ただいま工事中 〜私の体験日記〜
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：川端麻美（ライティング・ライブ東京会場）
「うぅ……」
（洗面所に駆け寄ってジャーっと水を流しながら）まさか、わたし妊娠したかも……。
「あ、動いた！」
大きなお腹を愛おしそうにさすりながら喜んでいる妊婦さん。
私も初めての妊娠で、今まで見てきたこんなドラマのシーンのようなことが自分にも起きるのかなと思っていた。
しかし実際、いざその立場になると、なんだか想像と違うぞと思うことがたくさんあった。
「うう……」とはつまり、つわりの症状が訪れるのは早い人で妊娠５週ぐらいからと言われている。
妊娠の週数は前回の生理開始日から数えるのでだいたい生理予定日の１週間後が５週目となる。
実際、私の妊娠発覚はそんなつわりからの始まりではなくて、治療のために病院に通っていたので妊娠すると分泌されるホルモン量を測るための血液検査でわかった。
そしてありがたいことに、つわりという症状は一切なかった。
「あ、動いた！」これは、胎動を感じ始めること。
母体の中で胎児が動くことであるが、胎児がどんどん大きくなっていくにつれて、手足を曲げたり伸ばしたり動かせるようになり、子宮の壁まで手足が届くようになると胎児の動きを感じられるようになる。
初めての妊娠の場合は、だいたい20週ごろ。40週で生まれるとされているので妊娠のちょうど折り返し地点ぐらいで初めての胎動を感じることが多いようだ。
ちなみに私は最初、ポコポコポコ腸がやたらギュルギュルしているなと思って、これが胎動だと分からなかった。
検診のときに助産師さんに「最近、腸がギュルギュルするんですよねえ」と相談したら、それって胎動では？ と言われて、ほお！ と思ったというのが正直なところ。
初めのうちは腸の動きと間違えるぐらい控えめだった動きも、お腹の中で胎児が日に日に大きくなるにつれて当たる回数も増えて威力も強くなっている。
ちなみに言っておくが、この胎動、元気に動く胎児を感じて、愛おしい気持ちがないわけではない。
しかし、時に私を困らせているのだ。
胎動を、人に伝えるとしたらどんな表現になるだろう？
横っ腹に、ニョロニョロと蛇がいる？
腹の内側で、手を挙げてウェーブされている感じ？
押忍押忍！ と、空手選手にパンチされているみたい？
とにかく不意打ちなのでこちら側の受け止める準備が追いつかないのは困る。
この前は仕事で電話していたとき、不意打ちでみぞおちアッパーを食らったときは「うっ」と思わず声が出てしまい、どうした？ と、電話の相手先の方に心配されてしまった！
そうか、もしかしたら母体と胎児のテレパシー的なもので何とかなるかも？ などと思いつき、
「思う存分好きに動いてよいから、あと5分後以降でお願いしてよいでしょうか？」
と念じてみたこともあるが、まったくお構いなしでボコンボコンと激しく動いていたときには思わず笑ってしまった。
すべてこちらではコントロールできない動きなのだ。
その激しい胎動から気づく。
今は私のお腹の中にいるだけであって、もう十分ひとりの人間としての意志が生まれているのだな。
もちろん私のモノではないし、お腹の中から生まれてきたらなおさら、1人の人間として成長していくわけだし、親として尊重してあげなくてはいけないな。
たくさんのお産に立ち会ってきたおばあちゃん助産師さんの本を読んだ。
地球の誕生から46億年かけて生命、人類は進化していったらしい。
母体の中で胎児は40週かけて成長し、この世に生まれてくる。
そう考えると１週間ごとに、約１億年の進化を遂げているといえるぐらい大規模な工事が母体の中で行われていることになるともいえると書いてあった。
ドンドンドン。 ガンガンガン。
そんな大規模工事が行われているのなら、母体にいろんな身体の変化が起きないはずはないのだ。
つわり、腰痛、むくみ、貧血など。
わたしはとても暑がりになってしまい寝汗がすごい。
疲れやすくなって昼寝をすることも増えた。
これまた不思議なもので、助産師さんいわく、お産は夜が多いのは月の満ち欠けも影響しているが赤ちゃんはもともと夜行性と言われており、お産にむけて少しずつ母体を夜行性へと変えていっているのだとか。
母になるように導かれているみたいで、生命の不思議を感じる。
それを聞くと昼寝をする罪悪感も減る。
それからはわが子のためにと、思う存分昼寝をしてみている。
先日からようやく産休に入った。
生まれるまであと１カ月と少し。
初めての妊婦の体験日記を書いてみた。
初めての妊娠は、そんなの聞いてないよー？ の連続だが新しい経験を楽しめる日々である。
まだまだ心の準備も出産準備も追いつかないけれど、会える日を楽しみにしている。
もしこれから妊娠した人には、まあこんな妊婦もいるのだなと心配しすぎず受け入れていただき、妊婦さんを見かけたときは身体の中で起きている大工事を想像しつつぜひ温かい気持ちで接してあげてもらえるとうれしいなと思う。
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