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私の「敗者復活戦」体験記


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:美月優璃(みつきゆり)(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
最近、自分の学生の頃を思い出すことが増えてきた。
何故か急に学生の頃にハマったバンドの曲が聴きたくなり、昔のCDを引っ張り出して聴いたり、YouTubeで彼らの動画を見たりすることがマイブームになっている。
学生生活を思い出すことが増えて、自分でもあの頃に経験したことが、今でも活きていると感じることがある。
それは「挫折しても、そこから前に進むスタンスを忘れない。それが敗者復活に繋がる」ということだ。
 
私は大学には4年間通ったが、最初の2年は女子大、後の2年は共学の大学に在籍をして卒業した。
かなり変則的な学生生活を送ったのだが、キッカケは自分のある夢…… 翻訳の仕事をすることだったが、その挫折だった。
私は女子大にいた頃は英文学科に在籍をしていたが、それは海外への憧れと翻訳の仕事を将来はしてみたいという、ほのかな夢を持っていたからだ。
だがある時、英文絵本の翻訳課題の評価を受けて、いかに自分にその才がないかを痛感させられたできごとがあった。
課題の絵本で書かれている英文は、中学英語レベルのものだった。
当然、解読できなかったわけではない。ちゃんと「読んでいた」はずだった。
しかし評価は散々だった。自分でも何故このような低い評価をされたのか、当時はさっぽり理解ができなかった。
 
しかしクラスメイトで高評価を得た知人の翻訳内容を読ませてもらった時、「いかに自分が、物語の本質を理解できていなかったか」を十分思い知らされた。
その時の衝撃は、頭を特大のハンマーで殴られたようだった。
自分の翻訳に対する考えの浅はかさに気恥ずかしさを覚えたのと同時に、翻訳を見せてくれたクラスメイトの彼女の日本語のセンスや表現力に圧倒された。
「なるほど…… これなら評価が高いよな」と、完敗な気持ちと同時に十分納得もした。
その時悟ったのは、「私は対訳はできても、翻訳は無理だ」ということだった。
特に絵本の翻訳は難しいと言われているが、それは作者の意図している世界観を日本語に置き換え、且つ子供にも分かる翻訳内容で正確に伝えることができる能力が必要だからだ。
本当にそのクラスメイトの翻訳は秀逸だった。と同時に、私のほのかな夢はそこで潰えた。
 
その課題事件後、女子大という環境や諸々が私には合っていなかったこともあり、正直大学に
行く意味を感じなくなってしまった。
 
「わざわざ京都に下宿してまで、あの大学に通う意味があるのか?」と悶々とした気持ちで、日々を過ごしていた。
そんな時、同じ大学に通う先輩が「編入」で他大学へ行くこと知り、「えっ、そんな方法があるの?!」と思った私は早速その先輩に話を聞きにいった。
その先輩は大学について色々と思うところがあり、自分の学びたい学問がよりしっかり学べる環境へ移りたいと思い編入を決意した、と言っていた。
私は悶々とした気持ちを抱えながらあの大学に通うなら、自分も編入で環境を変えてみたい気持ちになり、先輩にその為に必要なことを尋ねた。
そしてありがたいことに先輩はどんな準備や勉強方法をしたか、親切に教えてくれた。
 
そしてその日から、自分の状況や環境を変えるべく「編入試験」への準備が始まった。
専攻分野も高校生の頃は時事問題や歴史が好きだったことを思い出し、志望学部を社会学系へと
切り替えた。
大学生をやりながら受験生をやるとは思わなかったが、志望校の過去問を編入専門の予備校から
取り寄せて、ひたすら解いて調べるを繰り返した。
また編入試験には「小論文」の項目があったので、その勉強の為に当時高校生のフリをしてK塾の「難関大学向け小論文講座」に通ったのは、今では微笑ましい思い出になっている。
 
大学生兼受験生という二足のわらじを履くような学生生活を送り、夏休みを迎え実家に戻る前日にふと「志望校に行って、編入試験の要綱でも貰ってくるか」と思い、その大学へ行ってきた。
そこでまた衝撃の事実を知ることになったのだが…… 何と編入試験日が例年の試験日より
3ヶ月も早い、9月なっていたのだ!
思わず「自分の目がおかしくなったのか?」と思い、二度見したがそこには9月の2文字があった。
これはミスプリントではないか? という淡い望みをかけて担当の事務員に尋ねると「今年から
試験日が早くなったんですよー」という悪気のない、無情な返事が返ってきた。
 
「どうしよう…… 試験日まで1ヶ月とちょっとしかない!」と頭の中は真っ白になり、自分が予定していた「夏休みは、バイトしながらお家でノンビリ生活」の計画は一気に吹っ飛んだ。
そこからは約1ヶ月後の編入試験の為に、東京にあった編入専門の予備校で毎日勉強の日々を送ることになった。
独学で勉強はしていたが、到底試験に受かるレベルまでは仕上がっていなかった。
予備校が高円寺にあったので、帰り道に高円寺の独特で個性的な商店街をプラプラしたのが、唯一の息抜きだった。
 
さて約1ヶ月の試験勉強の突貫作業を終えて、遂に編入試験日の当日を迎えた。
そしてこの日はラッキーなことが重なった。
先ず試験日の変更を知らなかった志望者が多く、受験者が比較的少なかったこと。
そして例年に比べて試験問題のレベルが、全般的に易しくなっていたこと。
「小論文」の試験で出されたテーマが、以前に予備校の課題で出されたものと非常に似ていたのでスラスラと書けたこと。
最後に面接で予備校でアドバイスを受けたことが功を奏し、上手く受け答えができたこと。
試験が終わった後は「やり切った!」という気持ちで悔いはなかった。
後は人事を尽くして天命を待つ、という心境だった。
 
そして数日後、受験した大学より「合格通知」が届いた時は感無量だった。
自分自身の意思と努力で不満な状況や環境を変えるチャンスを得ることができたのが、何よりも
嬉しかったし自信にもなった。
そして協力をしてくれた当時の知人や寮仲間等にも、感謝の気持ちで一杯だった。
 
「挫折しても何かしらの可能性を探っていれば、どこかで道が開けてくる。諦めなければ、敗者復活のチャンスはある!」という考えは、今も忘れないでいる。
 
 
 
 
***
 
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2022-07-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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