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メディアグランプリ

ちょっとその辺で採れるポルチーニ茸とかいう最強のキノコについて語らせてほしい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:桐渕真人(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
ポルチーニ茸をご存知だろうか。
イタリア料理のお店で出てくる高級食材だ。
ぼくは6,000円以上もする図鑑を片手に自分でキノコを採るキノコ大好き人間。
スーパーでは手にはいらないようなマニアックなやつまで含めて、いろいろなキノコを買っては試した結果、ポルチーニ茸から取れる旨味はキノコ界最強だと個人的に思っている。
 
そんな最強キノコは、7月初旬の今時期から9月頃まで、日本中にぼっこぼこ生えてきて放置されているんですよ……。タダでアホほど拾えるのだからたまらない。さらに、ぼくの住む東京都・品川あたりでも、家族4人がばくばく食べて余りある量を採れたりする。5年ほど前、この事実に気づいた時から、我が家では梅雨が明けるこの時期以降、わくわくが止まらなくなった。
 
まずは食味について語りたい。
キノコには、ものすごくざっくり2つに分けておくと便利な分類方法がある。「醤油に合うやつ」と「油に合うやつ」だ。よくわからないキノコ(もちろん食用の)をうっかりもらってしまった時などでも、これさえ確認しておけばおおかた勝てる。
 
「醤油に合うやつ」とは、炭火焼きにしたり、醤油ベースの汁物にしたり、混ぜご飯にしたり、どちらかというと和っぽい味付けに合うキノコたち。
「油に合うやつ」とは、オリーブオイルで炒めたり、天ぷらにしたりするとパフォーマンスが高いキノコたち。
スーパーで買える、シイタケ、マイタケ、商品名シメジなどは、どちらにも合う万能選手。一方ポルチーニ茸は典型的な「油と合うやつ」だ。生でも乾物を戻したやつでも良い、たっぷりのオリーブオイルでにんにくと一緒に炒めてアヒージョにするのがオススメ。本体から油にダシを染み出させるようなイメージでじっくりやるのがコツだ。バゲットをスライスして、しっかりと香りと旨味が移ったオリーブオイルとキノコ本体をたっぷり乗せて塩をひとつまみする。あっという間にバゲット一本にワイン一本消えてしまう。
 
パスタやリゾットにしても、とても手軽に幸せが訪れる。
いわゆるクリームパスタだけど、個人的には生クリームの代わりに牛乳と小麦粉少々(とろみを出すため)を使った方が、口当たりあっさりでたくさん食べられてしまうのでオススメだ。生クリームを使うと、ちょっとクドくなって、途中で箸が止まってしまう。
 
パスタ・リゾットの場合、生のポルチーニ茸より、乾物を水で戻したものを使う方が良い。天日で乾かすことで、旨味も香りも栄養素まで大幅に増えている。
半日ほど水で戻したポルチーニ茸を、オリーブオイルとにんにくで炒め、じっくりダシをとる。さらに牛乳と戻し汁(まっくろになっている)を同じフライパンに投入し、小麦粉を少しずつ様子を見ながら足していく。塩で味を整えたら、茹でたパスタなり、ご飯なりをブチ込めば完成だ。
 
自分で拾ってきたポルチーニ茸を自分で料理することで、プロの料理に対して圧倒的アドバンテージを得ることになる。彼らは1本1,500円~3,000円するポルチーニ茸を使って、採算を取らなければならない。パスタ一皿3,000円に設定したって、キノコまるまる一本を使えるはずがないのだ。一方こちらはどうせ拾ってきたキノコだ、ケチる必要はない。キノコの量が多いほど、旨味も香りも増えていく。一皿に3本分投入したとてこちらの懐は傷まない。
 
次にキノコ採りの楽しさについて語りたい。
キノコを採るための一番重要なルールは「確信が持てないやつには絶対に手を出さない」ことだ。よく友人から「このキノコは何か」とか「食べられるものか」とか写真を送りつけられたりするが、そういう質問には「リスクがあるから止めとけ」と答えることにしている。確信が持てないからだ。
そういうことなので、我々キノコ狩りストの界隈では、毒キノコに中毒してしまうことは、食欲に負けてルールを破ったことを意味する最大の不名誉だ。
そんな中で、ポルチーニ茸は以下3つの条件が揃えば、他に似た毒キノコもないしアマチュアでも確信が持てるのである。
(1) 傘のウラがスポンジ状
(2) アシに網タイツ(柄)を履いている
(3) 色がベージュ~茶色(黄色っぽい近縁種がある。そちらも毒ではないが美味しくもない)
 
さて、こいつらはどこを探せば見つかるのか。
(1) どんぐりが落ちている(どんぐりを落とす木と共生関係)
(2) 草が生い茂っていない。ミズゴケが生えていたり
(3) 人に踏み固められていない、やわらかい地面
これらが揃っていれば、街路樹の植え込みだろうが公園だろうが、ポルチーニ茸が生えてくる可能性が十分にある。
 
こういうアクティビティに、なにも知らない友人(女性を含む)を連れて行って、反応の変化を観察するのは実に楽しい。最初は中毒が怖かったり、真夏の薮に入っていくので虫との戦いになったりすることにビビり倒していた友人が、最初のキノコを見つけた以降はアドレナリンがキマった状態になり、蜘蛛の巣だろうがナメクジだろうが構わず突撃していく様子が見られるからだ。後日、決まって「どんぐりが落ちているのを見かけると、キノコを探して木の下を覗き込む習慣ができてしまった。どうしてくれるんだ」のようなメッセージが届くことになっている。だから言ったでしょ? と返してやることにしている。
 
不思議なことに、人間は興味のないものは見えない。ポルチーニ茸のような巨大で異様な物体ですら目に止まらない。しかし一度キノコを採る楽しさを知ってしまう(業界用語で「目がキノコになる」)と、もう巨大な異物にしか見えなくなるのだ。
 
そんな夏のキノコ代表、アクティビティにして高級食材のポルチーニ茸の時期がこれから始まる。ちょっと今年の梅雨は雨量が少なく、なかなか厳しそうな環境ではあるが、探すことも楽しい無料のアクティビティ。みなさんもどうでしょう。
 
 
 
 
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2022-07-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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