子育ては親育て
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記事:真由実(ライティング・ゼミ6月)
よかれと思ってかけた言葉が、相手にとっては余計なお世話という話はよくあることだ。
「テスト勉強、終わってるの? 大丈夫?」
確か、中学校の定期考査の一週間前に下の子にかけた言葉だ。
何も言わず信じて見守る……。私はどうもこれが苦手でできなかった。
恐らく信じることができない私側に問題があるのだろう。振り返ってみると、自分も親にいわれたができていなかったし、あのときもっと頑張っていれば……。そんな経験がいま、息子に対して出てしまっているのだろう。
そのときの私は「後で困るのはあなた自身だよ」ということを、先人として少しでも早くお知らせしないと! と言う気持ちで声をかけていたのだが……。
「俺の人生なんだから、ほっといてくれ!」
これが息子の返答だった。意外だった。もっと適当に曖昧な返事が返ってくると思っていたからだ。
散々いわれ続け、もういい加減にしてくれという感じだったのだろう。
昔の私ならカチンときて、そのまま言い合いになっていたところだが、こちらも少し成長している。現状の成績で放っておいてよいかは疑問だったが、子どもの成長を感じられる一言だった。
あるとき棚の整理をしていたら、一枚の写真が出てきた。
年賀状の写真にでもして、そのまま引き出しに入れてしまったのだろう。
下の子が2、3歳のころの写真だ。
「この頃はかわいかったな……」 小さい頃の写真をみてしみじみ思う。
子どもは3歳までに親孝行が終わるという話を聞いたことがあるが、あながち嘘ではないように思う。
「私の子ども」
私たち親が、責任をもって育てていく子ども。
それは間違いない事実だ。
しかし私は何を勘違いしたか、いつしか自分の価値観を子どもに押しつけていた。
「勉強はできたほうがいい」
「人に迷惑をかけない」
「聞き分けをよく」つまりは、親のいうことをききなさいということ。
他にもあげたらきりがないが……。
これが当たり前の時代を生きてきた私は、この言葉に関してなんの疑問も持っていなかった。
この傾向は、特に上の子に強く出ていたと思う。会話でも、子どもが話し終わったあとに、「でもね……」と上から目線で諭そうとしたり、自分と違う考えの時は「それは間違っているよ」と勝手に私の価値観を押しつけたり、まともに子どもの話すら聞けていなかったように思う。心の中で、あのときはごめんね。ということしかできない。
そんなガチガチの固定観念に縛られた私が、ある言葉に出会った。
「子どもは親の所有物ではない」
いつの時代も、この価値観で子どもに接している人はいるだろう。
しかし私にはこの考えが一切なかった。
この言葉に出会ったのは数年前で、子どももだいぶ成長してからだった。
この言葉を聞いたときの衝撃は今でも鮮明に覚えている。目から鱗という表現が使い方としてあっているか分からないが、まさに私の中の何かが落ちていくようだった。そしてとても気が軽くなった。
そして私のガチガチの考え方も変わって、違う見方ができるようになっていった。
勉強が苦手だったら、何か得意なことを見つけて伸ばしていけばいい。
もっと人に頼っていい。法を犯す行為はもちろんダメだが、少しくらいの迷惑はお互い様で、助け合って生きていけばよいのではないか。
聞き分けがよくないということは、自分の意見や考えがあるということ。
自分軸があって、それを表現できる子どもがどれくらいいるだろうか。
大人でもそう多くはいないだろう。
そうだ、彼の人生は、彼のものなのだ。
そのときやっと、「何も言わず、信じて見守る」ということが分かった気がした。
それ以来、もちろんまだ完璧ではないが、子どもたちを尊重できるようになってきている。(と思いたい)
子育ては親育て。
子どもによって親に成長させてもらっている。
子育てをしているつもりが、実はその子どもに育てられているのだ。
なんだか可笑しくなって、子どもにお礼を言いたくなる。
これからどんな親育てがあるかは、お楽しみである。
***
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