだろう。一度一人旅をしてみると、もやもやとした今までの不安が嘘みたいに晴れてきたのだ。ただただ美しい自然を目の前に、自分の悩んできたことなんてちっぽけそのもの。
 
(帰りたくないなあ)
 
3日間のしまなみ海道サイクリングを終え、そんなことを思った。もともと走破した後は、関東へ帰る予定だったが、このまま帰るには惜しい。どうせなら瀬戸内海の島をもっと見たいと思ったから、衝動に身を任せ、このまま小豆島に行くことに。案外自分次第でどこにでも行けるのだと無限の可能性を感じた。
 
小豆島も素晴らしいところだった。青く穏やかな海と豊かな自然を堪能することができ、やはりここでも心が安らいだ。結局しまなみ海道~小豆島には一週間滞在してしまった。
 
これらはつい3か月前の出来事だが、この旅行がきっかけで一人旅にすっかりはまってしまったのだ。
 
自分が一人旅に踏み切れたのはトリガーがあったからこそだと考えている。もし仮に今回の診断や占い師の一言がなかったら、わたしは一生、一人旅を経験せずにいたかもしれない。
「一人旅 メリット」と検索したまま、結局一人旅を先延ばししてしまうのだ。そんなことを検索する前に、まずは行ってみよと過去の自分に言いたい。
 
勇気出して一歩踏み出さないと、見えない景色があるのだから。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2022-06-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事